意味
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」とは、人生には良い時もあれば悪い時もあるというたとえです。
世の中の状況は常に変化しており、不幸な時期の次には必ず幸運が巡ってくることを意味します。
単に「浮き沈みがある」という事実を示すだけでなく、今は苦しくてもいずれは浮かび上がれるという希望や励ましのニュアンスを込めて用いられます。
語源・由来
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の由来は、川の流れの物理的な構造にあります。
川には、水が深く淀んでいて物が沈み込みやすい「淵(ふち)」のような場所がある一方で、水が浅く流れが速いために、沈んでいたものが再び水面に現れる「瀬(せ)」のような場所が存在します。
この自然の理を、予測できない人の一生や運勢の波に当てはめたものです。
江戸時代の浄瑠璃や歌舞伎など、近世以降の文学作品でも「人生の無常」を象徴するフレーズとして頻繁に使用され、民衆の間に定着しました。
使い方・例文
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」は、不運に見舞われている自分や他人に対し、現状が一時的なものであることを示唆する際に使われます。
例文
- 第一志望に落ちて気落ちしたが、沈む瀬あれば浮かぶ瀬ありと次へ向かった。
- 「商売が傾いて苦しかろうが、沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり。踏ん張りどころだ」
- 記録が伸びず悩む後輩に、沈む瀬あれば浮かぶ瀬ありだと焦るなと助言した。
- 長年連れ添った夫婦が、沈む瀬あれば浮かぶ瀬ありの日々を振り返った。
類義語・関連語
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」と似た意味を持つ言葉は、人生の多面性を説くものが中心です。
- 禍福は糾える縄のごとし(かふくはあざなえるなわのごとし):
幸福と不幸は、より合わせた縄のように表裏一体で交互にやってくるということ。 - 人間万事塞翁が馬(じんかんばんじさいおうがうま):
人生の何が幸いし、何が災いするかは予測できないということ。 - 浮き沈み七度(うきしずみななたび):
人生には、浮き上がる時も沈む時も何度もあるということ。 - 楽あれば苦あり(らくあればくあり):
楽しいことの後には苦労があり、苦労の後には楽しみがあるということ。
英語表現
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」を英語で表現する場合、以下の表現が適しています。
Life is full of ups and downs
直訳は「人生は浮き沈みに満ちている」で、最も日常的な表現。良い時(ups)と悪い時(downs)が交互に来るニュアンスを正確に伝える。
Don’t give up so easily. Life is full of ups and downs.
(そう簡単に諦めるな。人生には浮き沈みがあるものだ。)
Every cloud has a silver lining
直訳は「どんな雲も裏側は銀色に光っている」で、どんなに暗い状況(雲)でも、必ずどこかに希望の光があるという励ましの定型表現。
I know things are hard right now, but remember, every cloud has a silver lining.
(今は辛いだろうけれど、どんな困難にも明るい兆しはあるものだよ。)
語順のバリエーション
「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」は、人生の浮き沈みを、川の中でも流れが速く浅い場所を指す「瀬」になぞらえたことわざだ。
「浮く瀬あれば沈む瀬あり」のように語順を入れ替えて使われることもあるが、どちらの順で使っても、悪い時期の後には良い時期が来るという意味は変わらない。
由来となった特定の文献ははっきりとは分かっていない。









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