ロッキー山脈の雄大な自然、世界一長い海岸線、そして極寒の冬。
「カナダのことわざ」には、厳しい環境を生き抜くための「忍耐強さ」と、多文化国家ならではの「寛容さ」が詰まっています。
カナダでは英語とフランス語が公用語として使われています。
カナダで親しまれている英語・フランス語のことわざに加え、カナダらしいユニークな表現も含めた27選を紹介します。
【自然・環境】天気と自然の教え
大自然と共に生きてきたカナダでは、水や天気、動物にまつわる教訓が多く存在します。
雨の後には、良い天気が来る
Après la pluie, le beau temps.
(アプレ・ラ・プリュイ・ル・ボ・タン)
フランス語圏(ケベック州など)でよく使われる表現。
「やまない雨はない」と同じく、辛いことの後には必ず良いことが待っているという希望の言葉です。
天候が変わりやすいカナダの空の下で、人々の心を支えてきました。
写真以外何もとるな、足跡以外何も残すな
Take nothing but pictures, leave nothing but footprints.
(テイク・ナッシング・バット・ピクチャーズ・リーヴ・ナッシング・バット・フットプリンツ)
世界中の自然保護区やアウトドアの場で使われている標語です。
「時間以外何も殺すな(Kill nothing but time)」と続くこともあり、自然への畏敬とマナーを説いています。
ビーバーのように忙しい(勤勉である)
Busy as a beaver.
(ビジー・アズ・ア・ビーバー)
ビーバーは1975年に法律でカナダの象徴に定められた動物で、ダムを作るために絶えず働き続けます。
「とても忙しい」「働き者だ」という意味で使われる英語の慣用句です。
3月はライオンのようにやって来て、子羊のように去る
March comes in like a lion and goes out like a lamb.
(マーチ・カムズ・イン・ライク・ア・ライオン・アンド・ゴーズ・アウト・ライク・ア・ラム)
厳しい冬から春への移ろいを表す言葉。
3月の初めはライオンのように荒々しい嵐や寒さですが、終わり頃には子羊のように穏やかな春の陽気になっているという意味。
長い冬を耐えるカナダの人々の、春への期待が込められています。
【人生・教訓】前向きに生きる知恵
開拓の歴史や移民文化の中で培われた、実用的でポジティブな教訓です。
ホッケーのスティックを氷につけておけ
Keep your stick on the ice.
(キープ・ユア・スティック・オン・ジ・アイス)
カナダの国民的スポーツ、アイスホッケーにちなむ言葉。
いつパック(ゴム製の円盤)が来てもいいようにスティックを氷につけて構えておけ、つまり「常に油断するな」「準備を怠るな」という意味です。
カナダのコメディ番組「レッド・グリーン・ショー」で、主人公が毎回の終わりに人生の助言として口にする言葉として知られています。
備えあれば憂いなし(最善を望み、最悪に備える)
Hope for the best, but prepare for the worst.
(ホープ・フォー・ザ・ベスト・バット・プリペア・フォー・ザ・ワースト)
楽観的であることは大切ですが、同時に最悪の事態を想定して準備をしておく現実的な姿勢も必要です。
厳しい冬の嵐や自然災害に見舞われることもあるカナダにおいて、サバイバルの基本とも言える教えです。
経験は最良の教師である
Experience is the best teacher.
(エクスペリエンス・イズ・ザ・ベスト・ティーチャー)
「百聞は一見に如かず」
本で読んだ知識よりも、実際に自分で体験し、失敗から学ぶことの方がはるかに価値があるという意味。
実践を重んじる開拓精神が垣間見えます。
全ての出来事には理由がある
Everything happens for a reason.
(エブリシング・ハプンズ・フォー・ア・リーズン)
予期せぬ不運や困難に遭遇したとき、「これにも何かの意味があるはずだ」と捉える考え方。
現状を肯定し、そこから学びを見出そうとするポジティブなマインドセットを表しています。
転がる石には苔が生えぬ
A rolling stone gathers no moss.
(ア・ローリング・ストーン・ギャザーズ・ノー・モス)
「職業や住居を転々とする人は成功しない(苔=財産がたまらない)」という否定的な意味と、「常に活動的な人は古びない(苔=汚れがつかない)」という肯定的な意味の両方があります。
北米では後者の「変化を恐れず活動的であれ」というポジティブな意味で使われることも多い言葉です。
予防は治療に勝る
An ounce of prevention is worth a pound of cure.
(アン・オンス・オブ・プリベンション・イズ・ワース・ア・パウンド・オブ・キュア)
問題が起きてから対処(治療)するよりも、起きないように予防する方がはるかに少ない労力で済むということ。
オンス(約28g)とポンド(約454g)という重さの単位を使い、予防の価値がいかに高いかを説いています。
必要は発明の母
Necessity is the mother of invention.
(ネセシティ・イズ・ザ・マザー・オブ・インベンション)
どうしても必要な状況に追い込まれたとき、人は初めて工夫を凝らし、新しい発明や解決策を生み出すという意味です。
人類も、極寒の地での生活や資源の確保など、必要に迫られて発展してきました。
無知は至福(知らぬが仏)
Ignorance is bliss.
(イグノランス・イズ・ブリス)
知らない方が、余計な心配をせずに幸せでいられることもある。
情報過多な現代において、あえて「知らないこと」の平穏さを説く、少し皮肉めいた言葉です。
【人間関係・社会】多様性を認める心
「モザイク国家」と呼ばれるカナダ。
異なる背景を持つ人々が共存するための知恵です。
郷に入っては郷に従え
When in Rome, do as the Romans do.
