意味
「出物腫れ物所構わず(でものはれものところかまわず)」とは、屁(おなら)や腫れ物などは、時と場所を選ばずに容赦なく出てしまうものであるというたとえです。
本人の意志ではどうにもならない生理現象なので仕方がないという、言い訳や慰めとして使われます。
また、産気づくことにもいいます。
「出物」はここではおならなどの生理現象を指し、「腫れ物」はニキビや吹き出物などを指します。
どちらも本人の意志で「今は出すまい」「ここには作るまい」と制御できるものではないことから、どうにもならない事態のたとえになっています。

語源・由来
「出物腫れ物所構わず」の由来は、誰もが日常で経験する身体の生理現象をそのまま素直に言葉にしたところにあります。
自分ではどうにもコントロールできない「屁(へ)」と「腫れ物」——この二つを、時も場所も選ばずに起きてしまう不可抗力の代名詞として選んだわけです。
人前だと特に困るもの、なぜかよりによって変なタイミングで出てくるもの。
そんな「どうしようもないもの」をユーモラスに並べた言い回しです。
使い方・例文
「出物腫れ物所構わず」は、人前でおならが出てしまったときや、目立つところに吹き出物ができたときなどに使われます。
特に、不可抗力による失態を、仕方のないことだと受け入れたり慰めたりする文脈で多く登場します。
例文
- エレベーターの中でおならをしてしまった友人に、「出物腫れ物所構わずだよ」と声をかけた。
- 静かな試験中におならが出てしまったが、出物腫れ物所構わずと諦めた。
- 面接の当日にニキビができるのは、まさに出物腫れ物所構わずだ。
誤用・注意点
「出物腫れ物所構わず」は、あくまでおならや腫れ物のような生理現象に対して使う言葉です。
寝坊や準備不足、確認ミスなど、生理現象ではない失敗の言い訳に使うのは本来の意味から外れます。
また、基本的には「困ったこと」「恥ずかしいこと」に対して使われます。
思いがけない幸運(懸賞に当たった、など)に対して使うのは、本来の意味から外れるので、使いません。
英語表現
「出物腫れ物所構わず」を英語で表現する場合、次の言い方が近い意味を表します。
Nature calls
直訳は「自然が呼んでいる」で、トイレに行きたくなったことを遠回しに伝える表現。
生理現象は時と場所を選ばないという点で、「出物腫れ物所構わず」の意味に通じる表現。
I have to go now. Nature calls.
(もう行かなくちゃ、トイレに行きたくなってね。)
「所嫌わず」の「嫌う」は「区別する」を表す
「出物腫れ物所構わず」は、「出物腫れ物所嫌わず」の形でも使われます。
この「嫌わず」は「いやがらない」という意味ではありません。
「嫌う」には「いやがる」のほかに「区別する、わけへだてをする」という意味があり、この意味ではふつう「嫌わず」と打ち消しの形で使います。
そのため「所嫌わず」は「場所を区別せずに、どこででも」という意味になり、「所構わず」とほぼ同じことを表します。
「所嫌わず」はことわざの外でも使われる言い回しで、島崎藤村の小説『破戒』(1906年)にも「所嫌はず踏付ける」という形で出てきます。









コメント