意味
「お茶を濁す(おちゃをにごす)」とは、その場しのぎのあいまいな言動で取り繕い、なんとかやり過ごしてしまうという意味です。
茶道の作法を知らない者が、適当に湯と抹茶をかき混ぜてそれらしく見せたという状況を比喩しています。
語源・由来
茶の湯の作法において、抹茶の正しい点て方を知らない素人が、見よう見まねで適当に茶をかき回して濁らせ、表面的な体裁だけを整えたことに由来する言葉です。
本来は美しい泡を立てるべきところを、ただ濁らせてそれらしく見せかけたことから、中身を伴わずに外見だけを取り繕ってやり過ごす様子を指す言葉として定着しました。
使い方・例文
「お茶を濁す」は、追及を逃れたり、都合の悪い質問をはぐらかしたりする場面で使われます。
- 痛いところを突かれ、冗談を言ってお茶を濁した。
- 都合の悪い質問に対し、曖昧な返事でお茶を濁す。
誤用・注意点
「言葉を濁す」との混同に注意が必要です。
「言葉を濁す」は事情があってはっきりと明言を避ける発言の仕方を指しますが、
「お茶を濁す」は適当な言動や行動によってその場をごまかす行為全体を指します。
類義語・関連語
「お茶を濁す」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 糊塗(こと):
一時しのぎに表面だけを取り繕って、間違いや欠点を隠すこと。 - うやむやにする:
物事をあやふやな状態にして、はっきりと決着をつけないこと。 - 誤魔化す(ごまかす):
本心や事実が相手に知られないよう、取り繕って別の話題へそらすこと。
対義語
「お茶を濁す」と反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 白黒つける(しろくろつける):
物事の正邪や善悪をはっきりとさせ、明確な決着をつける行動。 - 核心を突く(かくしんをつく):
物事の中心となる最も重要な部分を、的確に指摘する発言。 - 明言する(めいげんする):
自分の考えや物事の事情を、曖昧にせずはっきりと口に出して言う態度。
英語表現
gloss over
不備や間違いを表面だけ取り繕ってうやむやにする対応を表す言い回し。
He tried to gloss over the failure of the project.
(彼はプロジェクトの失敗をごまかそうとした。)
beat around the bush
直訳:茂みの周りを叩く
意味:本題に触れるのを避け、遠回しな言い方で時間を稼ぐ話し方。
Stop beating around the bush and tell me the truth.
(遠回しに言うのはやめて、本当のことを話せ。)
「お茶を濁す」のほかにもある、茶にまつわる言い回し
茶を飲む・茶をひくといった暮らしの場面からは、次のような言い回しも生まれています。
| 言葉 | 意味 | 茶との結びつき |
|---|---|---|
| お茶を挽く (おちゃをひく) | 芸者や遊女などが、客がつかず暇でいること | 昔は茶臼で葉茶をひいて抹茶にする作業を、暇な日の仕事にしていた。客のない遊女がこの仕事をさせられたところから、という説がある |
| お茶の子さいさい (おちゃのこさいさい) | 物事がたやすくできること | 「お茶の子」は茶を飲むときにつまむ菓子。腹にたまらないことから、たやすいことを表すようになった。「さいさい」は囃子詞 |
| 茶腹も一時 (ちゃばらもいっとき) | わずかなものでも、一時しのぎにはなること | 茶を飲んだだけでも、しばらくは空腹をまぎらすことができることから。江戸時代の俳諧に「茶腹一時」の形で出てくる |
「茶腹も一時」も「一時しのぎ」を言う言葉ですが、ごまかしを含むかどうかが違います。
「お茶を濁す」は、ごまかしてその場を取り繕うことを言い、「茶腹も一時」は、わずかなものでも無いよりはましだということを言います。
茶にまつわる言葉は「茶道」に関することわざ・慣用句・故事成語・四字熟語一覧にまとめています。














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