四字熟語

杯盤狼藉

(はいばんろうぜき)

酒宴が終わった後、杯や皿が席の上に散らかっているさま。

異形:盃盤狼藉

8文字の言葉 / 「は・ば・ぱ」から始まる言葉
杯盤狼藉 ことば
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意味

「杯盤狼藉(はいばんろうぜき)」とは、宴会がすんだあと、杯や皿があちこちに散らばって席が取り散らかっているさまという意味です。
「杯盤」という酒席の道具と、乱雑なさまを表す「狼藉」を組み合わせ、酒盛りの後の乱れた様子を器の散らばりで言い表しています。

  • 杯盤(はいばん):杯と皿。酒席の道具。
  • 狼藉(ろうぜき):物が乱雑に散らかっているさま。

語源・由来

この四字は、中国の歴史書『史記』の滑稽列伝こっけいれつでん(= 弁舌で君主をいさめた人物たちの伝記)に出てきます。
斉せいの国の淳于髡じゅんうこんが、楚その大軍を退ける手柄を立てたあと、喜んだ威王に酒宴に招かれ、「先生はどれほど飲めば酔うのか」と問われました。
淳于髡じゅんうこんは「一斗でも酔い、一石でも酔います」と答え、酒を飲む場によって酔い方が違うことを順に語ります。
王の前ではかしこまって一斗で酔い、夜が更けて座がくだけた宴では一石(= 一斗の十倍)まで飲めると述べます。
その場面にある次の一節が、「杯盤狼藉」の出どころです。

日暮酒闌,合尊促坐,男女同席,履舄交錯,杯盤狼藉,堂上燭滅
(日が暮れて酒もたけなわを過ぎると、酒樽を寄せて席を詰め、男女が同じ席につき、履物は入り乱れ、杯や皿は散らかり放題、座敷の灯も消えてしまう)

「狼藉」の字については、「狼」はみだれる、「藉」は乱雑なさまを表すとされ、狼が草を敷いて寝た跡が乱れていることによるという説もあります。
宋の蘇軾そしょくの『赤壁の賦ふ』(= 賦は韻を踏む文章の形式)にも、舟の中で客と飲み明かした後のさまを「杯盤狼籍」(「藉」を「籍」と書く形)と描いた一節があります。

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使い方・例文

「杯盤狼藉たる座敷」「杯盤狼藉としている」のように、「たる」「として」を付けた形でも使います。

  • 忘年会がお開きになった座敷は、まさに杯盤狼藉のありさまだった。
  • 祝勝会の後の杯盤狼藉たる広間を、幹事たちが黙々と片づけた。
  • 翌朝居間に入ると、テーブルの上はゆうべの宴会のまま杯盤狼藉としていた。

関連語

物が散らかっているさまを表す語です。

  • 落花狼藉(らっかろうぜき):
    花が散り乱れること。転じて、物が乱雑に散らばっているさまや、女性や子供に乱暴をはたらくこと。

「杯盤狼藉」と「落花狼藉」の違い

どちらも「狼藉」を含み、物が散らかったさまを表します。
「杯盤狼藉」は酒宴の後の杯や皿に限った言葉で、「落花狼藉」は散らかる物を選ばず、乱暴を働く意味もあります。

語句散らかっているものほかの意味
杯盤狼藉
(はいばんろうぜき)
酒宴の後の杯や皿なし
落花狼藉
(らっかろうぜき)
花。転じて物全般女性や子供に乱暴をはたらくこと

「杯盤狼藉」の宴の話は、酒好きの王へのいさめだった

『史記』によると、斉せいの威王は夜通しの酒盛りを好み、政治を家臣に任せきりにしていました。
淳于髡じゅんうこんは杯盤狼藉の宴を語ったあと、次のように話を結んでいます。

故曰酒極則亂,樂極則悲;萬事盡然,言不可極,極之而衰
(だから、酒が極まれば乱れ、楽しみが極まれば悲しみに変わるといいます。何事もみなそうで、極めてはならず、極めれば衰えるということです)

『史記』は、これが遠回しのいさめであったと記しています。
王は「善し」と答えて夜通しの酒盛りをやめ、淳于髡じゅんうこんを諸侯の客をもてなす役に取り立てました。

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