ことわざ

藪をつついて蛇を出す

(やぶをつついてへびをだす)

余計なことをして、かえって自分にとって悪い結果を招くことの例え。

短縮形:藪蛇(やぶへび)
異形:藪を突いて蛇を出す

12文字の言葉 / 「や」から始まる言葉
藪をつついて蛇を出す ことば
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意味

「藪をつついて蛇を出す(やぶをつついてへびをだす)」とは、余計なことをして、かえって悪い結果を招いてしまうことの例えです。

  • 藪(やぶ):草木が生い茂っている場所。
  • 蛇(へび):ここでは、自分に危害を加える「災い」の象徴。

藪の中に潜んでいる毒蛇は、放っておけば何もしませんが、わざわざ棒などでつついたばかりに怒って飛び出してきて、噛みつかれてしまうかもしれません。
そこから、不必要な手出しをして自ら危険やトラブルを呼び込む愚かさを戒めています。

現代の日常会話では、この言葉を短縮して「藪蛇」(やぶへび)と呼ぶのが一般的です。

語源・由来

藪は低木や竹、雑草などが生い茂り、見通しがきかず、歩いて通るのも難しい場所です。
そこをつついても得られるものは何もなく、かえって蛇や虫が出てきて、つついた本人が災いを受けることになります。

使い方・例文

「藪をつついて蛇を出す」は、自分のお節介や失言を後悔したり、他人の余計な行動をたしなめたりする場面で使われます。
多くの場合、「藪蛇」と省略されます。

  • 忘れかけていた借金の話をこちらから振るなんて、藪をつついて蛇を出すようなものだ。
  • 余計な言い訳をしたせいでさらに怒られ、まさに藪をつついて蛇を出す結果となった。
  • 静観していれば丸く収まったのに、彼が口を挟んだのは藪蛇だった。

本人に向けて使うときのリスク

この言葉は「余計なことをした」という批判的なニュアンスを含みます。
自分自身の失敗に対して「藪蛇でした」と反省の意を込めて使うのは問題ありません。

しかし、相手の行動に対して「それは藪蛇ですよ」と指摘するのは、「あなたの余計な手出しのせいで悪化しましたね」と相手を直接的に非難することになるため、非常に失礼にあたります。
第三者の行動を評する際や、自分への戒めとして使うのが適切です。

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類義語・関連語

「藪をつついて蛇を出す」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 寝た子を起こす(ねたこをおこす):
    静かに収まっている物事に余計な手出しをして、再び問題を蒸し返してしまうこと。
  • 雉も鳴かずば撃たれまい(きじもなかずばうたれまい):
    余計なことを言わなければ、災難を招かずに済んだということ。
    不用意な「発言」による失敗を指す言葉です。
  • 草を打って蛇を驚かす(くさをうってへびをおどろかす):
    本来は「ある一人を罰して他の関係者を戒める」という意味ですが、「藪蛇」と同様に「余計なことをして意外な結果を招く」という意味でも使われる言葉です。

英語表現

「藪をつついて蛇を出す」を英語で表現する場合、以下の定型フレーズがよく使われます。

Let sleeping dogs lie

意味:寝ている犬は寝かせておけ。
眠っている犬をわざわざ起こして噛まれるような愚かな真似はするな、というイギリスの古いことわざです。
英語圏では「寝た子を起こす」と「藪蛇」の両方のニュアンスをカバーする最も一般的な表現です。

Don’t mention his ex-girlfriend. Let sleeping dogs lie.
(彼の元カノの話はするな。藪をつついて蛇を出すなよ。)

幕末の和英辞典に「藪をつついて蛇」

この言い回しは、1867年に初版が出た『和英語林集成わえいごりんしゅうせい』に収められています。
ローマ字の「ヘボン式」に名を残すアメリカ人宣教医ヘボンが作った、日本で最初の和英辞典です。

言い方は一つではなく、「つついて」を「叩いて」に替えた「藪を叩いて蛇を出す」という形もあります。

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