点滴穿石

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ことわざ 四字熟語
点滴穿石
(てんてきせんせき)
異形:点滴石を穿つ/雨垂れ石を穿つ

8文字の言葉て・で」から始まる言葉

「毎日コツコツやればいい」と分かっていても、成果が見えない地道な努力を続けるのは難しいものです。
「こんなことをして何になるんだろう?」と、途中で投げ出したくなる日もあるでしょう。

そんな時に思い出したいのが、「点滴穿石」という四字熟語です。
ほんの小さな水滴でも、長い時間をかければ硬い石に穴を開けることができる――。この言葉は、継続することの偉大な力を私たちに教えてくれます。

「点滴穿石」の意味・読み方

点滴穿石(てんてきせんせき)とは、わずかな力であっても、根気よく継続すれば、やがて大きな成果をあげることができるというたとえ。

    この四字熟語は、2つの要素から成り立っています。

    • 点滴(てんてき):したたり落ちる水滴のこと。非常に小さく微力なものの象徴。
    • 穿石(せんせき):石に穴をあけること。「穿つ(うがつ)」は、突き通す、穴をあけるという意味。

    つまり、「ポタポタと落ちる頼りない水滴であっても、同じ場所に落ち続ければ、いつかは硬い石さえも貫通させる」という物理的な現象を通して、継続の重要性を説いています。

    ことわざとして「点滴石を穿つ(てんてきいしをうがつ)」「雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)」と言うこともありますが、意味は全く同じです。

    「点滴穿石」の語源・由来

    この言葉の由来は、中国・前漢時代の歴史書『漢書』に収められた、枚乗(ばいじょう)という人物のエピソードにあります。

    枚乗の諌め(いさめ)

    当時、呉王(ごおう)という有力者が謀反(国への反逆)を企てていました。これを知った家臣の枚乗は、呉王に対して「今は小さな兆候でも、放っておけば取り返しのつかない大ごとになります」と警告する文章を送りました。

    その中で彼は、次のように譬え(たとえ)ました。
    泰山の霤(あまだれ)は石を穿つ(泰山のような高い山から落ちる雨垂れは、長い時間をかければ石に穴をあける)」

    つまり、「わずかな悪事や油断も、積み重なれば国を滅ぼすほどの災いになり、逆に小さな善行も積み重ねれば大きな力になる」と説いたのです。

    本来は「悪い予兆を放置してはいけない」という警告の文脈で使われた言葉でしたが、現在ではポジティブな意味での「努力の継続」を表す言葉として定着しています。

    「点滴穿石」の使い方・例文

    勉強、スポーツ、習い事、ビジネススキルなど、即効性はないが継続が必要なものに対して、「座右の銘」や「激励の言葉」として使われます。

    例文

    • 1日10分の英単語学習も、1年続ければ点滴穿石の成果となるはずだ。
    • 彼の技術は天才的なひらめきによるものではなく、点滴穿石の努力の結晶だ。
    • 新規プロジェクトは難航しているが、点滴穿石の精神で顧客へのアプローチを続けよう。

    「点滴穿石」の類義語

    「継続は力なり」を表す言葉は数多く存在します。

    • 愚公移山(ぐこういざん):
      根気よく努力すれば、山さえも動かせるという意味。
    • 磨杵作針(ましょさくしん):
      鉄の杵(きね)を磨いて針を作る。不可能なように見えることでも、忍耐強く努力すれば成就するという教え。
    • 塵も積もれば山となる(ちりもつもればやまとなる):
      小事をおろそかにしてはいけないというたとえ。点滴穿石と非常に近い意味。
    • 千里の道も一歩から(せんりのみちもいっぽから):
      どんなに大きな事業も、手近なところから始まるということ。

    ニュアンスの違い

    • 点滴穿石:同じ場所を攻め続けるような「一点集中」と「長い時間」のニュアンスが強い。
    • 千里の道も一歩から:継続よりも「着手すること(最初の一歩)」の重要性に焦点がある。

    「点滴穿石」の対義語

    • 一暴十寒(いちばくじっかん):
      1日日向に干して温めても、その後10日間陰干しにして冷やしてしまっては意味がない。少し努力しても、怠ける期間が長くては成果が上がらないこと。
    • 三日坊主(みっかぼうず):
      飽きっぽくて、何をしても長続きしないこと。

    「点滴穿石」の英語表現

    英語圏でも、水滴と石の関係を使った全く同じ発想のことわざがあります。

    Constant dripping wears away the stone.

    • 直訳:絶え間ない水滴は石をすり減らす。
    • 意味:「根気よく続ければ、どんな難事業も達成できる」
    • 解説:Constantは「絶え間ない」、wear awayは「すり減らす」という意味。ラテン語の格言に由来する古い表現です。

    「点滴穿石」に関する豆知識

    実際に水で石に穴は開くのか?

    ことわざ上の比喩ではなく、実際に水滴で石に穴が開く光景は日本各地で見ることができます。
    例えば、京都の古い寺院や神社の軒下にある手水鉢(ちょうずばち)や敷石には、長年屋根から落ち続けた雨垂れによって、くっきりと窪みや穴ができているものがあります。

    水滴一粒の衝撃は微々たるものですが、同じ場所に何十年、何百年と落ち続けることで、硬い御影石でさえも削り取ってしまうのです。
    まさに「継続」という物理的な力が可視化された光景と言えます。

    まとめ – 凡人が非凡になる唯一の方法

    「点滴穿石」は、特別な才能を持たない私たちが大きな壁を乗り越えるための、最も確実で強力な方法を教えてくれています。

    今日覚えた英単語一つ、今日こなしたスクワット一回。その一滴はすぐに蒸発してしまうような小さなものに見えるかもしれません。
    しかし、それを明日も明後日も落とし続けることができれば、いつか必ず、想像もしなかった硬い岩盤を突き抜ける日が来るはずです。

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