意味
「数寄者(すきしゃ)」とは、風流の道に心を寄せる人のことです。
なかでも、茶の湯を趣味として打ち込む人を指します。
明治時代以降は、名物の茶道具や美術品を集めた政界・財界の茶人を、特に数寄者と呼ぶようになりました。
語源・由来
この言葉の「数寄」は「好き」と同じ語源で、「数寄」の字は当て字です。
もとは「好き者(すきもの)」の意味で、『伊勢物語』などでは恋愛ごとを好む男を指していました。
中世になると風流を好む人を表すようになり、『日葡辞書』(= 日本語をポルトガル語で説明した書物)では、茶の湯の道とその修業に打ち込む人と説明されています。
「数奇者」とも書きますが、「数奇」はもともと「数奇な運命」のように不運を表す語だったため、中世には「数寄」と書くようになりました。
使い方・例文
- 祖父は名の知れた数寄者で、季節ごとに茶会を開いていた。
- この屋敷の見どころは、明治の数寄者が建てた茶室だ。
- 茶道具の目利きとして、彼は数寄者の間でも一目置かれている。
類義語
風流を好む人を表す点で重なる語です。
- 風流人(ふうりゅうじん):
風流な趣味が分かり、それを楽しむ人物。 - 好事家(こうずか):
物好きな人。風流を好む人の意味もあり、茶の湯に限らず使う語。
政財界の数寄者の名品、今も美術館に
明治時代以降、政界や財界の著名人の中から、茶の湯を趣味として名物の茶道具を集める人たちが現れました。
鈍翁と号した益田孝、青山と号した根津嘉一郎、逸翁と号した小林一三などが知られ、近代の茶道は彼らのような数寄者によって発展しました。
集められた美術品は、根津美術館や逸翁美術館などとして今に残っている例が多くあります。


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