意味
「のっぴきならない」とは、どうにも身動きがとれず、逃れようがないという意味です。
避けたくても避けられない用事や、引き下がりたくても引き下がれない立場について言います。
語源・由来
この言葉は、「のきひき(退引)」が詰まって「のっぴき」となった語に、打消しの「ならない」が付いたものです。
「のっぴき」は、身をかわして後ろへ下がる、逃れるという意味の言葉です。
いつも打消しの語と組んで使われ、相手を逃がさないという意味の「のっぴきさせない」という形もあります。
漢字では「退っ引きならない」とも書きます。
「退」を「のく」と読むのは、常用漢字表に無い読み方です。
使い方・例文
「のっぴきならない事情」のように名詞の前に置くほか、「〜がのっぴきならなくなる」と述語にしても使います。
- のっぴきならない用事ができて、楽しみにしていた同窓会を欠席した。
- 締め切りが三つも重なり、のっぴきならない状況に追い込まれている。
- 小さな嘘を重ねるうちに、彼の立場はのっぴきならなくなっていった。
類義語・関連語
いずれも、追い詰められて身動きのとれない状態を表す言葉です。
- 抜き差しならない(ぬきさしならない):
動きがとれないこと。意味は「のっぴきならない」とほぼ同じ。 - 二進も三進も行かない(にっちもさっちもいかない):
物事が行き詰まり、どうにもならないさま。 - 進退窮まる(しんたいきわまる):
前へも後ろへも動けず、窮地に立たされること。
英語表現
be in a tight corner
苦しい立場に追い込まれている状態。
spot を使って be in a tight spot とも言う。
After the deal fell through, the company was in a tight corner.
(取引が流れて、その会社はのっぴきならない立場に追い込まれた)
そろばんと詩経から来た類義語
「のっぴきならない」と似た意味の言葉には、まったく別のところから生まれたものがあります。
「二進も三進も行かない」は、そろばんの割り算から出た言葉で、もとは計算のやりくりを言うものでした。
「進退窮まる」は、中国最古の詩集『詩経』の「桑柔」という詩にある、次の一節がもとです。
朋友已譖,不胥以穀。人亦有言:進退維谷。
(友人どうしがそしり合い、互いに善く接しようとしない。人の言うとおり、進むも退くも行き詰まる)
「のっぴき」を漢字で書くときの「退」も、この「進退」の「退」と同じ字です。

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