習うより慣れよ

ことわざ
習うより慣れよ(ならうよりなれよ)

8文字の言葉」から始まる言葉
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スポーツや勉強、あるいは新しい仕事を始めたとき、「頭では分かっているのに、うまくできない」と感じたことはありませんか。そんな時、昔からよく言われるのが「習うより慣れよ」という言葉です。

これは、知識として教わることよりも、実際に経験を積むことのほうが大切であり、上達への近道である、という意味を持つことわざです。

「習うより慣れよ」の意味・教訓

「習うより慣れよ(ならうよりなれよ)」とは、人から教わったり、本で知識を学んだりすること(習う)よりも、実際に自分で何度も体験し、練習を重ねて身につけること(慣れる)のほうが、物事を本当に理解し、上達するためには重要である、という教訓を示しています。

理論を学ぶことも大切ですが、実践的なスキルや感覚は、繰り返し行うことで初めて自分のものになる、という経験の価値を説いた言葉です。

「習うより慣れよ」の語源

このことわざの正確な語源や特定の出典は明らかになっていませんが、古くから人々の経験則として広く使われてきた言葉です。

「習う」という知識のインプットと、「慣れる」という実践による体得を対比させ、後者の重要性を強調する表現は、洋の東西を問わず多くの文化で見られます。
日本においても、武道や芸事、職人の世界などで、師匠の教え(習う)を受けながらも、最終的には弟子自身が稽古や修行(慣れる)を積むことで技術を体得してきた歴史が、この言葉を支えています。

使用される場面

スポーツの練習、楽器の演奏、自転車の乗り方、プログラミング、料理の手順、あるいは仕事のスキル習得など、理論やマニュアルだけでは身につかない実践的な技術や感覚を要する、あらゆる場面で使われます。

初心者が戸惑っている時や、理論ばかりで実践が伴わない人へのアドバイスとして用いられることが多いです。

例文

  • 「最初は難しくても、毎日続ければ大丈夫。習うより慣れよだよ。」
  • 「いくらマニュアルを読んでも、実際の運転感覚はつかめない。まさに習うより慣れよだ。」
  • 「テニスのサーブは、習うより慣れよで、とにかく数を打つしかない。」
  • 「新入社員の頃は、先輩の動きを見て習うより慣れよで仕事を覚えたものだ。」

類義語・言い換え表現

「習うより慣れよ」と似た、経験や実践の重要性を説く言葉を紹介します。

  • 百聞は一見に如かず(ひゃくぶんはいっけんにしかず):
    何度も聞くより、一度実際に見たほうが確かだということ。知識よりも実体験の重要性を示す点で共通します。
  • 亀の甲より年の功(かめのこうよりとしのこう):
    年の功、つまり長年の経験が貴重であるというたとえ。経験の価値を重んじる点で似ています。
  • 叩き上げ(たたきあげ):
    学校などで理論を学ぶのではなく、現場での実務経験を積んで一人前になった人。まさに「習うより慣れよ」を体現した人を指します。

対義語

「習うより慣れよ」とは反対に、知識や理論、学ぶことの重要性を示す言葉です。

  • 習わぬ経は読めぬ(ならわぬきょうはよめぬ):
    学んだり教わったりしなければ、何もできないということ。学習(習うこと)の必要性を説いています。
  • 知は力なり(ちはちからなり):
    知識を持つことは、物事を成し遂げる力になるということ。
  • 愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ(ぐしゃはけいけんにまなび、けんじゃはれきしにまなぶ):
    自分の経験(慣れ)だけに頼るのではなく、他者の経験や知識(習う)から学ぶことの重要性を示す言葉。

英語での類似表現

「習うより慣れよ」のニュアンスに近い英語表現を紹介します。

Practice makes perfect.

  • 意味:「練習が完璧さを作る」
  • 解説:「習うより慣れよ」の英語表現として最も一般的に使われるフレーズです。「完璧」に至るためには、実践的な「練習(Practice)」が不可欠であるという意味で、まさに「慣れる」ことの重要性を示しています。
  • 例文:
    Don’t worry if you make mistakes at first. Practice makes perfect.
    (最初は間違えても心配しないで。習うより慣れよだよ(練習すれば完璧になるよ)。)

Experience is the best teacher.

  • 意味:「経験は最良の教師である」
  • 解説:理論や書物(Teacher)から「習う」ことよりも、実際の「経験(Experience)」から学ぶことが最も優れている、という意味です。「習うより慣れよ」の核心的な意味と非常に近い表現です。
  • 例文:
    You can read all the books you want, but experience is the best teacher.
    (好きなだけ本を読むことはできるが、結局は経験が最良の教師だ。)

「習うより慣れよ」に関する豆知識 – 「守破離」との関係

日本の武道や芸道、職人の世界には「守破離(しゅはり)」という、修行の段階を示す言葉があります。

  1. 守(しゅ):師の教えや型を忠実に「守る」段階。(=習う)
  2. 破(は):師の教えを基礎としつつ、それを「破り」自分なりの工夫を加える段階。
  3. 離(り):師から「離れ」、独自の新しい境地を切り開く段階。

「習うより慣れよ」は、特にこの「守」から「破」へ移行する過程の重要性を示しているとも言えます。
まず基本を「習う」ことは大前提ですが、それを自分のものにするためには、反復練習(慣れる)によって型を体に染み込ませ、やがてそれを超えていく(破・離)必要があるのです。

守破離 - Wikipedia

まとめ – 「習う」と「慣れる」のバランス

「習うより慣れよ」は、知識を得ること(習う)を否定しているわけではありません。むしろ、教わったことを本当に自分の力にするためには、実践と反復練習(慣れる)が欠かせない、ということを力説しています。

理論という「地図」を手に入れることも大切ですが、実際にその道を「歩いてみる」ことでしか得られない感覚や知恵があります。新しいことに挑戦するとき、難しく感じても諦めずに実践を続けることの大切さを、このことわざは教えてくれますね。

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