「鼻」は、匂いを嗅ぐという嗅覚の役割だけでなく、顔の中心にあることから「鼻が高い(得意げ)」「鼻にかける」のように、その人の自尊心や態度を表す言葉としても多く使われています。
「鼻が高い」「鼻につく」「鼻が利く」など、現代でも日常的に使われる表現が豊富で、鼻にまつわる言葉は人間の感情や態度を巧みに表現しています。
ここでは、「鼻」や「嗅ぐ」に関連する言葉を紹介します。
「鼻・嗅ぐ」に関する慣用句
自尊心・プライド・得意
- 鼻が高い(はながたかい):
得意で誇らしい気持ち。人は自慢げなとき自然と胸を張り、鼻先が上を向く様子から生まれたと言われ、鼻は古来自尊心の象徴だった。 - 鼻にかける(はなにかける):
自慢げにふるまい、得意がる様子。アヘン戦争後の中国で、鼻の高い西洋人の高慢な態度を揶揄した故事に由来するという説がある。 - 鼻を明かす(はなをあかす):
相手の隙を突いて出し抜き、あっと言わせて驚かせる振る舞い。江戸時代、見張りの目を巧みにかいくぐった盗人の隠語が起源とも言われる。 - 鼻を折る(はなをおる):
得意になり高慢になっている人の勢いを、あえてくじいて恥をかかせる振る舞い。高く上がった自慢の「鼻」をへし折るという比喩から生まれた言葉。 - 鼻柱が強い(はなばしらがつよい):
負けず嫌いで意地っ張りな気性を表す言葉。鼻筋を指す「鼻っ柱」の強さを、頑として自説を譲らない気の強さにたとえた言い方。 - 鼻息が荒い(はないきがあらい):
意気込みが激しく、強気で威勢のよい様子。獣が興奮すると鼻息が荒くなる生態を、人の高ぶった感情の勢いに重ね合わせた表現とされる。
嗅覚・察知能力
- 鼻が利く(はながきく):
嗅覚が鋭く、においを敏感にかぎ分ける力。転じて、儲け話や有益な情報をいち早く見つけ出す勘のよさをたとえる言い方。 - 鼻毛を読む(はなげをよむ):
相手が自分に夢中なのを見抜き、思うままにあしらうこと。鼻の下が伸びた男は鼻毛まで見えるはずという、洒落から生まれた表現とされる。
軽蔑・冷淡な態度
- 鼻であしらう(はなであしらう):
相手を見下し、そっけない態度であしらい応じること。鼻先でふんと息を抜くような、まともに取り合わない冷淡な振る舞いを表す言葉。 - 木で鼻を括る(きではなをくくる):
無愛想で、取りつく島もないほど冷淡な対応。紙の貴重だった昔、木で鼻をこすった不快な顔つきが由来という説が有力とされる。 - 鼻もひっかけない(はなもひっかけない):
相手を全く問題にせず、無視すること。本来は「洟も引っ掛けない」と書き、鼻水すら向けないほど眼中にない意から生まれた言い方。 - 鼻先で笑う(はなさきでわらう):
人をばかにして、鼻先であざけるように笑うこと。「ふん」と鼻から息を抜いて笑う仕草そのものが、見下した態度の表れという。
不快感・嫌悪
- 鼻につく(はなにつく):
言葉や態度が嫌味に感じられ、我慢ならないこと。不快なにおいが鼻先にまとわりつく感覚を、人の言動の煩わしさにたとえた表現。 - 鼻持ちならない(はなもちならない):
相手の言動がひどく嫌味で、我慢ができないほどであるさま。悪臭を手で持てないほど嫌がる感覚を、人柄の不快さに重ねた言い方。 - 鼻白む(はなじろむ):
興味を失ったり気後れしたりして、白けた顔つきになること。急な失敗や気まずさで鼻の辺りが青ざめる感覚が由来という説がある。
その他の表現
- 鼻の下が長い(はなのしたがながい):
(主に男性が)女性に甘く、だらしない様子。好き合う相手を前にすると鼻の下が伸びてゆるむという、浮かれた表情を揶揄した言い方。 - 鼻を鳴らす(はなをならす):
甘えてすり寄ったり、不満を示したりするしぐさ。犬が鼻先でくんくんと音を立てて甘える様子を、人の振る舞いに重ねた表現。 - 鼻を突き合わせる(はなをつきあわせる):
顔を寄せ合うほど、非常に近い距離にいること。互いの鼻先が触れそうなほど接近した様子を、そのまま言葉にしたたとえ。
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