意味
「猿芝居(さるしばい)」とは、猿に衣装やかつらをつけさせて芝居のまねをさせる見世物のことです。
ここから転じて、下手な演技や、誰の目にもすぐ見抜かれてしまうような浅はかな企みをあざける意味でも使われます。
「猿歌舞伎」とも呼ばれます。
語源・由来
猿芝居は、猿に芸を仕込んで見せる「猿回し」の系統に属する見世物です。
猿回しは、猿が馬の病気を治すという中国伝来の信仰を背景に、厩で猿を舞わせて馬の安全を祈る芸として行われ、鎌倉時代には芸能として確立していました。
『吾妻鏡』(= 鎌倉幕府の歴史書)の寛元三年(1245)の記事に猿を舞わせた話が見え、1300年ごろに成立したとされる絵巻『融通念仏縁起』(= 融通念仏宗の由来を描いた絵巻)にも猿回しが描かれています。
芝居のまねを主体にした演目として発展したものが、猿芝居や猿歌舞伎と呼ばれるようになりました。
使い方・例文
- 彼の言い訳はすぐにばれる猿芝居で、誰も本気にしなかった。
- そんな猿芝居を打っても、上司にはとっくに見抜かれている。
- 泥棒が刑事のふりをして言い訳するとは、まさに猿芝居だ。
類義語・関連語
この言葉と同様に、見え透いたばかばかしい振る舞いやたくらみを表す言葉に、次のようなものがあります。
- 茶番(ちゃばん):
底が見え透いた、下手な芝居やばかげた振る舞いのこと。
「猿芝居」が猿の見世物という具体的な情景を残す言い方であるのに対し、「茶番」は、江戸時代に歌舞伎の楽屋で生まれた即興の寸劇に由来する、より一般に使われる同義の言葉です。
英語表現
英語では、次の語が近い意味を持ちます。
charade
本当らしく見せかけているが、明らかに偽りと分かる行為や出来事を指す名詞。
Everyone knew his apology was just a charade.
(誰もが、彼の謝罪はただの猿芝居だと分かっていた。)
猿芝居の演目は三番叟から金色夜叉まで
猿芝居は、寛文(1661〜73)ごろにはすでに、猿と犬・鼠・猫などを一緒に芝居させる見世物として行われていました。
天明(1781〜89)ごろから本格的に興行されるようになり、猿に衣装やかつらをつけ、三味線や太鼓に合わせて歌舞伎の人気役者をまねた振りを演じさせました。
演目には三番叟、一の谷の組討、忠臣蔵の五段目など、その時々に流行した芝居が選ばれました。
江戸で興行を仕切った太夫元の小川門太夫は、明治まで9代続いています。
明治以降も『金色夜叉』や『月形半平太』など、新派や映画の人気作を取り込んで猿芝居にしていましたが、その後は見られなくなりました。


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