意味
「不逞の輩(ふていのやから)」とは、不満を抱いて法や決まりに従わず、勝手な振る舞いをする者たちのことです。
「不逞」に、仲間や連中を指す「輩」を「の」で結んだ言葉で、そうした人々を非難していう言い方です。
- 不逞(ふてい):不平を抱き、勝手に振る舞うこと。
- 輩(やから):仲間。連中。
語源・由来
この言葉の「不逞」は、中国の古典『春秋左氏伝(= 歴史書『春秋』の注釈書)』にも見える古い語です。
襄公十年の条には、鄭の国で執政と争ったり田地を失ったりした五つの氏族が乱を起こす場面に、次の一節があります。
故五族聚群不逞之人,因公子之徒以作亂。
(そこで五つの氏族は、不満を抱く者たちを集め、公子たちの手下を頼って乱を起こした。)
「不逞之輩」という形も漢文に見え、北宋の包拯が皇帝に差し出した意見書には、次の一節があります。
兼訪聞東路州軍以近年科率差役頻併民力困重不逞之輩因而嘯聚所在竊發
(また聞くところでは、東路の各地では近年、税の割り当てや労役が重なって民の力が尽きかけ、不逞の輩がそれに乗じて集まり、あちこちで盗みを働いている。)
日本語では、「の」でつないだ「不逞の輩」か、「不逞な輩」の形で使います。
使い方・例文
秩序を乱す者を強く非難し、ののしる言い方です。
特定の人や集団に向けて使うと、場を問わずひどい侮辱と受け取られるので注意が必要です。
- 夜の公園で騒ぎ、遊具を壊して回る不逞の輩が後を絶たない。
- 城下で乱暴を働く不逞の輩を厳しく取り締まるよう、奉行は命じた。
- 混乱に乗じて店を荒らす不逞な輩に、住民は怒りをあらわにした。
類義語・関連語
法や秩序に従わない者を指す言葉には、次のようなものがあります。
- 無法者(むほうもの):
法や社会の秩序を無視して、乱暴に振る舞う者。
「不逞の輩」と「無法者」の違い
どちらも秩序に従わない者を指しますが、「不逞の輩」は不満を抱いて従わないという点を含み、そうした人々をひとまとめにして非難する言い方です。
| 語句 | 違い |
|---|---|
| 不逞の輩 (ふていのやから) | 不満を抱いて法や命令に従わない者たち |
| 無法者 (むほうもの) | 道理を無視して乱暴な振る舞いをする者 |
1954年の国会で使われた「不逞の輩」
国会会議録には、1954年の本会議で「不逞の輩」が使われた発言が残っています。
4月23日には、大倉精一議員が次のように述べました。
非常識極まるところの暴力をほしいままにして、恬として恥じざるがごとき不逞の輩は一体誰なのか。
3月29日の本会議では、成瀬幡治議員が「然るに吉田首相は、勤労大衆を不逞の輩と罵つたり」と述べています。
首相が働く人々をこの言葉で呼んだことが、国会の場で非難の材料として取り上げられていました。

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