(ウェン・イン・ローム・ドゥ・アズ・ザ・ローマンス・ドゥ)
多文化社会のカナダですが、その土地やコミュニティのルールを尊重することは基本です。
新しい環境に入ったら、自分のやり方を押し通すのではなく、現地の習慣に合わせる柔軟性を持つべきだという教えです。
本を表紙で判断するな
Don’t judge a book by its cover.
(ドント・ジャッジ・ア・ブック・バイ・イッツ・カバー)
外見や第一印象だけで、その人の内面や能力を決めつけてはいけない。
様々な人種、宗教、文化を持つ人々が暮らすカナダにおいて、偏見を持たずに相手を理解しようとする姿勢は非常に重要視されています。
類は友を呼ぶ
Birds of a feather flock together.
(バーズ・オブ・ア・フェザー・フロック・トゥギャザー)
同じ種類の羽を持つ鳥が集まって飛ぶように、似たような趣味や価値観を持つ人は自然と集まるものだという意味。
良い仲間が集まるという意味でも、悪い仲間がつるむという意味でも使われます。
血は水よりも濃い
Blood is thicker than water.
(ブラッド・イズ・シッカー・ザン・ウォーター)
どんなに親しい友人関係よりも、家族や血縁の絆の方が強く、深いということ。
困った時に最後に頼りになるのはやはり家族である、という伝統的な家族観を表しています。
多くの手があれば仕事は軽くなる
Many hands make light work.
(メニー・ハンズ・メイク・ライト・ワーク)
一人では大変な仕事も、みんなで協力すれば楽に、早く終わらせることができる。
冬の除雪作業や、広大な農地での作業など、地域社会での助け合い(コミュニティ)の重要性を説く言葉です。
沈黙は金
Silence is golden.
(サイレンス・イズ・ゴールデン)
「言わぬが花」
おしゃべりよりも、沈黙を守ることの方が価値がある場合がある。
他人の秘密を守る時や、不用意な発言で争いを避ける時など、思慮深さが求められる場面で使われます。
口は災いの元
Loose lips sink ships.
(ルース・リップス・シンク・シップス)
「緩んだ唇(おしゃべり)は船を沈める」。
元々は戦時中の標語ですが、うっかり漏らした秘密や不用意な一言が、取り返しのつかない事態を招くことへの戒めとして、現在でも使われています。
良いフェンスが良い隣人を作る
Good fences make good neighbors.
(グッド・フェンスズ・メイク・グッド・ネイバーズ)
親しい間柄であっても、適切な境界線(フェンス)やプライバシーを守ることが、良好な関係を維持する秘訣である。
お互いに干渉しすぎない「適度な距離感」の大切さを説いています。
【努力・行動】成功へのステップ
夢や目標に向かって進むための、シンプルで力強いアドバイスです。
早起きの鳥は虫を捕まえる
The early bird catches the worm.
(ジ・アーリー・バード・キャッチズ・ザ・ワーム)
「早起きは三文の徳」
人より早く起きて行動を開始すれば、それだけチャンスを掴める可能性が高くなる。
成功のための基本原則として、家庭や学校でよく教えられる言葉です。
千里の道も一歩から
A journey of a thousand miles begins with a single step.
(ア・ジャーニー・オブ・ア・サウザンド・マイルズ・ビギンズ・ウィズ・ア・シングル・ステップ)
どんなに壮大な夢や遠い目標も、まずは最初の一歩を踏み出すことから始まります。
カナダ横断のような長い旅路も、足元の一歩から。
行動を起こす勇気をくれる言葉です。
練習が完璧を作る(習うより慣れろ)
Practice makes perfect.
(プラクティス・メイクス・パーフェクト)
最初から上手くできる人はいません。
何度も繰り返し練習することでしか、技術は完成しない。
「継続は力なり」と同じく、努力の積み重ねを奨励する言葉です。
忍耐は美徳である
Patience is a virtue.
(ペイシェンス・イズ・ア・ヴァーチュー)
「石の上にも三年」
すぐに結果が出なくても、イライラせずに待つことができる能力は、素晴らしい美徳の一つです。
長い冬を耐え忍ぶカナダ人の気質にも通じるものがあります。
行動は言葉よりも雄弁
Actions speak louder than words.
(アクションズ・スピーク・ラウダー・ザン・ワーズ)
「やる」と言うのは簡単ですが、実際にやるのは難しいもの。
立派な口約束よりも、実際の行動の方がその人の本質を大きな声で(雄弁に)語っているという意味です。
「不言実行」の精神です。
二兎を追う者は一兎をも得ず
If you chase two rabbits, you will not catch either.
(イフ・ユー・チェイス・トゥー・ラビッツ・ユー・ウィル・ノット・キャッチ・イーザー)
欲張って同時に二つのことを成し遂げようとすると、力が分散して結局どちらも失敗してしまう。
目標を一つに絞り、集中することの大切さを説いています。
全ての卵を一つの籠に入れるな
Don’t put all your eggs in one basket.
(ドント・プット・オール・ユア・エッグズ・イン・ワン・バスケット)
もし籠を落としたら、中の卵は全滅してしまいます。
資産運用や人生設計において、リスクを分散させることの重要性を説く、非常に現実的で有名な教えです。
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