地元の少年野球チームで、大人顔負けの鋭い打球を飛ばす少年がいます。
その場にいる誰もが「この子は将来プロになる」と確信するような、抜きん出た才能。
そんな将来を嘱望される若者を、「麒麟児」(きりんじ)と言います。
意味
「麒麟児」とは、知恵や才能が際立って優れており、将来が非常に期待される若者のことです。
特に少年の才能を称える言葉として使われ、若くして周囲を驚かせるような能力を発揮する人物を指します。
- 麒麟(きりん):古代中国の伝説上の瑞獣。
- 児(じ):子供、若者。
語源・由来

「麒麟児」の由来は、古代中国の伝説に登場する聖獣「麒麟」にあります。
「麒麟」は、優れた王が誕生した時に現れるとされる縁起の良い生き物です。
その姿は鹿の体に牛の尾、馬の蹄を持ち、性格は極めて穏やかで、虫を踏むことさえ厭う慈悲深い獣とされてきました。
この伝説の生き物である「麒麟」のように、非凡な才能を持ち、将来が楽しみな子供のことを「麒麟の子」と呼んだことが、言葉の始まりです。
使い方・例文
「麒麟児」は、スポーツ、学問、芸術など、あらゆる分野で目覚ましい活躍を見せる若者に対して、最大級の賛辞として使われます。
例文
- 将棋界に現れた十代の麒麟児が、数々の記録を塗り替えた。
- 彼は小学生のころから、地元では数学の麒麟児と有名だった。
- 国際コンクールで優勝した彼女は、まさに音楽界の麒麟児だ。
- チームに現れた麒麟児が、低迷していた部の雰囲気を一変させた。
文学作品・メディアでの使用例
『坂の上の雲』(司馬遼太郎)
明治時代に活躍した秋山好古・真之兄弟を描いた名作です。
兄の好古は、故郷の愛媛県松山で将来を嘱望され、その利発さから周囲に期待を寄せられる場面でこの言葉が使われています。
…伊予の麒麟児とよばれた少年の日は、すでに遠い。…
類義語・関連語
「麒麟児」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 神童(しんどう):
子供のころから並外れて知能が高いこと。 - 鳳雛(ほうすう):
将来が楽しみな優れた才能を持つ若者のたとえ。 - 俊英(しゅんえい):
才能が優れていて、抜きん出ている人のこと。 - 栴檀は双葉より芳し(せんだんはふたばよりかんばし):
大成する人は、子供のころから優れた片鱗を見せているというたとえ。
対義語
「麒麟児」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 凡児(ぼんじ):
どこにでもいるような、平凡で際立ったところのない子供。 - 凡夫(ぼんぷ):
これといった才能のない、普通の人。 - 愚物(ぐぶつ):
愚かな人。才能の乏しい人。
英語表現
「麒麟児」を英語で表現する場合、以下の表現がニュアンスとして近いです。
wunderkind
「神童」「若き天才」
ドイツ語由来の言葉で、若くして素晴らしい業績を上げた人物を指します。
- 例文:
He is known as the wunderkind of the tech industry.
彼はIT業界の麒麟児として知られている。
child prodigy
「天才児」「驚異的な子供」
特に、子供のころから専門的な分野で非凡な才能を発揮する場合に使われます。
- 例文:
She was a child prodigy who started playing the violin at age three.
彼女は3歳でバイオリンを始めた麒麟児だった。
麒麟のトリビア

「麒麟」という言葉から、現代の私たちは首の長い動物のキリンを想像しますが、実は語順が逆です。
15世紀、中国の明の時代にアフリカから本物のキリンが持ち込まれた際、その姿が伝説上の「麒麟」に似ていたため、そのまま名付けられたと言われています。
また、同じ「麒麟児」でも、大相撲の世界ではかつてその名で親しまれた名力士も存在し、いつの時代も「将来を担う期待の星」というポジティブな意味で愛されている言葉です。
まとめ
「麒麟児」は、ただ「優秀だ」という評価にとどまらず、その先に待つ輝かしい将来を期待する、温かな期待が込められた言葉です。
才能豊かな若者をこう呼ぶことで、本人が積み重ねてきた努力を讃えると同時に、周囲の「大きく羽ばたいてほしい」という思いも届けることができます。
この言葉を知っておくことで、次の世代を担う才能と出会ったとき、より味わい深い褒め言葉を贈れるようになるかもしれません。






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