意味
「一家言(いっかげん)」とは、その人ならではの考えや主張のことです。
また、物事に通じた人の、すぐれた見識をそなえた意見をいうこともあります。
語源・由来
この言葉の「一家」は、家族のことではなく、学問や芸術などで独自の立場を持つ一派を指します。
中国の歴史書『史記』の最後の巻には、著者の司馬遷がこの書物にこめた思いを述べた、次の一節があります。
以拾遺補闕,成一家之言
(書き漏らされたことを拾い、欠けたところを補って、独自の一派としての説を打ち立てる)
「一家言」という語も、この「一家の言」と同じ字の組み立てでできています。
使い方・例文
- 祖父は将棋について一家言あり、話し出すとなかなか止まらない。
- 姉はコーヒーの入れ方に一家言を持っていて、豆の選び方にもこだわる。
- 長年現場を見てきた監督の一家言には、若い選手たちも耳を傾ける。
類義語・関連語
自分なりの考えや物の見方を表す言葉です。
- 一見識(いちけんしき):
物事に対する確かな考えや、人並み以上の物の見方。「いっけんしき」とも読む。 - 持論(じろん):
前々から主張している自分の意見。
その人独自かどうかは問わない点が一家言と異なる。
司馬遷の「一家の言」は52万6500字
『史記』の最後の巻で「一家の言を成す」と述べるすぐ前に、司馬遷は書物全体の大きさを書き記しています。
本紀・表・書・世家・列伝を合わせて130篇、字数は52万6500字です。
書き上げた本の行き先については、次のように続けています。
藏之名山,副在京師,俟後世聖人君子
(これを名山に納め、副本を都に置いて、後の世の聖人や君子を待つ)
今の「一家言」は、コーヒーの入れ方のような身近なことへのこだわりにも使います。
同じ字を使った『史記』の「一家の言」は、130篇の歴史書を書き上げた司馬遷が、自分の立てた説として後の世に託したものでした。

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