糊塗

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慣用句 その他
糊塗
(こと)

2文字の言葉こ・ご」から始まる言葉

自分のミスや不手際を素直に認められず、その場しのぎの言い訳で取り繕ってしまった経験。
あるいは、根本的な解決を先送りにしたまま表面だけを整えてしまう心理。
そんな、一時的に物事をごまかして形だけを整えることを、「糊塗」(こと)と言います。

意味・教訓

「糊塗」とは、一時しのぎに表面だけを取り繕って、その場をごまかすことです。

  • (こ):のり。
  • (と):ぬる。

文字通り「のりを塗る」という意味から転じ、不都合な箇所にのりを塗って紙を貼り、中身が見えないように覆い隠す様子を指します。
根本的な解決を避け、当座をしのぐためだけに体裁を整えるという、否定的な文脈で使われる言葉です。

語源・由来

「糊塗」の由来は、中国の宋時代に編纂された歴史書『宋史』などに記されている言葉です。
もともとは「壁にのりを塗って滑らかにする」という左官作業のような日常的な行為を指していました。

そこから比喩として「欠陥がある部分を上から塗り隠して、一時的に見栄えを良くする」という意味で使われるようになりました。
現代では物理的な作業を指すことはほとんどなく、失敗や汚職、不祥事などを隠蔽しようとする行為を指す熟語として定着しています。

使い方・例文

「糊塗」は、「糊塗する」という動詞の形で用いられます。
個人的な失敗を隠す場面から、組織の不祥事を隠蔽しようとする社会的な場面まで幅広く使われますが、いずれも「卑怯なごまかし」というニュアンスを含みます。

例文

  • 帳尻を合わせるために数字を「糊塗」したが、監査ですぐに発覚してしまった。
  • 掃除をサボった形跡を糊塗しようと、目立つ場所だけ雑巾で拭いておいた。
  • 「これ以上の糊塗は事態を悪化させるだけだ」と、彼は潔く全責任を認めた。

類義語・関連語

「糊塗」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 弥縫(びほう):
    ほころびを縫い合わせること。転じて、一時逃れの取り繕いのこと。
  • お茶を濁す(おちゃをにごす):
    適当なことを言ったりしたりして、その場をやり過ごすこと。
  • 取り繕う(とりつくろう):
    見た目だけを良く見せる。不備を隠して体裁を整えること。

「糊塗」と「弥縫」は非常によく似ていますが、「糊塗」は「上から塗って隠す」、「弥縫」は「裂け目を縫ってつなぐ」という語源的な違いがあります。

対義語

「糊塗」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。

  • 抜本的(ばっぽんてき):
    根本に立ち返って、原因を取り除こうとする様子。
  • 露呈(ろてい):
    隠れていたものが、むき出しになって現れること。

英語表現

「糊塗」を英語で表現する場合、以下のフレーズが最もニュアンスを近く伝えます。

gloss over

  • 意味:「(問題などを)適当にあしらう、うわべを飾る」
  • 解説:表面に光沢(gloss)を出して、その下にある傷や欠陥を見えなくするという比喩表現です。
  • 例文:
    She tried to gloss over the fact that the project was behind schedule.
    (彼女はプロジェクトが遅れているという事実を糊塗しようとした。)

知っておきたい豆知識

「糊塗」という言葉には、かつて「糊塗塞責(ことさいせき)」という四字熟語としての使われ方もありました。
「表面を塗り固めて、責任をふさぐ(逃れる)」という意味です。

この言葉の面白さは、使われている「糊(のり)」という漢字にあります。
本来は物をくっつける便利な道具ですが、それが「隠蔽」の象徴として使われる点に、人間の知恵と弱さの両面が表れています。
「のりで貼っただけの表面」は衝撃に弱く、すぐに剥がれてしまうもの。
この言葉自体が「隠し通すことは難しい」という警句を含んでいるようにも感じられます。

まとめ

「糊塗」は、目先の追求を逃れるために真実を覆い隠す行為を指します。
しかし、一時的に表面を整えたとしても、根本的な原因が残っていれば、いずれ大きな問題となって再燃することでしょう。

「糊塗」に走るのではなく、勇気を持って事実を明らかにし、抜本的な解決を目指す。
この言葉を語彙に加えることは、自分自身が「その場しのぎ」の誘惑に負けそうになったとき、自らを律する良いきっかけになるかもしれません。

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