意味
「踵を返す(きびすをかえす)」とは、くるりと向きを変えて、来たほうへ引き返すという意味です。
「くびすをかえす」とも読みます。
語源・由来
この言葉の「踵」は、足の裏の後ろの部分、つまりかかとのことです。
かかとの向きを逆にする、すなわち体の向きを反対にすることから、あともどりする意味になりました。
使い方・例文
- 家に忘れ物をしたことに気づき、兄は駅の手前で踵を返した。
- 店の前に続く長い行列を見て、彼女は何も言わずに踵を返した。
- 名前を呼ばれた少年は踵を返して、先生のもとへ駆け戻った。
類義語・関連語
どれも、来た方向へ戻ることを表す言い方です。
- 踵を廻らす(きびすをめぐらす):
向きを変えて引き返すこと。「踵を回らす」とも書く。 - 踵を転じる(きびすをてんじる):
あともどりすること。意味は踵を返すとほぼ同じ。 - 引き返す(ひきかえす):
進んでいた途中から、もとの場所へ戻ること。
英語表現
- turn on one’s heel:
急に向きを変えて、その場から足早に立ち去ることを表す表現。不満や冷ややかな態度を示して去る場面で使うことが多い。
When he saw the long line outside the shop, he turned on his heel and went home.
(店の前の長い行列を見ると、彼は踵を返して家に帰った。)
かかと・きびす・くびすは同じ所
漢字の「踵」は「かかと」「きびす」「くびす」の三通りに読み、どれも足の裏の後ろの部分を指します。
「きびす」は、「かかと」と同じように、履物のかかとに当たる部分を指すこともあります。
三つのうち古いのは「くびす」と「きびす」で、どちらも奈良時代までの「くひびす」が形を変えたものです。
平安時代の終わりごろにまとめられた漢字の字引『類聚名義抄』も、「踵」の読みとして「クビス」「キビス」を挙げています。
二つは平安時代以降並んで使われ、「くびす」があらたまった形、「きびす」がふだんの形だったとみられています。
足の後ろを指す「かかと」が文献に現れるのは江戸時代に入ってからで、東日本の言葉でした。
関西では「きびす」が使われていました。
「踵を返す」が今も「きびす」とも「くびす」とも読まれるのは、この二つの形が長く並んで使われてきた名残です。


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