悲憤慷慨

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四字熟語
悲憤慷慨
(ひふんこうがい)

7文字の言葉ひ・び・ぴ」から始まる言葉

ニュースで流れる社会の不正や、理不尽な出来事を見聞きして、胸が張り裂けるような悲しみと激しい怒りを同時に覚える。
そんな、個人の損得を超えた強い正義感や憤りを表す言葉が、
「悲憤慷慨」(ひふんこうがい)です。

意味

社会の悪や運命の理不尽さに対し、悲しみ憤り、嘆くこと。

「悲憤慷慨」とは、自分の力ではどうにもならない事態や、世の中の不正義に対して、悲しみと憤りを爆発させる心情を指します。
単に怒っているだけでなく、「世の中を良くしたい」「許せない」という義侠心や正義感が根底にあるのが特徴です。

  • 悲憤(ひふん):悲しみ、いきどおること。
  • 慷慨(こうがい):世の中の不正や理不尽な運命に対して、激しく憤り嘆くこと。

語源・由来

「悲憤」と「慷慨」は、どちらも古くから中国の文章で使われてきた感情表現です。

「悲憤」は文字通り、悲しみと憤りがないまぜになった状態を指します。
一方の「慷慨」は、志を持った人物が、思うようにならない世の中や自分の境遇に対し、意気を高ぶらせて嘆く様子を表します。
この二つの言葉を重ねることで、やり場のない悲しみと、不正に対する激しい怒りが頂点に達している状態を強調しています。

出典としては、中国の歴史書『晋書(しんじょ)』にある「陸雲伝(りくうんでん)」の一節、「悲憤慷慨、これを見るに忍びず(あまりの惨状に悲しみ憤り、見ていられない)」などが知られており、古くから知識人や志士の間で使われてきました。

使い方・例文

「悲憤慷慨」は、個人的な些細なトラブル(足を踏まれた、悪口を言われたなど)には使いません。
政治腐敗、社会問題、組織ぐるみの隠蔽工作など、公的な問題や道徳的に許されない事柄に対して使われます。

例文

  • 連日のように報道される汚職事件に対し、国民は「悲憤慷慨」している。
  • 彼は会社の不正なやり方に「悲憤慷慨」し、ついに内部告発を決意した。
  • かつての同志が権力に溺れていく姿を見て、先生は「悲憤慷慨」して酒をあおった。

誤用・注意点

感情のスケールに注意
あくまで「義憤(正義のための怒り)」や「世の中への嘆き」を含む言葉です。
「注文した料理が遅い」「ゲームで負けた」といった個人的な不満に対して使うと、大げさすぎて滑稽に響くため注意が必要です。

類義語・関連語

「悲憤慷慨」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 憂国慨世(ゆうこくがいせい):
    今の世の中の状態を嘆き、国の将来を心配すること。
  • 義憤填膺(ぎふんてんよう):
    正義に外れたことに対する怒りが、胸いっぱいに満ちること。
    「填膺」は胸に満ちるという意味。
  • 公憤(こうふん):
    社会の悪や不正に対する、世間一般の怒り。
  • 慷慨憤激(こうがいふんげき):
    世の中の不正や自分の不運に対して、激しく憤り嘆くこと。
    「悲憤慷慨」よりもさらに怒りの度合いが強いニュアンスがあります。

対義語

「悲憤慷慨」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。

  • 泰然自若(たいぜんじじゃく):
    何が起きても落ち着いていて、動じない様子。
    感情を露わにしない点などが対照的です。
  • 春風駘蕩(しゅんぷうたいとう):
    春風がのどかに吹くように、温和でのんびりとした人柄や様子のこと。
    物事にこだわって憤ったりしない態度の対比として挙げられます。

英語表現

「悲憤慷慨」を英語で表現する場合、正義に基づく怒りであることを伝えます。

righteous indignation

  • 意味:「義憤」「もっともな怒り」
  • 解説:”righteous”(正義の、当然の)と “indignation”(不正に対する憤り)を組み合わせた表現です。
  • 例文:
    He was filled with righteous indignation at the injustice.
    (彼はその不正に対して、悲憤慷慨した。)

幕末の志士と「慷慨」

この言葉に含まれる「慷慨」という表現は、日本の幕末において、多くの若き志士たちに好んで使われました。
国の行く末を案じ、現状を変えようと議論を戦わせることを「慷慨談(こうがいだん)」と呼んだり、そうした若者を「慷慨家(こうがいか)」と呼んだりしました。
彼らが酒を酌み交わしながら、涙を流して熱く語り合った心情こそが、まさにこの言葉の表すところと言えるでしょう。

まとめ

社会の矛盾や不正に対して、深い悲しみと激しい怒りを持って嘆くこと。
それが「悲憤慷慨」(ひふんこうがい)です。

単なるヒステリーや個人的な不満ではなく、そこには「あるべき姿」を求める強い正義感や理想が存在します。現代においても、理不尽なニュースに触れたとき、私たちが抱く「許せない」「なんとかしたい」という熱い想いを、端的に表してくれる言葉です。

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