三字熟語には、人の性格や才能、日ごろのふるまいを短く言い表す言葉が数多くあります。
相手をほめる言葉もあれば、からかったりけなしたりする言葉もあります。
ここでは「立派さ・粋・勇ましさ」「才知・見識・技量」「気質・ふるまいのくせ」「好み・暮らしぶりの癖」「愚かさ・未熟さをからかう語」「ずる賢さ・腹黒さ・素行の悪さ」の6つに分けて、81語を紹介します。
立派さ・粋・勇ましさを表す三字熟語
堂々とした立派さや、粋な立ち居振る舞い、勇ましさをほめて言う三字熟語です。
- 偉丈夫(いじょうふ):
体が大きくてたくましく、人格もすぐれた男性を指します。 - 美丈夫(びじょうふ):
容姿が美しく、体格も立派な男性のことです。 - 女丈夫(じょじょうふ):
気性がしっかりしていて、男性に負けない頼もしい女性を言います。 - 大丈夫(だいじょうふ):
「だいじょうぶ」とは別の読みで、りっぱな男子を指す言葉です。 - 益荒男(ますらお):
勇気があり、強くたくましい立派な男性をいいます。 - 手弱女(たおやめ):
姿や性質がしなやかで優しく、上品な女性を表す言葉です。 - 男伊達(おとこだて):
弱い者を助け強い者をくじく、侠気に満ちた振る舞いや気風をいいます。 - 伊達衆(だてしゅう):
だてを好む人、粋好みの人たちのことです。 - 伊達女(だておんな):
洗練された格好で人目を引く、いきな女性です。 - 伊達男(だておとこ):
人目を引く、しゃれた身なりの男性のことです。
侠気のある男性を指すこともあります。 - 士君子(しくんし):
学問と人格をともに備えた、徳の高い人物を指す言葉です。 - 硬骨漢(こうこつかん):
意志が強く、権力にも屈せず、自分の主張を簡単には曲げない男性をいいます。 - 小町娘(こまちむすめ):
小野小町になぞらえるほど、美人と評判の高い娘のことです。 - 姉御肌(あねごはだ):
思い切りがよくさっぱりしていて、後輩や周りの面倒をよく見る、頼りがいのある女性の気質です。 - 好々爺(こうこうや):
性格が円満で善意にあふれた、気のいいおじいさんのことです。 - 二枚目(にまいめ):
顔立ちの整った美男子のこと。
歌舞伎で、看板の二番目に名が書かれた美男の役柄から生まれた言葉です。
才知・見識・技量を表す三字熟語
知恵や才能、見識の深さ、腕前の確かさを表す三字熟語です。
なかには、学問のひけらかしや見識の狭さをからかったり、中途半端な多芸をけなしたりする言葉も含まれます。
人に向かって使うときは気をつけてください。
- 麒麟児(きりんじ):
知恵や才能に優れ、将来が非常に期待される若者をいいます。 - 風雲児(ふううんじ):
社会が大きく変わる時期にチャンスをつかみ、一躍有名になる人物です。 - 立役者(たてやくしゃ):
物事を成功に導いた、中心的な役割を果たした人物を指します。 - 千里眼(せんりがん):
遠方の出来事や将来の動き、物事の本質を鋭く見抜く力のことです。
また、その力を持つ人も指します。 - 玄人跣(くろうとはだし):
素人でありながら、専門家も驚くほど技芸や学問にすぐれていることをいいます。 - 数寄者(すきしゃ):
風流を好む人のことで、特に茶の湯をたしなむ人を指します。 - 好事家(こうずか):
風流な事柄や、珍しい物事を好んで熱中する人のことです。 - 出来物(できぶつ):
人柄や能力がよくできた、すぐれた人物のことです。
「できもの」と読むと、ふつうは吹き出物の意味になります。 - 名人肌(めいじんはだ):
名人と呼ばれる人に特有の気質のことです。
頑固だったり、損得に無頓着だったりする傾向をいいます。 - 天才肌(てんさいはだ):
天才かと思うほど人並み外れた能力を持っていること、またその人を指す言葉です。 - 藤四郎(とうしろ):
「しろうと」の音を逆さにして、人の名前のように言った隠語で、素人を指します。 - 螻蛄才(けらざい):
螻蛄には飛ぶ・登る・潜る・掘る・走るの五つの力があるものの、どれも中途半端なことから、多芸多才でありながらどれも極めていないことをいいます。 - 螻蛄芸(けらげい):
螻蛄才と同じで、多芸多才でありながらどれも極めていないことを表します。 - 村夫子(そんぷうし):
