危ない橋を渡る

慣用句
危ない橋を渡る(あぶないはしをわたる)

10文字の言葉」から始まる言葉
危ない橋を渡る 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

「危ない橋を渡る」の意味 – 危険な手段を選ぶこと

「危ない橋を渡る」とは、目的を達成するために、成功するかどうかわからない危険な手段や方法を用いること、また、法律や道徳に触れるか触れないかの、すれすれの方法で物事を行うことを意味する慣用句です。

文字通り、今にも壊れそうな橋や、非常に不安定で渡るのが危険な橋を渡る様子にたとえられています。
目的地に行くためにその橋を使わざるを得ない、あるいは近道だからとあえてその橋を選ぶ、といった状況から、リスクの高い行為や不正すれすれの行為を指すようになりました。

「危ない橋を渡る」の成り立ち − 危険をともなう比喩表現

この言葉には、明確な出典や由来となる物語はありません。
言葉の意味は、そのままのイメージから生まれた比喩表現と考えられています。

橋とは本来、安全に目的地へたどり着くための手段ですが、もしその橋が壊れかけていたり、不安定だったりすれば、渡ること自体が非常に危険です。
そのような橋を渡る行為は、「失敗」「損失」「法や倫理への抵触」といったリスクを抱えることにたとえられています。

こうしたイメージから、「危ない橋を渡る」という表現は、成功の保証がないまま危険な方法を選ぶこと、または結果がどうなるか分からない不安定な道に踏み出すことを意味するようになったのです。

「危ない橋を渡る」の使用場面と例文 – リスクの高い選択

目標達成のためとはいえ、法に触れそうな方法や、倫理的に問題のある手段、あるいは単純に成功する確率が低く、失敗した場合の損失が大きいような危険な方法を選択する状況で使われます。
ビジネス上の不正行為すれすれの取引、ルール違反ぎりぎりのスポーツのプレー、あるいは人生における大きなリスクを伴う挑戦などを指して用いられます。

例文

  • 「彼は会社の資金繰りのために、かなり危ない橋を渡るような取引にも手を出しているらしい。」
  • 「合格するためとはいえ、カンニングのような危ない橋を渡ることは絶対にすべきではない。」
  • 「あのベンチャー企業は、常に危ない橋を渡るような革新的な挑戦を続けている。」
  • 一攫千金を夢見て、彼は危ない橋を渡る投資話に手を出してしまった。」
  • 「これ以上危ない橋を渡るのはやめよう。もっと堅実な方法を選ぶべきだ。」

「危ない橋を渡る」の類義語 – 危険を冒すこと

危険な行為や状況を示す言葉があります。

  • 虎の尾を踏む:非常に危険なことをするたとえ。
  • 竜の髭を撫でる(りゅうのひげをなでる):極めて危険なことをするたとえ。
  • 火中の栗を拾う:自分の利益にならないのに、他人のためにあえて危険を冒すこと。(危険を冒す点で共通)
  • 薄氷を踏む:割れやすい薄い氷の上を歩くように、非常に危険な状況に臨むことのたとえ。
  • 危険を冒す(きけんをおかす):あえて危ないことをすること。
  • 際どいことをする:不正や危険と隣り合わせのような、すれすれの行為をすること。
  • リスクを取る:危険や損失の可能性を承知の上で、行動すること。

「危ない橋を渡る」の対義語 – 安全・確実な方法

危険を避け、安全で確実な方法を選ぶ態度や行動が対照的です。

  • 安全策:危険を避け、安全を第一に考えた方法や手段。
  • 石橋を叩いて渡る:非常に用心深く、安全を確認してから行動すること。
  • 安全第一:何よりも安全を優先すること。
  • 正攻法:奇策や不正な手段を用いず、正々堂々と正面から攻める方法。
  • 王道を行く:ごまかしや近道をせず、正しく本筋とされる方法で進むこと。
  • 堅実:手堅く、着実であること。危なげがないさま。

「危ない橋を渡る」の英語での類似表現

英語で、「危険な状況を進む」「危ないことをする」といったニュアンスを表す表現です。

  • skate on thin ice
    直訳:薄い氷の上を滑る。
    意味:非常に危険な状況にいる、危ない橋を渡る。
  • play with fire
    意味:火遊びをする。転じて、非常に危険なことをする。
  • sail close to the wind
    直訳:風上ぎりぎりに帆走する。(昔の帆船用語)
    意味:法律や規則に違反するすれすれの危ないことをする。
  • take a risk / run a risk
    意味:リスクを取る、危険を冒す。
  • walk a tightrope
    意味:綱渡りをする。転じて、非常に危険で不安定な状況・駆け引きなどを行う。

まとめ – 避けるべき危険な道

「危ない橋を渡る」は、成功の保証がない危険な手段や、倫理・法に触れかねない方法を選ぶことを指す慣用句です。
その言葉の背景には、無理を承知で突き進む行動への警鐘が込められています。

時には挑戦が必要な場面もありますが、「危ない橋」はただのリスクではなく、失敗すれば大きな代償を払う危険な選択。
安易に踏み出せば、後戻りできなくなるかもしれません。

この言葉は、目先の成果にとらわれず、状況を見極めて正しい道を選ぶ大切さを教えてくれます。
慎重な判断こそが、真の成功への近道なのかもしれません。

コメント