意味
「妄言(もうげん)」とは、根拠もないのに、でまかせに口にする言葉のことです。
「ぼうげん」とも読み、この「ぼう」は「妄」の漢音(= 音読みの一種)です。
また、自分が述べた意見をへりくだって言う語としても使います。
語源・由来
この言葉は中国の古い書物にも出てきます。
歴史書『史記』の項羽の伝記では、若い項羽が秦の始皇帝の行列を見て「あれに取って代われる」と口にし、おじの項梁があわてて止める場面に、次の一節があります。
梁掩其口,曰:「毋妄言,族矣!」
(項梁は項羽の口をふさいで言った。「めったなことを言うな。一族が皆殺しにされるぞ」)
使い方・例文
- 根拠のない妄言が広まり、町じゅうに不安が広がった。
- 大臣の妄言が報じられ、国会で謝罪を求める声が上がった。
- ネットで見かけた妄言をうのみにせず、元の資料を確かめる。
- 新人の山田さんは「若輩者の妄言ですが」と前置きして、改善案を述べた。
類義語・関連語
根拠のない、でたらめな言葉を表す語です。
- 出任せ(でまかせ):
思いつくまま、いいかげんなことを言うこと。また、その言葉。 - 妄語(もうご):
うそやでたらめを言うこと。 - たわ言(たわごと):
ふざけた、ばかげた言葉。 - 荒唐無稽(こうとうむけい):
言うことに根拠がなく、でたらめなさま。 - 暴言(ぼうげん):
乱暴で無礼な言葉。
読みが同じでも、根拠のなさより言葉の荒さを問題にする点が妄言と異なる。
英語表現
talk through one’s hat
知識や根拠もないまま話すこと。
事実をでっち上げること。
Don’t listen to him. He’s just talking through his hat.
(あの人の話は聞かなくていい。根拠もなく言っているだけだ。)
手紙の結びの「妄言多謝」と『荘子』の前置き
二つ目の、へりくだる意味でよく知られるのが「妄言多謝(もうげんたしゃ)」です。
自分のでたらめな言葉を深くわびるという意味で、意見を率直に述べたあとに言ったり、文章の終わりに書き添えたりします。
ここでの「多謝」は、お礼ではなくおわびを表しています。
『荘子』の斉物論にも、自分の話を「妄言」と呼んで切り出す場面があります。
登場人物の長梧子が、問いかけてきた相手に「ひとつ、でたらめのつもりで話してみるから、そちらもでたらめのつもりで聞いてはどうか」と前置きしてから、聖人のあり方や生と死、夢と目覚めのたとえを語ります。

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