意味
「好事家(こうずか)」とは、物好きな人、あるいは風流な事柄を好んで熱中する人を指します。
ただ趣味があるだけでなく、あまり人が手を出さない分野や、芸術・骨董のような奥の深い世界に打ち込んでいる人に使います。
「好事」という言葉自体が「物好き」や「風流な事柄」を意味しており、そこに人を表す「家」がついた言葉です。
語源・由来
「好事家」と同じ意味の言葉は、古代中国にもあり、古典には「好事者(こうずしゃ)」を物好きな人という意味で使った例があります。
使い方・例文
「好事家」は、世の中の流行とは別に、自分なりのこだわりで物事を楽しんでいる人を言うときに使います。
- 全国の珍しいマンホールの蓋を撮影して回るとは、彼もなかなかの好事家だ。
- 採算を度外視して作られたこの奇妙な時計は、一部の好事家の間で高く評価されている。
- その古書店には、絶版になった稀覯本を求める好事家たちが集まってくる。
- 無価値に見える石ころでも、好事家の目から見れば宝の山に見える。
誤用・注意点
「好事家」は、読み方と言葉の含みを取り違えやすい言葉です。
- 読み方は「こうずか」です。
「好事魔多し」(こうじまおおし)の「こうじ」につられて「こうじか」と読むのは誤りです。 - 本来は「風流な趣味人」を称える言葉ですが、文脈によっては「物好きな人」「変わった人」という皮肉混じりのニュアンスで使われることもあります。
目上の人に対して使う場合は、相手がその趣味に誇りを持っていることを前提とし、敬意を込めて用いるのが無難です。
類義語・関連語
「好事家」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 数寄者(すきしゃ):
茶の湯や生け花など、風流な芸道に深く傾倒している人。 - 物好き(ものずき):
変わったことや、普通は好まないようなことに興味を持つこと。 - 通(つう):
ある特定の分野に非常に詳しく、その道の機微(きび)を解している人。 - マニア:
ある一つの物事に熱狂し、専門的な知識や収集欲を持っている人。
対義語
「好事家」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。
- 俗物(ぞくぶつ):
名誉や金銭などの世俗的な利害にしか関心がなく、風流を解さない人。 - 無関心(むかんしん):
物事に対して興味や注意を払わない様子。 - 凡俗(ぼんぞく):
ごく平凡で、高尚な趣味や志を持たないこと。
英語表現
「好事家」を英語で表現する場合、愛好家や専門的な審美眼を持つ人を指す言葉が使われます。
Dilettante
イタリア語の「楽しむ」に由来する言葉です。
「芸術愛好家」
専門家ではなく、趣味として芸術や学問に親しむ人を指します。
He is known as a dilettante of ancient coins.
(彼は古銭の好事家として知られている。)
Connoisseur
深い知識と優れた鑑識眼を持っている人を指します。
「(芸術や食の)鑑定家・目利き」
単に好きなだけでなく、その分野に対して高い審美眼を持っているニュアンスです。
A connoisseur like him would appreciate this rare painting.
(彼のような好事家なら、この珍しい絵画の価値がわかるだろう。)
『漢書』の「好事者」は酒を持って貧しい学者を訪ねた
前漢末の学者揚雄について、『漢書』の揚雄伝は、家がもともと貧しく、酒を好み、門を訪ねる人もまれだったと書いています。
そこに続くのが「時に好事者有り、酒肴を載せて従ひて遊学す」(ときおり物好きな人が、酒と肴を持ってやって来て、そばについて学んだ)という一文です。
人の寄りつかない学者のもとへ、わざわざ酒を携えて通う人を、『漢書』は「好事者」と呼んでいます。
日本語の「好事家」の「好事」も、この物好きの意味です。










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