「足(あし)」や「脚(あし)」は、体を支える基盤であり、移動するための重要な部位です。そのため、「足」や「歩く」に関連する言葉は、行動の開始、妨害、移動、あるいは生活の基盤(足元)など、人間の活動の根幹に関わる多様な意味を持って使われています。
「足を引っ張る」「二の足を踏む」「独立独歩」など、現代でも日常的に使われる表現が豊富で、足にまつわる言葉は人間の行動や姿勢を巧みに表現しています。
「足」や「脚」、「歩く」に関連する、主なことわざ・慣用句・四字熟語・故事成語を紹介します。
もくじ
「足・脚・歩く」に関する ことわざ
- 千里の道も一歩から(せんりのみちもいっぽから):
どれほど大きな事業も、手近な最初の一歩から始まるという教え。
中国の古典『老子』の「千里の行も足下より始まる」という一節から。 - 悪事千里を走る(あくじせんりをはしる):
悪い行いや悪い評判は、たちまち遠くまで知れ渡るということ。
中国の『北夢瑣言』にある「好事門を出でず、悪事千里を行く」から。
「足・脚・歩く」に関する慣用句
移動・訪問
- 足を運ぶ(あしをはこぶ):
電話やメールで済ませず、わざわざその場所まで出向いて顔を合わせに行く姿勢を表し、訪問の労を惜しまない気持ちを込めた言い方。 - 足を伸ばす(あしをのばす):
ある所まで行ったついでに、予定よりさらに遠くまで出かけること。 - 足が遠のく(あしがとおのく):
以前は足しげく通っていた場所へ行く回数が徐々に減り、やがて訪れなくなっていく、人間関係や店への愛着が薄れていく様子。 - 足が向く(あしがむく):
頭で考えるより先に、体が自然とその方向へ動いてしまう様子を表し、無意識に引き寄せられる心の動きを映した言葉。 - 踵を返す(きびすをかえす):
あともどりすること。
引き返すこと。
「きびす」はかかとのことで、かかとの向きを逆にする意から。
妨害・トラブル・失敗
- 足を引っ張る(あしをひっぱる):
人の成功や前進をじゃますること。
また、集団の中で妨げになること。 - 足をすくう(あしをすくう):
相手の足を払って支えを失わせる動きから、油断や隙につけ込んで相手を失敗に追い込む様子を表す言葉。 - 揚げ足を取る(あげあしをとる):
人の言い間違いや言葉じりをとらえて、責めたりからかったりすること。
技を掛けようとして上げた相手の足を取って倒すことから。 - 足止めを食う(あしどめをくう):
「食う」は好ましくない出来事を身に受ける意味の言い方で、天候や事故など思わぬ事情により先へ進めなくなる状態。 - 足手まとい(あしでまとい):
「纏(まと)う」は絡みつくという意味で、手足に何かがまつわりついて動けなくなる様子から、行動の邪魔になる人や物を指す言葉。 - 足がつく(あしがつく):
逃げた者の足取りや、犯人の身元が分かること。 - 馬脚を現す(ばきゃくをあらわす):
隠していた本性や悪事が表に出てしまうこと。
「馬脚」は芝居で馬の脚の役を演じる者のことで、転じて、隠していた事柄を指す。
躊躇・決断
- 二の足を踏む(にのあしをふむ):
一歩目は踏み出しても二歩目をためらって足踏みするように、思い切れずにしりごみすること。 - 足踏みする(あしぶみする):
足を交互に上げ下げしながらも前へは進まない動作を表し、計画や交渉などが停滞して進展しない状態。
状態・様子
- 足が棒になる(あしがぼうになる):
長く歩いたり立ち続けたりして、足がこわばるほど疲れ果てる様子。 - 足が地に着かない(あしがちにつかない):
足元が地面から浮いたようにふらつく感覚を表し、喜びや興奮、不安などで気持ちが高ぶり落ち着かない心の状態。 - 足元がおぼつかない(あしもとがおぼつかない):
足取りがしっかりせずふらつく様子を表し、そこから転じて、地位や状況が安定せず心もとない状態も指すようになった言葉。 - 千鳥足(ちどりあし):
酒に酔って、足を左右に踏み違えながらふらふら歩くこと。
千鳥の歩き方に似ていることから。 - 地団駄を踏む(じだんだをふむ):
悔しさや怒りで、激しく何度も地面を踏みつける様子。
「地団駄」は、足で踏んで風を送るふいご「地蹈鞴」の音が変化した語。
経済・依存
- 足が出る(あしがでる):
予算や収入を超える出費になり、赤字になること。 - すねをかじる(すねをかじる):
自分で生計を立てられず、親などに養ってもらうこと。
相手との関係・比較
- 足元を見る(あしもとをみる):
相手の弱みを見抜いて、それにつけこむこと。 - 足元にも及ばない(あしもとにもおよばない):
相手の足元、つまり最も近い位置にすら追いつけないという例えで、実力の差が大きく比べものにならない様子を表す言い方。
基盤・協調
- 足並みを揃える(あしなみをそろえる):
複数の人が同じ歩調で歩くこと。
転じて、考えや行動をそろえること。 - 足場を固める(あしばをかためる):
物事を進めるための土台や立場を、しっかり安定させる様子。
その他
- 足を洗う(あしをあらう):
悪い仲間から離れたり、好ましくない仕事や暮らしをやめたりすること。
汚れた足を洗うように、よくない世界から抜け出る意から。 - 足が早い(あしがはやい):
食べ物が腐りやすいこと。
また、商品の売れ行きがよいこと。
「足・脚・歩く」に関する四字熟語
- 独立独歩(どくりつどっぽ):
他人に頼らず、自分の信じるところに従って行動すること。 - 牛歩(ぎゅうほ):
牛のように歩みが遅いこと。
物事が遅々として進まない様子。
議事の進行をわざと遅らせる国会の「牛歩戦術」の語にも使われる。
「足・脚・歩く」に関する故事成語
- 百尺竿頭一歩を進む(ひゃくしゃくかんとういっぽをすすむ):
百尺もある竿の先という高い境地に達しても、さらに一歩を進めて向上を目指すこと。 - 邯鄲の歩み(かんたんのあゆみ):
むやみに他人の真似をしようとして、自分本来のやり方まで忘れてしまうことのたとえ。
(趙の都、邯鄲の人の歩き方を学ぼうとした燕の若者の故事から)
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