意味
「天地晦冥(てんちかいめい)」とは、空も地上も光を失い、辺り一面が暗やみになるという意味です。
「晦冥」一語でも辺りが暗くなることを表し、「天地」を添えることで見渡すかぎりすべてが暗い様子を表します。
- 晦冥(かいめい):光がとだえて暗くなること。暗やみ。
語源・由来
この言葉は、「天地」と「晦冥」を組み合わせた語です。
「晦冥」は古くからある漢語で、中国の歴史書『史記』の高祖本紀(= 漢の高祖劉邦の伝)にも出てきます。
使い方・例文
- 夕立の黒雲が町を覆い、昼過ぎなのに天地晦冥となった。
- 火山の噴煙が空をふさぎ、麓の村は天地晦冥の中にあった。
- 雷鳴とともに天地晦冥となり、登山隊は岩陰で嵐をやり過ごした。
類義語・関連語
「晦冥」を使って、辺りが暗くなる様子を表す語には次のものがあります。
- 風雨晦冥(ふううかいめい):
風と雨のために辺りが暗くなること。暗さの原因である風雨を語に含む点が「天地晦冥」との違い。
「天地晦冥」は、馬鳴と魔の力比べの始まりに描かれる
仏教の祖師の伝を記した漢籍『仏祖綱目』の巻第十三には、僧の馬鳴の伝があり、その中に「天地晦冥」が出てきます。
説法をしていた馬鳴は、魔がやって来ることを予告しました。
马鸣曰。将有魔来。与吾较力。有顷风雨暴至。天地晦冥。
(馬鳴が言った。「魔がやって来て、私と力比べをしようとしている」。しばらくすると風雨が激しく襲い、天地が暗やみになった。)
馬鳴が空を指さすと大きな金色の竜が現れて山々を震わせ、魔のしわざは消えました。
7日後、馬鳴は座の下にひそむ小さな虫を見つけ、それが魔の化けた姿だと人々に示しました。
元の姿に戻った魔は迦毗摩羅と名のって悔い改め、三千人の仲間とともに出家しました。
のちに馬鳴は、この迦毗摩羅に教えを託しています。

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