意味
「常軌を逸する(じょうきをいっする)」とは、世間のふつうから外れた、常識はずれの言動をとるという意味です。
「常軌を失する(じょうきをしっする)」とも言います。
- 常軌(じょうき):ふつうに踏み行うべき道。
- 逸する(いっする):決まった枠から外れる。
語源・由来
この言葉の「軌」は、車輪が通ったあとに残るくぼみ、わだちを指す字です。
そこから、決まった筋道や手本という意味が生まれました。
「軌道」「軌跡」も同じ字を使う言葉です。
「常軌」はいつもその上を進むべき筋道のことで、「逸する」はその筋道からそれるという意味です。
使い方・例文
- 真冬に半袖で雪山へ登るなんて、常軌を逸している。
- 彼の練習量は常軌を逸するほどで、毎朝4時から走っていた。
- 客の常軌を逸した要求が続き、店員たちは困り果てた。
類義語・関連語
ふつうの程度や常識から外れる、という点で共通する語です。
- 常識外れ(じょうしきはずれ):
世の中の多くの人が当たり前と考えることから、大きくずれていること。 - 度を越す(どをこす):
適切な程度を超えて、やりすぎること。常識から外れることより、量や程度の行き過ぎをいう。
英語表現
beyond the pale
人やその振る舞いが、世間で許される範囲の外にあること。
His behavior at the meeting was beyond the pale.
(会議での彼の振る舞いは常軌を逸していた。)
北魏の役人の意見書に出てくる「常軌」
「常軌」という語は、中国の歴史書『北史』(= 中国の北朝の歴史をまとめた書物)にも出てきます。
北魏(= 中国北部にあった王朝)の役人韓麒麟は、都がひどい飢饉に見舞われた年に、皇帝へ意見書を差し出しました。
その中で、昔は穀物を納めた者を敵を討った者と同じ位で報い、田畑に励む者を親孝行な者と同じようにほめたと述べ、次のように続けています。
實百王之常軌,為政之所先。
(まことに代々の王が守ってきたいつもの道であり、政治でまず行うべきことである)
そのうえで韓麒麟は、都では田畑を耕さずに暮らす人が3分の2を占めていると訴え、農業を勧めるよう求めました。
ここでの「常軌」も、代々の王が外れずに守ってきた筋道という意味で使われています。

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