意味
「石に立つ矢(いしにたつや)」とは、刺さるはずのない硬い岩に矢が突き刺さるように、極限の思いが通常では起こりえない結果を生むたとえです。
語源・由来
中国・前漢の歴史書『史記』「李将軍列伝」に記された逸話に由来します。
武将の李広が狩りに出た際、草むらの中の石を虎だと思って射たところ、やじりが石にめり込みました。
よく見ると石だったので、あらためて射ましたが、二度と石に矢は入らなかったという逸話です。
『史記』には、次のようにあります。
廣出獵,見草中石,以爲虎而射之,中石沒鏃,視之石也。因復更射之,終不能復入石矣。
(李広が狩りに出て、草むらの中の石を見て虎だと思って射ると、石に当たってやじりがめり込んだ。見るとそれは石であった。そこでもう一度射たが、ついに二度と石に矢が入ることはなかった。)
ほぼ同じ話は、『韓詩外伝』巻六にも出てきます。
楚の熊渠子(ゆうきょし)が夜道で石を虎と見誤って射たところ、矢が石を貫いたというもので、「石に立つ矢」はこの二つの故事をあわせて指すことがあります。
使い方・例文
「石に立つ矢」は、困難な目標に向かって強い気概で取り組む場面で使われます。
- 期限が迫る中での完成は、まさに石に立つ矢の気概によるものだ。
- 石に立つ矢の思いで挑めば、難関校への合格も決して不可能ではない。
- 絶対に無理と思われた試合での勝利は、まさに石に立つ矢だった。
類義語・関連語
「石に立つ矢」と似た意味を持つ言葉には、次のようなものがあります。
- 一念岩をも通す(いちねんいわをもとおす):
必死の信念や思いがあれば、どんなに困難なことでも必ず成就するという真理。 - 精神一到何事か成らざらん(せいしんいっとうなにごとかならざらん):
精神を一点に集中して事に当たれば、どんなことでも達成できないことはないという教え。 - 念力岩をも通す(ねんりきいわをもとおす):
一心に思いを込めることで、不可能に思えることでも成し遂げられるということ。
英語表現
Faith will move mountains
意味:強い信念があれば、どんな困難でも克服できるということ
Don’t give up. Faith will move mountains.
(諦めてはいけない。信念は山をも動かすのだから。)
Where there is a will, there is a way
意味:何かを成し遂げようとする強い意志があれば、必ず方法は見つかるという真理
Even if it seems impossible, remember that where there is a will, there is a way.
(不可能に見えても、意志あるところに道があることを忘れてはいけない。)
「虎と見て石に立つ矢」は日本の古歌にも詠まれた
日本には、この故事を踏まえた「虎と見て石に立つ矢もあるものをなどか思の通らざるべき」という古歌が伝わっています。
虎だと思い込めば石にさえ矢が立つことがあるのだから、思いが通じないはずがない、という意味の歌です。










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