意味
「羊很狼貪(ようこんろうどん)」とは、羊のように人に逆らって手に負えず、狼のように欲が深いことです。
気性の荒さと欲の深さをあわせ持つ人を、二頭の獣にたとえて非難する言葉です。
- 很(こん):人に逆らうこと。かたくなで従わないこと。
- 貪(どん):欲が深いこと。むさぼること。
語源・由来
この言葉は、人に逆らってかたくなな性質を「羊很」、欲深い性質を「狼貪」とたとえ、組み合わせた語です。
中国の歴史書『史記』項羽本紀(= 項羽の事績を記した章)には、これに近い言い回しが見られます。
楚軍の上将軍(= 総大将)の宋義が、進軍をめぐって項羽と言い争った直後に、軍中に出した命令として、次のように記されています。
猛如虎,很如羊,貪如狼,彊不可使者,皆斬之。
(虎のように猛々しく、羊のように強情で、狼のように欲深く、命令に従わない者は、みな斬る。)
項羽はこの後、宋義を陣中で斬り、代わって上将軍となりました。
四字の形は、唐の韓愈の詩「鄆州谿堂詩」(= 地方長官の善政をたたえた詩)に、次のように使われています。
孰為邦蟊,節根之螟。羊很狼貪,以口覆城。
(国をむしばむ害虫、作物の節や根を食う虫のような者、羊のように強情で狼のように欲深く、口先で町を滅ぼす者は誰か。)
新しく着任した長官が、飢えた者や訴えを聞き届けられない者を尋ね、国を害する者を探し出して罰したことをたたえる一節です。
使い方・例文
人の性質をひどく非難するときに使う、書き言葉の四字熟語です。
- 領民から搾り取る代官を、村人たちは羊很狼貪の輩だと陰で非難した。
- 強情で欲深いあの役人を、人々は羊很狼貪と呼んで恐れた。
- 小説に描かれるその悪役は、羊很狼貪と評されるほど強情で欲深い。
「羊很狼貪」は「狠」の字でも書かれた
この語は、韓愈の詩では「很」の字で書かれていますが、後の時代の文章には「狠」と書く例もあります。
朝鮮の金宗直の「弔義帝文」には、「羊狠狼貪」の形で次のようにあります。
羊狠狼貪擅夷冠軍兮。胡不收以膏齊斧。
(羊のように強情で狼のように欲深い者が、ほしいままに冠軍を殺したのに、懐王はなぜその者を捕らえて斧で斬らなかったのか。)
「冠軍」は、史記で「卿子冠軍」と呼ばれた宋義のことです。
宋義を斬った項羽が、宋義の軍令と同じ羊と狼のたとえで非難されています。


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