支離滅裂

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四字熟語 故事成語
支離滅裂
(しりめつれつ)

6文字の言葉し・じ」から始まる言葉

あまりの衝撃に言葉を失ったり、強い不安に襲われて頭の中が真っ白になったりしたとき。
自分でも何を言っているのか分からず、話の筋道がバラバラになってしまうことがあります。
このような、論理のつながりが断たれ、前後が全くつながらない混乱した状態を、
「支離滅裂」(しりめつれつ)と言います。
感情が高ぶると誰しも陥りやすい状況ですが、冷静さを欠いた振る舞いを戒める言葉として広く用いられます。

意味

「支離滅裂」とは、話や文章、考えなどの筋道がバラバラで、全く一貫性がない様子を意味する四字熟語です。

この言葉は、意味の似た二つの語を組み合わせて構成されています。

  • 支離(しり):
    つながりがなく、バラバラに離れ離れになること。
  • 滅裂(めつれつ):
    形あるものがこなごなに壊れ、秩序を失うこと。

ただ「分かりにくい」というレベルではなく、論理的なつながりが完全に断たれ、全体として意味をなさなくなっている極端な状態を指して使われます。

語源・由来

「支離滅裂」の語源は、中国の古典である『荘子』(そうじ)に見ることができます。
もともとは「支離」と「滅裂」という独立した言葉でした。

『荘子』の中には「支離疏(しりそ)」という、体が激しくねじ曲がった人物が登場します。
「支離」はもともと、このように形がバラバラで整っていない様子を指していました。
一方の「滅裂」も同書の中で、本来の純粋な性質を損ない、秩序が乱れてしまうことを指して使われています。

これらが組み合わさることで、物事が粉々に砕け散ったかのように、筋道が立たなくなった状態を強調する言葉として定着しました。
現代では物理的な破壊よりも、主に思考や言動の矛盾を指摘する際に用いられています。

使い方・例文

「支離滅裂」は、本人の主張が二転三転したり、結論と理由が結びつかなかったりする不自然な場面で使用されます。
多くの場合、冷静さを欠いている相手や、嘘を隠そうとして墓穴を掘っている相手を批判する文脈で使われます。

例文

  • 彼は動揺のあまり、警察官に対して「支離滅裂」な供述を繰り返した。
  • 酔っ払った父の説教はいつも「支離滅裂」で、誰もまともに取り合わない。
  • プレゼンの準備不足で、後半の説明が「支離滅裂」になってしまった。
  • その小説は設定があちこちで矛盾しており、ストーリーが支離滅裂だ。

文学作品・メディアでの使用例

『吾輩は猫である』(夏目漱石)

漱石の代表作において、飼い主である苦沙弥先生の、まとまりのない独特な語り口を表現するシーンで登場します。

「主人の話しは時として支離滅裂に陥る事がある。」

類義語・関連語

「支離滅裂」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 滅茶苦茶(めっちゃくちゃ):
    筋道が全く立たず、ひどく混乱している様子。
  • 矛盾(むじゅん):
    前に言ったことと後に言ったことのつじつまが合わないこと。
  • しどろもどろ
    言葉がはっきりせず、話の順序が乱れて要領を得ない様子。
  • 支離破碎(しりはさい):
    物事がバラバラになって、まとまりがなくなること。「支離滅裂」とほぼ同義です。

対義語

「支離滅裂」とは反対に、話の筋道が完璧に整っている状態を表す言葉です。

  • 理路整然(りろせいぜん):
    話や考えの筋道が、一点の曇りもなく整っている様子。
  • 首尾一貫(しゅびいっかん):
    最初から最後まで、方針や態度が全く変わらずに突き通されていること。

英語表現

「支離滅裂」を英語で表現する場合、論理の欠如を意味する単語を使います。

Incoherent

  • 意味:「支離滅裂な」「とりとめのない」
  • 解説:話や文章がバラバラで、理解不能な状態を指す最も適した形容詞です。
  • 例文:His explanation was completely incoherent.
    (彼の説明は完全に「支離滅裂」だった。)

Make no sense

  • 意味:「意味をなさない」「筋が通らない」
  • 解説:論理が通っておらず、理解できないという状況を伝える口語的な表現です。
  • 例文:Your argument makes no sense at all.
    (君の主張は全く「支離滅裂」で意味がわからない。)

荘子の描く「支離」の意外な姿

「支離滅裂」の「支離」という言葉の元になった『荘子』の登場人物、支離疏(しりそ)のエピソードには、興味深い教訓が含まれています。

彼は体が激しく不自由で、見た目はまさに「バラバラ(支離)」な状態でした。
しかし、その特異な体のおかげで、当時の過酷な兵役を免れ、国からの食料配給を受けて天寿を全うすることができたと記されています。

現代では「まとまりがない」という否定的な意味で使われるこの言葉ですが、原典の『荘子』においては、世間一般の「五体満足」という規範から外れている(支離している)からこそ、災難を避けて自分らしく生きられるという、逆説的な知恵が語られていたのです。
言葉の歴史を辿ると、単なる批判を超えた奥深い視点が見えてきます。

まとめ

「支離滅裂」とは、話の筋道や思考の秩序が失われ、バラバラに壊れてしまった状態を指す言葉です。

私たちは、強い感情に流されたり、その場しのぎの言い訳を重ねたりすると、自分でも気づかないうちに論理を失ってしまうことがあります。
伝えるべきことを正しく届けるためには、一度深呼吸をして、自分の言葉に一本の確かな筋道があるかを確認することが欠かせません。

自分の心の中を整理し、客観的に眺める余裕を持つこと。
それが「支離滅裂」な混乱を避け、より良い対話を生むための第一歩と言えるのかもしれません。

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