ことわざ 慣用句

触らぬ神に祟りなし

(さわらぬかみにたたりなし)

物事に関わり合いを持たなければ、余計な災いを招くことはないという教訓。


12文字の言葉 / 「さ・ざ」から始まる言葉
触らぬ神に祟りなし ことば
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意味

「触らぬ神に祟りなし(さわらぬかみにたたりなし)」とは、自分の手に余る厄介な事柄には、はじめから関わらずそっとしておくのが賢明だという教訓です。
「祟り」とは、神仏や霊魂が人間に与える災いのことです。

語源・由来

「触らぬ神に祟りなし」は、神に関わりさえしなければ、神の祟りを受けることもない、という言い方です。

そこから、めんどうな物事によけいな手出しをしなければ災いを招くことはない、というたとえとして使われます。
「敬して遠ざける」と同じく、関わりを避ける態度を表す言葉です。

使い方・例文

「触らぬ神に祟りなし」は、他人のトラブルや気難しい人物など、深入りすると自分が損をする可能性が高い対象に対して、関与を避ける場面で使われます。

  • 隣の部署の激しい口論には、触らぬ神に祟りなしで関わらないことにした。
  • 機嫌の悪い先生には、触らぬ神に祟りなしで近づかないのが一番だ。
  • 夫婦喧嘩の仲裁に入って痛い目を見たので、これからは触らぬ神に祟りなしを貫く。

使う相手や場面の注意点

この言葉は、トラブルから身を遠ざけるという「消極的な防御策」のニュアンスを持っています。

そのため、自分が責任を負うべき仕事上の課題から逃げたり、目の前で本当に助けを求めている人を無視したりする理由として使うと、単なる「無責任な人」「冷たい人」という評価を受けてしまいます。
あくまで自分にはどうしようもない第三者のトラブルに対して使うのが適切です。

類義語・関連語

「触らぬ神に祟りなし」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 君子危うきに近寄らず(くんしあやうきにちかよらず):
    教養があり徳の高い人は、自分の行動を慎んで危険な場所や事態には近づかないということ。
  • 藪をつついて蛇を出す(やぶをつついてへびをだす):
    余計な手出しをして、かえって悪い結果を招くこと。
  • 寝た子を起こす(ねたこをおこす):
    せっかく収まっている物事に手出しをして、再び問題を蒸し返してしまうこと。
  • 当たらぬ蜂には刺されぬ(あたらぬはちにはさされぬ):
    自分から手を出したり関わったりしなければ、災いを被ることはないという例え。
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対義語

「触らぬ神に祟りなし」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。

  • 虎穴に入らずんば虎子を得ず(こけつにいらずんばこじをえず):
    危険を冒さなければ、大きな成果を得ることはできないということ。
  • 危ない橋を渡る(あぶないはしをわたる):
    目的を達成するために、あえて危険な手段をとること。

英語表現

「触らぬ神に祟りなし」を英語で表現する場合、以下の言い回しが一般的です。

Let sleeping dogs lie

意味:寝ている犬は寝かせておけ。
眠っている犬をわざわざ起こして噛まれるような愚を犯すべきではない、というイギリスの古いことわざで、面倒な問題はそっとしておくべきだというニュアンスを持ちます。

I know you want to ask him about the mistake, but it’s better to let sleeping dogs lie.
(彼にミスのことを聞きたいのはわかるけど、触らぬ神に祟りなし、そっとしておいたほうがいいよ。)

江戸の儒学者が「触らぬ神に祟りなし」を文字どおりに引いた

江戸時代中期の儒学者太宰春台だざいしゅんだいは、『聖学問答せいがくもんどう』(1736年)で、家で歳徳としとくの神や竈かまどの神を祭って福を得た人は聞いたことがないと書いています。
祟りを受けたと言う人がいるのは、むしろ祭るからだと述べています。
初めから祭らない自分の家には、祟りを受ける者はいないといいます。
そのうえで「近づく神に祟あり、さはらぬ神に祟なしといふ諺は、誠に然なり」(近づく神には祟りがあり、触らない神には祟りがないということわざは、本当にそのとおりだ)と書きました。

春台はこの後、ふだんから天を敬い、礼儀を守り、徳を行うことこそが「君子の祈禱」だと続けています。
めんどうな物事に手を出すなという今の使い方と違い、春台はこの諺を、むやみに神を祭らなければ祟りもないという、文字どおりの意味で引いています。

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