田舎の学者や先生のことです。
転じて、見識の狭い学者をあざける言葉としても使われます。 - 衒学者(げんがくしゃ):
学問や知識をひけらかし、鼻にかける人のことです。 - 詭弁家(きべんか):
道理に合わないことを、もっともらしい理屈で正しいように言いくるめる人のことです。 - 酢豆腐(すどうふ):
知ったかぶりで生意気な人のことです。
腐った豆腐を知ったかぶりで「酢豆腐」と言ってしまう落語の演目に由来します。
気質・ふるまいのくせを表す三字熟語
性格や日ごろのふるまいのくせを言い表す三字熟語です。
お世辞のうまさやうぬぼれ、ひねくれた態度などをけなす言葉も含まれるので、人に向けて使うときは注意してください。
- 天邪鬼(あまのじゃく):
人に逆らうばかりで、素直でない人のことです。 - 石地蔵(いしじぞう):
無口な人や、色恋に反応を示さない人のたとえです。 - 泣上戸(なきじょうご):
酒に酔うと泣きだすくせのある人、またはそのくせのことです。 - 若年寄(わかどしより):
年が若いのに、言動が年寄りじみている人のことです。 - 風来坊(ふうらいぼう):
どこからともなくふらりとやって来て、一つ所に落ち着かない人のことです。 - 剽軽者(ひょうきんもの):
気軽で、よくおどける人のことです。 - 上手者(じょうずもの):
お世辞が巧みで、如才なく立ち回る人をいいます。 - 雷親父(かみなりおやじ):
何かにつけて大声でどなりつける、口やかましいおやじのことです。 - 不束者(ふつつかもの):
気がきかず、行き届かないところのある人のことです。 - 我利勉(がりべん):
周りと協調せず、成績のことばかり気にして勉強ばかりする人を、軽んじて言う言葉です。 - 助兵衛(すけべえ):
色事を好む性質、またはそのような人のことです。
くだけた俗語なので、改まった場では使わないようにしましょう。 - 鍋奉行(なべぶぎょう):
鍋料理の具の入れ方や食べる順序について、あれこれ世話を焼きたがる人のことです。 - 一匹狼(いっぴきおおかみ):
組織や集団の力に頼らず、自分の力だけで行動する人をいいます。 - 内弁慶(うちべんけい):
家の中ではいばっているのに、外に出ると意気地がなくなること、またそういう人のことです。 - 木石漢(ぼくせきかん):
人情や男女の情を理解しない男性のことです。 - 増上慢(ぞうじょうまん):
もとは仏教の言葉で、悟っていないのに悟ったと思い上がることです。
転じて、自分を過信してうぬぼれることや、そういう人を指します。
好み・暮らしぶりの癖を表す三字熟語
食べ物の好みや金銭感覚、日々の暮らしぶりに表れる癖を言い表す三字熟語です。
けちや知ったかぶり、成り上がりをけなす言葉も含まれるので、人に向けて使うときは注意してください。
- 健啖家(けんたんか):
食欲が旺盛で、たくさん食べる人のことです。 - 吝嗇家(りんしょくか):
お金や物を出し惜しみする、けちな人のことです。 - 寒苦鳥(かんくちょう):
ヒマラヤにすむという想像上の鳥のことです。
夜は寒さを嘆いて鳴くのに、朝日が昇ると暖かさで忘れて巣を作らずに怠けることから、仏教でなまけて悟りを求めない人にたとえます。 - 出来星(できぼし):
急に出世したり大金持ちになったりすること、またその人を指す言葉です。
成り上がりをやや皮肉って言うときに使います。
愚かさ・未熟さをからかう三字熟語
愚かさや未熟さをからかったり、ののしったりする三字熟語です。
人に向かって使うと、失礼になったり侮辱になったりするので気をつけてください。
- 昼行灯(ひるあんどん):
昼間に行灯をともしても目立たないことから、ぼんやりした人や役に立たない人をあざける言葉です。 - 野呂間(のろま):
動作や頭の働きがにぶいことや、そのような人をののしる言葉です。 - 薄野呂(うすのろ):
知能が少し劣っていて、反応や動作がにぶいこと、またそのような人をいいます。 - 与太郎(よたろう):
落語で間抜けな役に使われる名前から、役に立たない愚か者を指す言葉になりました。 - 唐変木(とうへんぼく):
