慣用句 故事成語 ことわざ

頂門の一針

(ちょうもんのいっしん)

相手の急所をついて強く戒めること。また、痛いところをつく教訓。

異形:頂門一針

10文字の言葉 / 「ち・ぢ」から始まる言葉
頂門の一針 ことば
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意味

「頂門の一針(ちょうもんのいっしん)」とは、相手のいちばん痛いところを突いた、手厳しい戒めを指す言葉です。
頭のてっぺんに一本の針を刺すという例えで、戒めることにも、急所を押さえた教訓そのものにも使います。
相手の弱点を正確に言い当てた、適切な忠告という含みがあります。
「一針」は「ひとはり」と読まれることもあります。

  • 頂門(ちょうもん):頭のてっぺん。
  • 一針(いっしん):一本の針。

語源・由来

この言葉は、頭のてっぺんに針を刺す治療法があったことから生まれた例えです。
もとになった話は、中国・南宋の羅大経らたいけいが書いた随筆集『鶴林玉露かくりんぎょくろ』にあり、学者の朱熹しゅき(= 朱子学を開いた人)が、論敵だった陳亮ちんりょうに語った言葉が次のように記されています。

朱文公告陳同父曰:「真正大英雄人,卻從戰戰兢兢、臨深履薄處做將出來,若是氣血粗豪,卻一點使不著也。」此論於同父,可謂頂門上一針矣。
(朱熹が陳亮に言った。「本当の大英雄は、びくびくと身を慎み、深い淵をのぞき薄い氷を踏むような用心深さの中から事を成し遂げる。血の気にまかせて荒っぽいだけでは、少しも役に立たない」。この言葉は陳亮にとって、頭のてっぺんに打つ一本の針というべきものだ)

豪快さだけでは大きな仕事はできないという朱熹しゅきの忠告を、羅大経らたいけいは陳亮ちんりょうの急所に打ち込まれた針に例えました。
原文では「頂門上一針」と、「上」の字が入っています。

使い方・例文

  • 恩師の「君の文章は飾りが多すぎる」という一言は、まさに頂門の一針だった。
  • 監査役の指摘は、慢心していた経営陣への頂門の一針となった。
  • 後輩の率直な質問が、思わぬ頂門の一針になることもある。
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英語表現

英語では、次の表現が意味の近いものです。

home truth

本人が認めたくない自分自身の不都合な事実を、人から面と向かって告げられる場面で使う表現。

My mentor told me a few home truths about my writing.
(恩師は私の文章について、頂門の一針となる忠告をくれた。)

「頂門の一針」の続き、羅大経が挙げた英雄は禹・周公・孔子

『鶴林玉露かくりんぎょくろ』のこの話には続きがあり、羅大経らたいけいは朱熹しゅきの言葉を受けて、慎み深さと大きな仕事を両立させた人物を3人挙げています。
自分の手柄を誇らなかった禹う(= 伝説で治水に成功したとされる古代の王)は、龍門りゅうもんの山を切り開いて川を通しました。
おごらず、へりくだって人を迎えた周公しゅうこう(= 周王朝の初めに幼い王を補佐した政治家)は、3年に及ぶ東方への遠征の末に周の王室を安定させています。
故郷ではものを言えない人のように見えるほど控えめだった孔子も、政治の場では萊らいの人々を退け、有力な三家の城を取り壊させるなどの大仕事をしています。

その一方で羅大経らたいけいは、むごく、税を厳しく取り立て、平気で人を殺す者を「才がある」、近所で騒ぎ、宴席で人をののしって、はばかることのない者を「気概がある」、損得を計算して都合のよいほうにつき、人を陥れるのがうまい者を「知恵がある」と呼ぶ後の時代の風潮を批判しました。
こうした人々は、損得や生死がかかった場面に立たされると、ほとんどが取り乱して自分の節度を失ってしまう、と書いています。

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