明日は明日の風が吹く

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ことわざ
明日は明日の風が吹く
(あしたはあしたのかぜがふく)

13文字の言葉」から始まる言葉

予期せぬトラブルに見舞われたり、先の見えない不安に押しつぶされそうになったりしたとき、私たちはつい「もし明日も最悪だったらどうしよう」と未来を悲観してしまいがちです。
しかし、いくら今日のうちに悩んだところで、明日の天気を変えることはできません。
そんな凝り固まった心を解きほぐし、一歩踏み出す勇気をくれる言葉が、
「明日は明日の風が吹く」(あしたはあしたのかぜがふく)です。

意味・教訓

「明日は明日の風が吹く」とは、先のことを案じても始まらないので、成り行きに任せて楽観的に生きるのがよいという意味です。

今日がどんなに苦しくても、明日はまた今日とは違う状況がやってくる。
失敗して落ち込んでいる自分を励ましたり、過度な心配をしている他者の緊張を和らげたりする際に、しなやかな強さを込めて使われます。

語源・由来

「明日は明日の風が吹く」は、江戸時代の町人たちの間で、その日その日を懸命かつ楽天的に生きる気質から生まれた言葉として古くから親しまれています。

特定の古典に出典を持つものではありませんが、「風」という人間の力では制御できない自然現象を「運命」や「事態の推移」に見立てる日本特有の感性が、人々の口承によって定着しました。

また、現代においてこの言葉がこれほどまでに人口に膾炙(かいしゃ)している背景には、不朽の名作映画の影響があります。
マーガレット・ミッチェルの小説を原作とした映画『風と共に去りぬ』のラストシーンで、主人公スカーレット・オハラが絶望の中から立ち上がる際に放つ「Tomorrow is another day.」という台詞。
これに「明日は明日の風が吹く」という訳語が当てられたことで、日本人の心に深く、瑞々しい希望の言葉として刻まれることになりました。

使い方・例文

「明日は明日の風が吹く」は、深刻な悩みに対して「今は休もう」と切り替える時や、努力を尽くした後に結果を待つ場面で使われます。

「職場」だけでなく、家庭や学校など日常のあらゆるシーンで、心のデトックスとして機能する言葉です。

例文

  • テストの手応えは最悪だったけれど、終わったことを悔やんでも仕方ない。「明日は明日の風が吹く」と切り替えて、今日は早く寝よう。
  • 幼い子供が熱を出して看病に追われたが、夫が「明日は明日の風が吹くから、無理せず休みなさい」と言ってくれた。
  • どれだけ準備を重ねても本番への不安は尽きないが、最後は「明日は明日の風が吹く」という心持ちで挑むことにした。

文学作品・メディアでの使用例

この言葉のイメージを決定づけた、最も有名な引用です。

『風と共に去りぬ』(マーガレット・ミッチェル)

南北戦争によって家も愛する人も失い、絶望の淵に立たされたスカーレット・オハラが、再起を誓いながら心の中でつぶやく場面です。

「結局のところ、明日は明日の風が吹くのだわ。」

類義語・関連語

「明日は明日の風が吹く」と似た意味を持つ言葉には、希望や現状維持を説く表現があります。

  • 明日のことは明日案ぜよ(あしたのことはあしたあんぜよ):
    明日には明日の苦労があるのだから、今日から余計な心配をすべきではないという教訓。
  • 待てば海路の日和あり(まてばかいろのひよりあり):
    今は状況が悪くても、じっと待っていれば必ず幸運な機会(日和)が巡ってくること。
  • 沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり(しずむせあればうかぶせあり):
    人生には悪い時もあれば、必ず良い時もやってくるという巡り合わせ。

対義語

「明日は明日の風が吹く」とは対照的な意味を持つ言葉は、徹底した準備と用心を促すものです。

  • 転ばぬ先の杖(ころばぬさきのつえ):
    失敗しないように、前もって十分な準備をしておくことの例え。
  • 石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる):
    非常に強固な石橋でさえ叩いて確かめるように、慎重に慎重を期して物事を行うこと。
  • 備えあれば憂いなし(そなえあればうれいなし):
    日頃から準備を整えておけば、いざという時に心配することがない。

英語表現

「明日は明日の風が吹く」を英語で表現する場合、以下のフレーズがネイティブの間で一般的に使われます。

Tomorrow is another day.

  • 意味:「明日はまた別の日だ」
  • 解説:日本語の「明日は明日の風が吹く」と最もニュアンスが近く、絶望的な状況からの「切り替え」や「希望」を示唆するフレーズです。
  • 例文:
    Don’t cry over spilt milk. Tomorrow is another day.
    (済んだことを嘆いても仕方ない。明日は明日の風が吹くよ。)

Tomorrow will take care of itself.

  • 意味:「明日のことは明日が面倒を見てくれる」
  • 解説:聖書の一節(マタイによる福音書)に由来する言葉で、将来への過度な心配を諫める格言です。
  • 例文:
    Plan for the future, but remember that tomorrow will take care of itself.
    (将来の計画は立てつつも、明日は明日の風が吹くことも忘れないで。)

「風」という言葉に込められた意味

ちなみに、このことわざにおいて「風」が使われているのには、単なる空気の流れ以上の意味が込められています。

かつて帆船で海を渡った人々にとって、風向きは自分たちの力では変えられない「運命」そのものでした。
風をコントロールすることはできなくても、風が吹くのを待つことや、吹いてきた風に合わせて帆を張ることは可能です。

自分の力でどうにかしようと足掻きすぎて疲れてしまったとき、私たちはこの「風」を信じることで、再び呼吸を整えることができます。
「今の状況がずっと続くわけではない」という変化への信頼こそが、この言葉の持つ本当の優しさと言えるでしょう。

まとめ

「明日は明日の風が吹く」は、深刻な空気を一変させ、私たちにポジティブな諦めと再始動のきっかけを与えてくれる言葉です。

最善を尽くしたのなら、あとは運命に身を委ねる。
それは責任放棄ではなく、未来の可能性を信じるための「心の余白」を作る作業でもあります。

明日という新しい日が、今日とは違う爽やかな風を運んできてくれることを信じて、今はゆっくりと体を休める。
それもまた、豊かな人生を歩むための大切な知恵と言えるのかもしれません。

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