意味
「一念通天(いちねんつうてん)」とは、固い決意を持って一心に励めば、その思いが天に通じて、どんな困難なことでも成し遂げられるという意味です。
- 一念(いちねん):一つのことに心を集中させる強い思い。
- 通天(つうてん):天に届くこと。
単なる願望ではなく、岩をも貫くほどの凄まじい集中力と持続する意志があれば、不可能を可能に変えられるという人間の精神力の尊さを説いています。
語源・由来
「一念通天」と同じ考えを伝える話に、中国の歴史書『史記』に記された武将・李広(りこう)の逸話があります。
狩りに出た李広が、草むらの石を虎と見誤り、必死の思いで矢を放ちました。
近づいて見ると虎ではなく石でしたが、矢は矢じりまで石に突き刺さっていました。
改めて射てみると、二度と石に刺さることはなかったといいます。
虎を仕留めようとする一念が石をも貫かせた話として、語り継がれてきました。
このエピソードは「石に立つ矢」としても知られており、同じ故事として『韓詩外伝』巻六に見える楚の熊渠子(ゆうきょし)の逸話も併せて伝えられています。
使い方・例文
目標に向かって突き進む場面や、自分を奮い立たせるスローガン、座右の銘として使われます。
例文
- 一念通天の精神で、第一志望校の合格を掴み取る。
- 厳しい練習に耐え抜き、一念通天、ついに優勝を果たした。
- 一念通天を胸に、前例のないプロジェクトを成功に導く。
誤用・注意点
この言葉は、自らの血の滲むような努力や強い意志があることを前提としています。
自分では何もせず、ただ「願いが叶うのを待つ」という棚からぼたもちのような状況で使うのは誤りです。
あくまで主体的な行動とセットで語られるべき言葉と言えます。
類義語・関連語
「一念通天」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 精神一到(せいしんいっとう):
精神を集中して事に当たれば、できないことはない。 - 石に立つ矢(いしにたつや):
必死になって行えば、どんなことでもできるというたとえ。 - 愚公移山(ぐこういざん):
根気よく努力を続ければ、山をも動かせるということ。 - 念力岩をも通す(ねんりきいわをもとおす):
強い意志を一心に持ち続ければ、どんな困難も克服して成し遂げられるという教え。
対義語
「一念通天」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。
英語表現
「一念通天」を英語で表現する場合、以下の定型句がよく使われます。
Where there’s a will, there’s a way
「意志あるところに道は開ける」
最も一般的な表現で、強い意志があれば必ず目標を達成する手段は見つかるという励ましの言葉です。
Stay strong. Where there’s a will, there’s a way.
(気を確かに持って。一念通天だよ。)
Faith moves mountains
「信念は山をも動かす」
信じる心の強大さが、不可能を可能にすることを表します。
「一念通天」と同じ考えの『韓詩外伝』の話
李広と同じ筋の話は『韓詩外伝』巻六にもあり、楚の熊渠子が夜道で石を虎と見誤って射たところ、矢が羽まで石に沈んだと記されています。
思い込みの強さが常識を超えるという筋立ては共通しています。













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