意味
「乱暴狼藉(らんぼうろうぜき)」とは、荒々しいふるまいで暴れ、無法なことをして周りに害を与えるという意味です。
「乱暴」と、無法な荒々しいふるまいを表す「狼藉」という、似た意味の語を重ねて強めた言葉です。
語源・由来
この言葉の「狼藉」には、物が乱雑に散らかっているさまと、無法な荒々しいふるまいという二つの意味があり、ここでは後のほうの意味で使われています。
字については、「狼」はみだれる・もとる、「藉」は乱雑なさまを表すとされます。
また、狼が寝るときに下草を踏み荒らし、その跡が乱れていることによるという説もあります。
中国の歴史書『史記』の滑稽列伝(= 弁舌で君主をいさめた人物たちの伝記)には、酒宴の後の散らかりようを言う「杯盤狼藉」の句が出てきます。
使い方・例文
「乱暴狼藉をはたらく」のように、「はたらく」と組み合わせて使います。
- 酔った客が店で乱暴狼藉をはたらき、警察に連れて行かれた。
- 攻め込んだ兵たちは、村で乱暴狼藉の限りを尽くしたと伝えられている。
- 留守の間に子猫たちが乱暴狼藉をはたらき、障子が穴だらけになった。
小説での使用例
夏目漱石の『吾輩は猫である』(1905〜06年)で、猫の「吾輩」が、主人の家にすむ鼠たちのことを語る場面に、次の一文があります。
主人の内の鼠は、主人の出る学校の生徒のごとく日中でも夜中でも乱暴狼藉の練修に余念なく、憫然なる主人の夢を驚破するのを天職のごとく心得ている連中だから、かくのごとく遠慮する訳がない。
(主人の家の鼠たちは、主人が教えに行く学校の生徒のように、昼も夜も暴れる練習に熱心で、気の毒な主人の眠りを破るのを自分たちの役目と心得ているので、こんなに遠慮するはずがない)
夜中に台所の戸を遠慮がちにたたく音を聞いた「吾輩」が、いつも暴れている鼠ならこんなに用心深いはずがない、と考える場面です。
このあと、音の主は鼠ではなく泥棒だと分かります。
類義語・関連語
無法なふるまいを表す語には、次のものがあります。
「乱暴狼藉」と「傍若無人」の違い
どちらも周りを顧みない無法なふるまいを表します。
「乱暴狼藉」は暴れて周りに害を与える行いを指し、「傍若無人」は周りの人を気にかけない勝手な態度のことなので、暴れることを含むとは限りません。
| 語句 | 言い表すもの | 暴れることを含むか |
|---|---|---|
| 乱暴狼藉 (らんぼうろうぜき) | 暴れて周りに害を与える行い | 含む |
| 傍若無人 (ぼうじゃくぶじん) | 周りを気にかけない勝手な態度 | 含むとは限らない |
英語表現
run riot
手がつけられないほど暴れ回ること。
The drunken fans ran riot in the streets after the game.
(酔ったファンが試合の後、通りで乱暴狼藉をはたらいた。)
run amok
制御がきかなくなって暴れ回ること。
A group of angry men ran amok and smashed the shop windows.
(怒った男たちが乱暴狼藉をはたらき、店の窓ガラスを割った。)
「乱暴狼藉」と「杯盤狼藉」「落花狼藉」の「狼藉」は意味が違う
「狼藉」を含む四字熟語には、「杯盤狼藉」や「落花狼藉」もあります。
「杯盤狼藉」は酒宴の後に杯や皿が散らかっているさま、「落花狼藉」は花が散り乱れるさまで、どちらも物が散らかっている意味の「狼藉」です。
これに対して「乱暴狼藉」の「狼藉」は、無法な荒々しいふるまいの意味です。
なお「落花狼藉」には、転じて女性や子どもに乱暴をはたらくという意味もあります。

コメント