意味
「酢豆腐(すどうふ)」とは、よく知らないことを知っているふりをする人のことです。
知ったかぶりそのものを指すこともあり、物知り顔で生意気にふるまう様子までふくみます。
語源・由来
この言葉は、古典落語の演目「酢豆腐」から生まれました。
噺のもとになったのは、1753年(宝暦3年)に出た噺本(= 笑い話を集めた本)『軽口太平楽』にある短い笑い話です。
暑い季節に町内の若い衆が集まり、酒を飲もうとしますが、つまみがありません。
前の晩に買った豆腐は、暑さで腐って酸っぱくなっていました。
そこへ気取り屋の若旦那が通りかかったので、若い衆は食通だとおだてて、腐った豆腐を珍しい食べ物として出します。
若旦那は知ったふりをして、これは酢豆腐だと言いながら一口食べ、ひどく苦しみます。
面白がった若い衆がもっと勧めると、若旦那は、酢豆腐は一口に限るものだと言って断ります。
この噺から、知ったかぶりをする人を「酢豆腐」と呼ぶようになりました。
酢豆腐という料理は実在せず、噺の中だけのものです。
使い方・例文
- ワインの産地を自信満々に語っていたが、聞けばとんだ酢豆腐だった。
- 聞きかじりの知識で口を出すと、酢豆腐だと笑われる。
- 彼は落語通を名乗るが、話してみると酢豆腐にすぎなかった。
類義語・関連語
どれも、よく知らないのに知っているようにふるまう人や様子を表す語です。
- 半可通(はんかつう):
生半可な知識なのに、通ぶってふるまう人。 - 聞いた風(きいたふう):
よく知りもしないのに、分かったような顔をする様子。 - 知ったかぶり(しったかぶり):
知らないことを、知っているように見せかける振る舞い。
英語表現
know-it-all
何でも知っているかのようにふるまい、他人の意見を聞き入れない人。
イギリス英語では know-all とも。
Stop acting like a know-it-all; you’ve never even been to Kyoto.
(京都に行ったこともないのに、知ったかぶりはやめなさい。)
「酢豆腐」は「ちりとてちん」の元の噺
大正時代に、三代目柳家小さんの弟子の小はんがこの噺を作り替えました。
それが大阪に移って「ちりとてちん」という題になり、今では東京でもこの題で演じる落語家がいます。
ほかに、この噺を作り直して「あくぬけ」と題した新作風のものや、三代目三遊亭金馬が工夫を加えて「石けん」と題したものもあります。
八代目桂文楽もこの噺を持ちネタにしていて、録音集『八代目 桂文楽十八番集』に「酢豆腐」が入っています。


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