意味
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり(しずむせあればうかぶせあり)」とは、人生には良い時もあれば悪い時もあるというたとえです。
世の中の状況は常に変化しており、悪いことばかりが続くものではないことを意味します。
単に「浮き沈みがある」という事実を示すだけでなく、今は苦しくてもいずれは浮かび上がれるという希望や励ましのニュアンスを込めて用いられます。
語源・由来
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」は、人の一生を川の流れにたとえたことわざです。
川の流れの中で、沈むこともあれば浮かび上がることもある様子を、予測できない人の一生や運勢の波に当てはめたものです。
使い方・例文
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」は、不運に見舞われている自分や他人に対し、現状が一時的なものであることを示唆する際に使われます。
例文
- 第一志望に落ちて気落ちしたが、沈む瀬あれば浮かぶ瀬ありと次へ向かった。
- 「商売が傾いて苦しかろうが、沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり。踏ん張りどころだ」
- 記録が伸びず悩む後輩に、沈む瀬あれば浮かぶ瀬ありだと焦るなと助言した。
- 長年連れ添った夫婦が、沈む瀬あれば浮かぶ瀬ありの日々を振り返った。
類義語・関連語
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」と似た意味を持つ言葉は、人生の多面性を説くものが中心です。
- 禍福は糾える縄のごとし(かふくはあざなえるなわのごとし):
幸福と不幸は、より合わせた縄のように表裏一体で交互にやってくるということ。 - 人間万事塞翁が馬(じんかんばんじさいおうがうま):
人生の何が幸いし、何が災いするかは予測できないということ。 - 浮き沈み七度(うきしずみななたび):
人生には、浮き上がる時も沈む時も何度もあるということ。 - 楽あれば苦あり(らくあればくあり):
楽しいことの後には苦労があり、苦労の後には楽しみがあるということ。
英語表現
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」を英語で表現する場合、以下の表現が適しています。
Life is full of ups and downs
直訳は「人生は浮き沈みに満ちている」で、最も日常的な表現。
良い時(ups)と悪い時(downs)が交互に来るニュアンスを正確に伝える。
Don’t give up so easily. Life is full of ups and downs.
(そう簡単に諦めるな。人生には浮き沈みがあるものだ。)
Every cloud has a silver lining
直訳は「どんな雲も裏側は銀色に光っている」で、どんなに暗い状況(雲)でも、必ずどこかに希望の光があるという励ましの定型表現。
I know things are hard right now, but remember, every cloud has a silver lining.
(今は辛いだろうけれど、どんな困難にも明るい兆しはあるものだよ。)
1701年の浮世草子に「しづむ瀬あればうかむ瀬」
江戸時代の浮世草子(町人の暮らしや遊里を描いた小説)『傾城色三味線』(1701年、江島其磧作)に、このことわざが出てきます。
なじみの客の男が、遊びに財産をつぎこんで無一文になったと言い、紙の着物の粗末な姿で遊女の千歳のもとへ現れます。
男は、伯父を頼って越後へ下るので自分のことは忘れてほしいと告げました。
千歳は「浮世のならい、しづむ瀬あればうかむ瀬有、御身上のつぶれし事さのみ御なげき有まし」(世の中の常で、沈む時もあれば浮かぶ時もある。財産をなくしたことを、そうお嘆きなさいますな)と男を励ましました。
実は男は落ちぶれたふりをして千歳の心を確かめていたので、千歳の変わらない心を見て喜び、千歳を遊女の勤めから請け出して夫婦になります。
財産を失った相手に、悪い時ばかりは続かないと声をかける、今と同じ「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の使い方です。











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