気がきかず物分かりの悪い人を、ののしって言う言葉です。 - 安本丹(あんぽんたん):
愚かな人や間抜けな振る舞いを、あざけって言う言葉です。 - 呆気者(うつけもの):
不注意でぼんやりしている者や、おろか者をいいます。 - 表六玉(ひょうろくだま):
まぬけな人、愚か者のことです。 - 頓痴気(とんちき):
とんまでまぬけな人を、からかったりののしったりして言う言葉です。 - 木偶坊(でくのぼう):
役に立たない者を、ののしって言う言葉です。
人形の「でく」になぞらえています。 - 埴猪口(へなちょこ):
粗末な土で作った盃になぞらえて、未熟な人や役に立たない人をあざける言葉です。 - 青二才(あおにさい):
年が若く、経験が浅くて未熟な男性をあざけって言う言葉です。 - 猪口才(ちょこざい):
小生意気で、こざかしいこと。
またそのような人をいいます。 - 黄口児(こうこうじ):
年若く、経験の乏しい者をあざけっていう言葉です。 - 乳臭児(にゅうしゅうじ):
乳くさい子どもという意味から転じて、年少で未熟な者をあざける言葉になりました。 - 二本棒(にほんぼう):
間の抜けた人や、女性に甘い男をあざけっていう言葉です。 - 弱味噌(よわみそ):
意気地のない人、弱虫をあざけっていう言葉です。
ずる賢さ・腹黒さ・素行の悪さを表す三字熟語
ずる賢さや腹黒さ、素行の悪さをけなす三字熟語です。
人に向かって使うと、強い侮辱になるので気をつけてください。
- 狸親父(たぬきおやじ):
年を取ってずる賢い男を、ののしっていう言葉です。 - 破落戸(ならずもの):
決まった住まいや仕事を持たず、他人の弱みにつけこんでゆすりや嫌がらせをする悪者のことです。 - 寝業師(ねわざし):
表に出ない裏工作が巧みな人のことです。 - 無頼漢(ぶらいかん):
無頼な男、ならず者やごろつきのことです。 - 極道者(ごくどうもの):
悪行を重ね、だらしなく遊び暮らす者を、ののしっていう言葉です。 - 遊冶郎(ゆうやろう):
酒や色事におぼれて、身持ちの悪い男のことです。 - 鼻下長(びかちょう):
鼻の下が長いという意味から、女性に甘くだらしないこと、またそういう男性を指します。 - 火事泥(かじどろ):
火事の混乱に乗じて盗みを働く、火事場泥棒のことです。 - 狼藉者(ろうぜきもの):
乱暴を働く者のことです。 - 不埒者(ふらちもの):
道理に外れた、ふとどきな者のことです。 - 狼少年(おおかみしょうねん):
イソップ物語で、何度も嘘をついたために本当のことを言っても信じてもらえなかった少年の話から、同じ嘘を繰り返す人をいいます。
人を表す三字熟語の語尾に注目|よく使われる字とその意味
人を表す三字熟語を並べてみると、語の終わりに同じ字がくり返し使われているものが数多くあります。
どんな字がどんな意味を担っているかを知っておくと、初めて見る三字熟語でも、意味の見当をつけやすくなります。
下の表は、この記事に登場する語を、語の終わりの字ごとに分類したものです。
| 語尾 | 表す意味 | この記事の例 |
|---|---|---|
| 〜者 | そういう人 | 立役者・数寄者・不埒者 など |
| 〜漢 | 男 | 硬骨漢・無頼漢・木石漢 |
| 〜児 | 若者・男子 | 麒麟児・風雲児・黄口児 |
| 〜家 | その性向が強い人 | 好事家・健啖家・吝嗇家 |
| 〜丈夫 | 立派な男 | 偉丈夫・美丈夫・女丈夫 |
| 〜肌 | 気質・持ち味 | 姉御肌・名人肌・天才肌 |
表に挙げた字のほかにも、次のような字がよく使われます。
- 〜坊:
人のありさまを表す語に付いて、そういう人であることを表す字(木偶坊・風来坊) - 〜郎:
男を表す字で、人の名前に見立てた語にも使われる(与太郎・藤四郎・遊冶郎) - 〜才:
才能・才気を表す字(猪口才・螻蛄才)
ただし、すべての三字熟語がこの仕組みで読み解けるわけではありません。
頓痴気や猪口才のように、字が当て字で字面から意味を導けない語も少なくなく、そうした語は一つひとつの由来を確かめる必要があります。




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