意味
「枚挙にいとまがない(まいきょにいとまがない)」とは、いちいち数えていられないほど、たくさんあるという意味です。
語源・由来
この言葉は、一つ一つ数え上げるという意味の「枚挙」に、ひまを表す「いとま」を続けたもので、数え上げるひまも無いほど多い、という組み立てです。
「いとま」は漢字で「遑」または「暇」と書くため、「枚挙に遑がない」「枚挙に暇がない」とも表記します。
使い方・例文
- この商店街で起きた自転車の盗難は、今年だけでも枚挙にいとまがない。
- 祖父が町の祭りのために力を尽くしてきた話は、枚挙にいとまがない。
- 彼の漫画に影響を受けたと語る作家は、枚挙にいとまがないほどだ。
戦地からの日記に出てくる「枚挙に遑あらず」
『趣味の遺伝』(夏目漱石)では、語り手が、旅順で戦死した友人の浩さんの日記を読む場面に、文語の形「枚挙に遑あらず」が出てきます。
知り合いの将校が次々に倒れていくことを、数えきれないと書きつけた一節です。
この二三ヶ月間に余が知れる将校の城下に斃れたる者は枚挙に遑あらず。
(この二、三か月のあいだに、私の知っている将校で城の下に倒れた者は、数えきれない。)
類義語
どれも、数がとても多い様子をいう言葉です。
- 数え切れない(かぞえきれない):
数が多くて、最後まで数え終えられないさま。 - 掃いて捨てるほど(はいてすてるほど):
捨ててもまだ困らないくらい、あり余っていることのたとえ。 - 十指に余る(じっしにあまる):
両手の指をすべて折っても足りず、10を超えること。
「遑」はひまとあわただしさ、両方の意味を持つ字
「枚挙に遑がない」の「遑」は、ひま・いとまを表す一方で、いそがしい、あわただしいという意味も持つ漢字です。
中国の古い書物では、もっぱらひまの意味で使われていました。
たとえば『書経』(= 中国古代の政治の記録をまとめた書物)には、周の文王が朝から昼過ぎに日が傾くまで、食事をとるひまもなく働いた、と述べるくだりがあり、そこにも「遑」が使われています。
あわただしい、おそれあわてるという意味は、のちに加わったものです。
「枚挙に遑がない」の「遑」は、このうち古くからあるひまの意味で使われています。

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