意味
「支離滅裂(しりめつれつ)」とは、話す内容や考えの道筋がめちゃくちゃに乱れ、筋の通ったつながりがまるで見られないという意味です。
感情が高ぶった際や、嘘を取り繕おうとして論理が破綻してしまった相手を非難する状況で使われます。
- 支離(しり):ばらばらに離れること
- 滅裂(めつれつ):形や秩序がこわれること
語源・由来
「支離」と「滅裂」は、どちらも中国の思想書『荘子』に見える言葉です。
人間世篇には「支離疏」という体が激しくねじ曲がった人物が登場し、「支離」は形がバラバラな様子を指しています。
「滅裂」は則陽篇で、作物の手入れや民の治め方をおろそかにし、粗雑に扱うことを言う語として使われています。
昔予為禾,耕而鹵莽之,則其實亦鹵莽而報予;芸而滅裂之,其實亦滅裂而報予。
(以前わたしが稲を作ったとき、耕すのを雑にすると実りも雑なもので報い、草取りをおろそかにすると実りもおろそかなもので報いた。)
「支離滅裂」は、この二語を重ねて、ばらばらでまとまりのないことを表す四字熟語です。
使い方・例文
「支離滅裂」は、本人の主張が二転三転し、理由や結論が全く結びつかない場面で使われます。
- 嘘を隠そうと焦るあまり、彼の言い訳が支離滅裂になっている。
- 準備不足のまま挑んだため、後半のプレゼンが支離滅裂だった。
類義語・関連語
「支離滅裂」と同様に、話のつじつまが合わないことを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 滅茶苦茶(めちゃくちゃ):
筋道が全く立たず、ひどく混乱している状態。 - 矛盾(むじゅん):
前後の発言や行動のつじつまが合わない様子。 - しどろもどろ:
言葉がはっきりせず、話の順序が乱れて要領を得ない態度。
「支離滅裂」と「矛盾」の違い
「支離滅裂」と「矛盾」はどちらも論理の破綻を指しますが、破綻の規模に違いがあります。
| 語句 | 破綻の状態 | 使える状況 |
|---|---|---|
| 支離滅裂 (しりめつれつ) | 全体がバラバラで意味不明 | パニックや嘘で話の筋が完全に崩壊した時 |
| 矛盾 (むじゅん) | 二つの事柄が両立しない | 前後の発言や行動のつじつまが合わない時 |
対義語
「支離滅裂」とは反対に、話の筋道が完璧に整っている状態を表す言葉です。
英語表現
Incoherent
話や文章がバラバラで、理解不能な状態を指す最も適した形容詞です。
His explanation was completely incoherent.
(彼の説明は完全に支離滅裂だった。)
Make no sense
論理が通っておらず、理解できないという状況を伝える口語的な表現です。
Your argument makes no sense at all.
(君の主張は全く支離滅裂で意味がわからない。)
支離滅裂の「支離」を名に負う男は、天寿を全うした
『荘子(そうじ)』人間世篇に登場する「支離疏(しりそ)」は、あごがへその下に隠れ、肩が頭よりも高い位置にあるなど、身体のパーツが本来の秩序から大きく外れた姿をしていました。
しかし、この「バラバラな姿」ゆえに厳しい兵役や労役を免れ、国から食糧の配給を受けて天寿を全うしたと記されています。
荘子はこの話を、次の言葉で結んでいます。
夫支離其形者,猶足以養其身,終其天年,又況支離其德者乎!
(体がばらばらな者でさえ、身を養って天寿を全うできる。まして徳のありようが世間並みから外れた者なら、なおさらである。)
現代の「支離滅裂」は筋道が立たないことを否定的に言いますが、『荘子』の「支離」は、人並みから外れることがかえって身を守るという話の中で使われていました。











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