意味
「感極まる(かんきわまる)」とは、心を動かされる思いが、これ以上ないところまで高まるという意味です。
語源・由来
この言葉は、心に深く感じる「感」と、限界まで行き着くという意味の「極まる」を組み合わせたものです。
使い方・例文
「感極まって」の形で、涙を流す、言葉が出なくなるといった様子に続けて使えます。
- 卒業式で恩師の言葉を聞き、感極まって涙がこぼれた。
- 優勝が決まった瞬間、監督は感極まった様子で言葉を詰まらせた。
- 十年ぶりに娘と会えた母は、感極まり、何度も名前を呼んだ。
類義語
深い感動で心がいっぱいになる様子を表す言葉です。
- 感に堪えない(かんにたえない):
心を強く動かされ、その思いを外に表さずにはいられない様子。 - 感無量(かんむりょう):
はかりしれないほど深く感じ入り、何も言えない様子。「感慨無量」と同じ意味の語。 - 胸が一杯になる(むねがいっぱいになる):
喜びや悲しみ、感動などで心が満たされること。
英語表現
be overcome with emotion
強い感情に押され、ふだんどおりに振る舞えなくなること。
She was overcome with emotion when her name was called.
(名前を呼ばれた瞬間、彼女は感極まった。)
choke up
悲しみや強い感情のあまり、声が詰まったり泣きそうになったりすること。
He choked up while thanking his teammates.
(仲間に礼を言いながら、彼は感極まって声を詰まらせた。)
独歩『遺言』、母の手紙に水兵が言葉を失う
国木田独歩の短編『遺言』に、この言葉が出てきます。
舞台は明治二十七年、日清戦争中の軍艦の中です。
天長節(= 天皇の誕生日を祝う日)の酒盛りで、水兵たちは故郷から届いた手紙を互いに読み合い、恋の便りを冷やかし合っていました。
ところが水野という水兵だけが、一通を隠します。
仲間に迫られて自分で読み上げると、それは長く病気で寝ている母が人に書き取らせた手紙で、これを遺言と思って未練なく務めよ、と書かれていました。
読み終えた場面は次のとおりです。
水野が堪え堪えし涙ここに至りて玉のごとく手紙の上に落ちたのを見て、聴く方でもじっと怺えていたのが、あだかも電気に打たれたかのように、一斉に飛び立ったが感極まってだれも一語を発し得ない。

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