意味
「一顰一笑(いっぴんいっしょう)」とは、顔をしかめたり笑ったりする、ちょっとした表情の動きのことです。
そこから、表情に表れる人の機嫌や顔色のことも指します。
- 一(いつ):少し。ちょっと。
- 顰(ひん):不快に思って顔をしかめること。
語源・由来
この言葉は、中国の思想書『韓非子』の「内儲説」上篇にある、韓の昭侯(= 戦国時代の韓の君主)の話が由来です。
昭侯が古くなった袴をしまっておかせたところ、そばに仕える者が、自分たち側近に与えずにしまい込むのは思いやりがないと言いました。
昭侯はそれに答えて、次のように述べています。
吾聞明主之愛一嚬一笑,嚬有爲嚬,而笑有爲笑。今夫袴,豈特嚬笑哉!袴之與嚬笑相去遠矣。吾必待有功者,故收藏之,未有予也。
(賢い君主は、一度顔をしかめることも一度笑うことも惜しむと聞いている。しかめるにはしかめるだけの理由があり、笑うには笑うだけの理由がある。この袴は、しかめ顔や笑顔どころのものではない。袴としかめ顔・笑顔とでは、大きな隔たりがある。わたしは必ず手柄を立てた者を待って与えるので、しまっておいてまだ誰にも与えていないのだ。)
原文では「顰」の代わりに、同じく顔をしかめるという意味の「嚬」の字が使われています。
使い方・例文
- 新人のころは、上司の一顰一笑に振り回されてばかりいた。
- 客の一顰一笑を見逃さないのが、この店の店主の強みだ。
- 母の一顰一笑を気にして、弟は成績表をなかなか見せられずにいる。
類義語・関連語
- 一笑一顰(いっしょういっぴん):
「一顰一笑」の語順を入れ替えた語。
「一顰一笑」の話は『韓非子』の「賞誉」の例
昭侯の話が載る「内儲説」上篇は、君主が臣下を使うための七つの術(= やり方)を挙げ、それぞれに例となる話を添えています。
この話は、その三つ目の「賞誉」(= ほうびとほめ言葉)の例です。
賞譽薄而謾者下不用也,賞譽厚而信者下輕死。
(ほうびが少なく当てにならなければ臣下は働かず、ほうびが多く確かであれば臣下は命も惜しまない。)
同じ項目には、昭侯の話を指して、次のようにもあります。
昭侯知之,故藏弊袴。
(昭侯はこれを知っていたので、古い袴をしまっておいた。)

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