意味
「陰謀詭計(いんぼうきけい)」とは、ひそかにたくらむ悪事や、人をだまして陥れようとする計略のことです。
語源・由来
この言葉は、「陰謀」と「詭計」を重ねた語です。
中国・明の思想家王陽明の語録『伝習録』(= 門人が師の言葉や手紙をまとめた書)の上巻に、この四字の形が出てきます。
門人の徐愛との問答の中で、王陽明が語った次の一節です。
世儒只講得一個伯者的學問,所以要知得許多陰謀詭計,純是一片功利的心,與聖人作經的意思正相反,如何思量得通?
(世の儒者は覇者の学問ばかりを論じているので、多くの陰謀詭計を知りたがる。それはまったく利益を求める心であり、聖人が経書を作った意図とは正反対だ。それでどうして聖人の考えを理解できようか。)
使い方・例文
- 対立する派閥の陰謀詭計によって、大臣は職を追われた。
- 物語の後半では、家老が巡らせた陰謀詭計が次々に明かされる。
- 彼は陰謀詭計に頼らず、正面からの議論で相手に挑んだ。
類義語・関連語
人をあざむくための策略を表す語には、次のようなものがあります。
- 権謀術数(けんぼうじゅっすう):
相手をたくみにあざむくはかりごと。さまざまな計略をめぐらすこと。
「陰謀詭計」は『春秋』の読み方を論じた問答に出る
『伝習録』でこの語が出てくるのは、歴史書『春秋』の読み方をめぐる問答です。
徐愛は、『春秋』は注釈書の『左伝』が無ければ分かりにくいと述べ、『左伝』は事件の記録、『春秋』の本文はそれへの判断にあたるという、宋の学者程伊川の考えを持ち出しました。
これに対して王陽明は、『春秋』に「弒君」(= 主君を殺す)と書いてあれば、それだけで罪は明らかで、細かな事情を問う必要はないと答えています。
そして、人の欲をほしいままにして天理(= 天の正しい道理)を滅ぼすような事柄を、聖人は詳しく人に示そうとはしなかったと述べ、「陰謀詭計」を含む一節が続きます。
問答の最後で王陽明は、次のように嘆いています。
此非達天德者,未易與言此也!
(天の徳に達した者でなければ、この話をするのはたやすくない。)

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