意味
「為せば成る(なせばなる)」とは、やろうと決めて行動を起こせば、どんなことでも成し遂げられるという意味です。
「できそうにない」と思うことでも、それは能力が足りないからではなく、「やろうとしない(行動に移さない)」からできないだけだ、という実行力の重要性を説いています。
- 為せば(なせば):行えば。行動すれば。
- 成る(なる):完成する。成就する。実現する。
有名な下の句(全文)
この言葉は、一般的に以下の続き(下の句)とセットで覚えられています。
為せば成る 為さねば成らぬ 何事も
成らぬは人の 為さぬなりけり
(やればできる。
やらなければ何事もできない。
できないのは、人がやろうとしないからだ)
語源・由来
この言葉を世に広めたのは、江戸時代中期の大名、米沢藩主の上杉鷹山(うえすぎようざん)です。
当時、米沢藩(現在の山形県)は莫大な借金を抱え、財政破綻寸前の危機的状況にありました。
17歳で藩主となった鷹山は、徹底した節約と殖産興業(新しい産業を作ること)による藩政改革を断行します。
「為せば成る〜」は、鷹山の書状に書かれている歌です。
結果として鷹山の改革は大成功を収め、米沢藩は見事に再生しました。
武田信玄にも、よく似た歌が伝わる
上杉鷹山よりも前の戦国武将、武田信玄にも、よく似た歌があると伝えられています。
為せば成る 為さねば成らぬ 成る業を
成らぬと捨つる 人の儚(はかな)さ
(やればできるのに、できないと勝手に諦めて投げ出してしまう人間の、なんと弱いことか)
信玄の歌が「人間の弱さ(儚さ)」を嘆く内容であるのに対し、鷹山の歌は「やらなければできない(だからやろう)」という鼓舞・教訓の形になっているのが特徴です。
『書経』にある「為さずんばなんぞ成らん」
さらに古く、中国の『書経』太甲下篇にも、よく考えて進んで行うことの大切さを説いた句があります。
伊尹が王を戒めた言葉の中の、次の一節です。
弗慮胡獲,弗為胡成
(慮らずんばなんぞ獲ん、為さずんばなんぞ成らん=よく考えなければ何も得られず、行わなければ何も成し遂げられない)
使い方・例文
勉強、スポーツ、ビジネスなど、目標に向かって努力するあらゆる場面で、自分や他人を鼓舞するために使われます。
例文
- E判定からの逆転合格は無理と言われたが、為せば成ると勉強し続けた。
- 新規プロジェクトは困難の連続だが、為せば成るの精神で突破口を見つけよう。
- 今さら弾けないと諦めていたが、為せば成るで毎日練習し一曲弾けた。
使用上の注意点
- 精神論の押し付けに注意:
自分を奮い立たせるために使うのはよいのですが、明らかに無理なことについて、あるいは過重労働で苦しんでいる人に向かって「為せば成る(気合でなんとかしろ)」と迫るのは、ただの精神論の押し付けです。
「行動すれば道は開ける」という前向きな意味で使う言葉です。
類義語・関連語
強い意志や努力の重要性を説く言葉は数多く存在します。
- 精神一到何事か成らざらん(せいしんいっとうなにごとかならざらん):
精神を集中して事に当たれば、どんな難しいことでも成し遂げられないことはない。- 違い:「精神一到」は集中力や心の持ち方に重点があり、「為せば成る」は実行(行動)に重点があります。
- 一念岩をも通す(いちねんいわをもとおす):
必死の思いを込めれば、硬い岩に矢が刺さるように、どんなことでも成就できるということ。 - 石の上にも三年(いしのうえにもさんねん):
辛くても我慢して続ければ、いつかは報われるということ。忍耐の重要性を説く言葉。
英語表現
英語圏にも、意志の力を信じる有名なことわざがあります。
Where there is a will, there is a way
直訳は「意志あるところに道はある」で、やる気さえあれば方法は見つかるという言い回し。
1640年に出た英国の箴言集にある「To him that will, ways are not wanting」がもとで、今の形も1724年刊の本にすでに見られる。
「為せば成る」の英訳として最も定着した言い方。
Where there is a will, there is a way. Let’s look for another route.
(為せば成る。別の道を探してみよう。)
ケネディの鷹山尊敬説は出典不明、長女は米沢で「成せば成る」
第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディが、日本人記者に尊敬する日本の政治家を問われて「上杉鷹山」と答えた、という逸話が広く知られています。
ただし、この発言を伝える当時の報道は見つかっておらず、出典ははっきりしていません。
鷹山はそれより前から、明治以降の修身(= 戦前の学校の道徳の教科)の教科書で数多く取り上げられ、内村鑑三が英文で書いた『代表的日本人』でも生涯が紹介されていました。
2014年9月27日、駐日大使を務めていたケネディの長女キャロライン・ケネディが、米沢市の「なせばなる秋まつり」で市民に語りかけました。
父は「一人でも世の中に違いをもたらすことができる」とよく言っていたが、それを鷹山ほど端的に言い表した人はいない、という内容です。
そのうえで大使は、日本語で「成せば成る」と述べました。












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