私たちの体の一部である「耳」、そして「聴く」という行為は、古くから多くの言葉の源泉となってきました。情報を得る、人の意見を受け入れる、あるいは無視するといった、さまざまな人間の態度や状況が「耳・聴」に関連する表現として残っています。
「耳が痛い」「馬耳東風」「百聞は一見に如かず」など、現代でも日常的に使われる表現から、「掩耳盗鐘」のような古典に由来する故事成語まで、耳にまつわる言葉は実に豊かです。
ここでは、「耳」や「聴く」に関連する、主なことわざ・慣用句・四字熟語・故事成語・漢語表現を紹介します。
もくじ
「耳・聴」に関する ことわざ
- 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥(きくはいっときのはじ、きかぬはいっしょうのはじ):
知らないことを聞くのはその場では恥ずかしいかもしれないが、聞かずに知らないままでいると一生恥ずかしいということ。 - 百聞は一見に如かず(ひゃくぶんはいっけんにしかず):
何度話に聞くよりも、一度自分の目で見る方が確かであり、よくわかること。 - 壁に耳あり障子に目あり(かべにみみありしょうじにめあり):
どこで誰が聞いているか、見ているかわからないため、秘密は漏れやすいという戒め。 - 馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ):
いくら良い意見や教えを聞かせても、全く効果がないことのたとえ。 - 聞いて極楽見て地獄(きいてごくらくみてじごく):
話に聞けば素晴らしいが、実際に見たり経験したりするとひどい状態であること。 - 聞けば聞き腹(きけばききばら):
聞かなければ平穏でいられたのに、なまじ聞いたためにかえって腹立たしくなること。
「耳・聴」に関する慣用句
聴く動作に関するもの
- 耳を貸す(みみをかす):
相手の相談や話を聞いてあげること。 - 耳を澄ます(みみをすます):
注意して熱心に聞くこと。 - 耳をそばだてる(みみをそばだてる):
注意を集中して、聞こうとすること。 - 聞き耳を立てる(ききみみをたてる):
注意して聞こうとすること。耳をそばだてること。 - 聞く耳を持たない(きくみみをもたない):
他人の意見や忠告を受け入れようとしないこと。 - 聞き分けがいい(ききわけがいい):
人の言うことをよく理解し、素直に従うこと。
聴覚の状態・能力
- 耳が早い(みみがはやい):
情報や噂などを聞きつけるのが早いこと。 - 耳が遠い(みみがとおい):
聴力が衰えて、音がよく聞こえないこと。 - 地獄耳(じごくみみ):
他人の秘密やうわさ話などを、どんな小さなことでも聞き逃さないこと。また、その能力。 - 耳学問(みみがくもん):
人から聞きかじって得た、体系的でない知識。
情報の受容・伝達
- 耳に入れる(みみにいれる):
(主に目上の人に)知っておいてほしい情報を伝えること。 - 小耳に挟む(こみみにはさむ):
ちらっと聞く、偶然に聞くこと。 - 初耳(はつみみ):
初めて聞く話であること。 - 耳打ち(みみうち):
小声でそっと耳元で話すこと。内緒話。 - 聞かず語り(きかずがたり):
人から聞かれてもいないのに、自分からしゃべりだすこと。
反応・評価・印象
- 寝耳に水(ねみみにみず):
不意の出来事や、思いがけない知らせに驚くことのたとえ。 - 耳が痛い(みみがいたい):
自分の欠点を指摘されて、聞くのがつらいこと。 - 耳を疑う(みみをうたがう):
あまりに意外な内容で、聞いたことが信じられないこと。 - 聞き捨てならない(ききすてならない):
その言葉をそのまま聞いて見過ごすことはできない、放っておけないこと。 - 耳に胼胝ができる(みみにたこができる):
同じことを何度も聞かされて聞き飽きてしまうこと。 - 耳につく(みみにつく):
聞こえる音が気になって、意識から離れないこと。 - 耳に残る(みみにのこる):
聞いた内容(音や言葉)が強い印象を与え、忘れられないこと。
その他
- 耳を揃える(みみをそろえる):
借りた金銭を端数まで不足なく全部返すこと。
「耳・聴」に関する四字熟語
- 馬耳東風(ばじとうふう):
人の意見や批評を少しも気にせず聞き流すことのたとえ。 - 聞一知十(ぶんいつちじゅう):
わずか一つを聞いただけで、多くの事柄を理解する聡明さのたとえ。 - 道聴塗説(どうちょうとせつ):
道で聞きかじったことを、そのまま他人に話すこと。受け売りの浅はかな知識のたとえ。
「耳・聴」に関する故事成語
- 洗耳(せんじ):
俗世間の汚れた話を聞いた耳を洗い清めること。転じて、俗世間から離れたいという心情。 - 掩耳盗鐘(えんじとうしょう):
耳をふさいで鐘を盗むこと。自分で自分を欺き、道理に合わないことを押し通そうとする愚かさのたとえ。
「耳・聴」に関する漢語表現
- 逆耳の言(ぎゃくじのげん):
聞くにはつらいが、自分のためになる忠言、耳の痛い話。 - 傾聴(けいちょう):
耳を傾けて熱心に聞くこと。 - 耳順(じじゅん):
六十歳の異称。人の言うことが素直に聞けるようになる年齢という意味(『論語』より)。
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