ことわざ

聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥

(きくはいっときのはじきかぬはいっしょうのはじ)

知らないことを尋ねるのは一時の恥だが、尋ねずにいるのは一生の恥である。

短縮形:聞くは一時の恥
異形:聞くは一旦の恥、聞かぬは末代の恥/問うは一旦の恥、問わぬは末代の恥/問うは一時の恥、問わざるは末代の恥/問うは当座の恥、問わぬは一期の恥

22文字の言葉 / 「き・ぎ」から始まる言葉
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥 ことば
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意味

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥(きくはいっときのはじ、きかぬはいっしょうのはじ)」とは、知らないことを尋ねるのは一瞬恥ずかしいが、聞かずに知らないままでいることは一生の恥になる、という意味です。

分からないことを「分からない」と認めるには勇気が必要ですが、その場の体裁よりも、知って成長するほうがずっと大切だという教えです。
知ったかぶりをして、学ぶ機会を逃すことを戒めています。

語源・由来

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」は、特定の人物の言葉として伝わるものではありません。
古くは「聞くは」ではなく「問うは」の形が一般的で、狂言『庖丁聟ほうちょうむこ』にも「当座の恥」と「末代の恥」を対にした言い方が出てきます。
今の「聞くは一時の恥」の形が見られるようになるのは、江戸時代の中ごろ以降とされます。

前半の「一時」は「当座」や「一旦」に、後半の「一生」は「末代」や「一期いちご」に置き換わることもあります。
「聞くは一旦の恥、聞かぬは末代の恥」「問うは当座の恥、問わぬは一期の恥」といった形です。
いろはかるたでは、戦前の江戸系のごく一部と戦後のかるたに「聞くは一時の恥、聞かぬは末代の恥」の札があります。

使い方・例文

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」は、質問をためらっている人への助言や、知らないことを隠したくなる自分を戒めるときに使います。

例文

  • 今さら基本を尋ねるのは気が引けたが、聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥と思い、先輩に手順を確かめた。
  • 会議で知らない用語が出たら、その場で質問しよう。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥だ。
  • 恥ずかしくて聞けずにいたら、あとで大きな失敗をした。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥とはこのことだ。

誤用・注意点

後半を「末代の恥」とする形もありますが、この「末代」は自分が死んだあとの世のことです。
知らずにいた恥が死後まで残るという意味で、子や孫の代まで恥が及ぶと取るのは誤りです。

類義語・関連語

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 下問を恥じず(かもんをはじず):
    自分より地位や年齢が下の人に教えを請うことを、決して恥ずかしいとは思わないこと。
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対義語

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」とは反対に、無知を隠そうとする態度を表す言葉には、以下のようなものがあります。

  • 知ったかぶり:
    本当は知らないのに、いかにも知っているようなふりをしてその場を取り繕うこと。

英語表現

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」を英語で表現する場合、次の言い回しが近い意味を表します。

Better to ask the way than go astray

「道に迷うよりは、道を尋ねるほうがよい」
「go astray(迷子になる)」というたとえで、知らないままにしておく危うさを戒める、よく知られた格言です。

Don’t hesitate to confirm the instructions; better to ask the way than go astray.
(指示を確認するのをためらってはいけない。道に迷うより尋ねるほうがましだ。)

元禄の笑い話、尋ねずに覚えた「文鎮」で大恥

元禄11年(1698年)刊とされる笑い話の本『初音草咄大鑑はつねぐさはなしおおかがみ』に、「問ぬは末代の恥」という題の話があります。
話は「問は一旦の恥、とはぬは末代の恥にや」(尋ねるのはその場だけの恥、尋ねないのは末代までの恥、というところか)と始まります。
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」の古い言い方の一つです。

京へ初めて上った田舎の男が、ある家で書物の上に置かれた獅子の形の物を見ますが、何なのか尋ねられずにいました。
同席の客が「しおらしき文鎮ぶんちんかな」(= 上品でかわいらしい文鎮だ)とほめるのを聞き、うずくまった獅子は文鎮というのだと覚え込みます。
そのあと京の大仏(方広寺)に参った帰りに、男は三門さんもん(= 寺の正門)の内を見て、連れに「これは大きな文鎮でござる」と言いました。
原文は何を見たかを書いていませんが、獅子の形なら文鎮だと覚え込んだ男が、門の内の大きな獅子の像を文鎮と呼んだ、という落ちと読めます。

その場で一言尋ねていれば済んだ恥が、大仏の前でもっと大きな恥になりました。
聞かずに済ませた恥のほうが後まで大きく残るという「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」の筋を、そのまま笑い話に仕立てています。

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