意味
「糊塗(こと)」は、不都合な事実を隠し、一時しのぎに表面だけを取り繕ってその場をごまかすことです。
「糊」は曖昧でぼんやりとした様子を、「塗」は泥にまみれる、または表面に塗りつけることを表します。
物事の輪郭をあいまいに濁し、うわべだけを取り繕って問題を覆い隠す様子を示しています。
語源・由来
「糊塗」は、中国の歴史書『宋史』などにも見える古い言葉です。
同書の呂端伝には、「呂端はぼんやりした人だ」と言う者に対して、太宗が「小事糊塗、大事不糊塗」(小さなことには抜けているが、大事なことでは抜けていない)と答え、呂端を宰相に取り立てたという話があります。
ここでの「糊塗」は、ごまかすという意味ではなく、物事にうとくぼんやりしているという意味で使われています。
もともと中国語において「ぼんやりして曖昧な様子」や「ごまかすこと」を意味する言葉であり、そこから日本でも、失敗や欠点を一時しのぎで取り繕うという意味で定着しました。
使い方・例文
類義語・関連語
「糊塗」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 弥縫(びほう):
失敗や欠点を一時逃れで取り繕うこと。 - お茶を濁す(おちゃをにごす):
適当なことを言って、その場をやり過ごすこと。 - 取り繕う(とりつくろう):
不都合な点などを隠して、外見だけを立派に見せること。
対義語
「糊塗」と反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 抜本的(ばっぽんてき):
根本に立ち返って、原因を取り除こうとする様子。 - 露呈(ろてい):
隠れていたものが、むき出しになって現れること。
英語表現
gloss over
意味:問題などを適当にあしらってうわべを飾ること
She tried to gloss over the fact that the project was behind schedule.
(彼女はプロジェクトが遅れているという事実を糊塗しようと試みました。)
「耳目を糊塗する」は幕末の意見書から
「糊塗」は、「耳目を糊塗する」(= 人の目や耳をごまかす)という形でよく使われてきました。
幕末の学者佐久間象山は、1862年に仕えていた藩の殿様へ出した意見書で、うわべを飾って殿様の「御耳目を糊塗」している者がいるに違いない、と書いています。
明治以降も同じ形で使われ、永井荷風の小説『あめりか物語』(1908年)には「今日まで巧に世間の耳目を糊塗して居たのです」(= 今日まで世間の目を巧みにごまかしていたのです)という一文があります。











コメント