意味
「男伊達(おとこだて)」とは、弱者を救い、強者の横暴に立ち向かう侠気ある気性を指します。
また、そのような心意気を持って行動する男性そのものを指す言葉でもあります。
男としての面目が立つように振る舞い、意地を張り通して、信義のためには命も惜しまないことを言います。
語源・由来
「男伊達」は、16世紀末から江戸時代前期にかけて盛んになった、ひときわ目立ついでたちで町を闊歩し、男の意地を張り通す気風を指した言葉です。
江戸時代前期には無頼の旗本がこの風に染まって横暴に振る舞い(旗本奴)、これに対して町人側から「弱い者いじめは許さない」と立ち上がったのが町奴でした。
「伊達(だて)」という言葉には、人目を引く派手な装いや、意地を張って見栄を切るという意味があります。
彼らは派手な格好で街を練り歩いて旗本奴に張り合いましたが、実際には腕力に頼る無法の徒でもありました。
「弱きを助け、強きをくじく」という男伊達の理想はのちの世にも残り、「男伊達」は侠客を指す言葉にもなりました。
使い方・例文
自分の不利益を承知で正義を貫く場面や、勇気を持って他人の味方をする状況で使われます。
現代では物理的な争いに限らず、精神的な潔さや面倒見の良さを称える言葉として用いられます。
例文
- 誰もが反対する中で一人、不当に責められる後輩を庇ったのは、彼なりの男伊達だ。
- 近所のトラブルを損得抜きで仲裁して回る、男伊達な性格で慕われている。
- 大手企業を相手に、下請け企業の権利を守るべく交渉に臨む姿は、まさに男伊達だ。
- 手柄を部下に譲り責任だけを引き受ける部長の振る舞いに、男伊達を感じた。
誤用・注意点:「男伊達」と「伊達男」の違い
「男伊達」と「伊達男(だておとこ)」は混同されやすいですが、意味の重点が異なります。
| 語句 | 焦点 |
|---|---|
| 男伊達 (おとこだて) | 内面的な気概や行動(侠気) |
| 伊達男 (だておとこ) | 外見の華やかさやおしゃれな様子 |
性格や行動を褒めたい時に「伊達男」と言うと、単に「おしゃれな人」という意味で伝わってしまうため、文脈に応じた使い分けが必要です。
また、この言葉は「粋」や「侠客(きょうかく)」といった文化背景を持つため、非常に改まったビジネスの場よりは、人物の魅力を称える会話などで使われることが多い表現です。
類義語・関連語
「男伊達」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 侠気(きょうき):
弱きを助け、強きを挫く、勇気ある強い意志。 - 男気(おとこぎ):
弱い者の味方になり、損得を抜きにして尽くそうとする気質。 - いなせ:
威勢がよく、さっぱりとしていて、粋(いき)な様子。 - 義侠心(ぎきょうしん):
正義を守り、困っている人を助けようとする心。
対義語
「男伊達」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。
- 卑怯(ひきょう):
正々堂々としておらず、勇気がないこと。 - 小心(しょうしん):
気が小さく、物事に怯えやすいこと。 - 腰抜け(こしぬけ):
いざという時に勇気が出ず、逃げ腰になること。 - 女伊達(おんなだて):
女性が男伊達のような言動をすること。また、そういう女性(女の侠客)。
英語表現
「男伊達」を英語で表現する場合、騎士道精神や勇気ある行動を指す言葉が適しています。
Chivalry
「騎士道」「(弱者に対する)侠気」
中世の騎士が重んじた、弱者保護や名誉を尊ぶ精神です。現代でも献身的な振る舞いに対して使われます。
It was a true act of chivalry.
(それは真の男伊達と言うべき行動だった。)
Gallantry
「勇猛」「(女性や弱者への)親切心」
特に勇敢さと礼儀正しさを兼ね備えた、高潔な振る舞いを意味します。
The young man was praised for his gallantry.
(その若者は、男気のある振る舞いを称えられた。)
町奴は旗本奴の乱暴に対抗した庶民の男伊達
「男伊達」を体現した存在に、江戸初期の町奴がいます。
町奴は、旗本の子弟らによる旗本奴に対抗して現れた、町人身分の侠客たちです。
旗本奴が権威を笠に着て横暴に振る舞ったのに対し、町奴は派手な身なりや大ぶりな刀を身につけることで、権力に屈しないという意地を示しました。
これは単なる伊達な格好ではなく、反骨精神の表れでもありました。
旗本奴も町奴も、やがて幕府に弾圧されて姿を消しました。










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