意味
「大丈夫」とは、危なげがなく、安心していられるさまを表します。
心配が要らないと相手に伝えるほか、申し出をやんわり断るときにも使われます。
いっぽう「だいじょうふ」と読むと名詞になり、立派な男子を指します。
- 大(だい):程度が大きいこと。
- 丈夫(じょうふ):一人前の男子。
語源・由来
「大丈夫」は、中国の思想書『孟子』の滕文公下に出てくる言葉です。
景春という人物が、ひと睨みで諸侯を震え上がらせた弁論家の公孫衍と張儀を挙げ、「彼らこそ本物の大丈夫ではありませんか」と孟子に問いかけます。
孟子はこれを退け、「富貴も心を乱すことはできず、貧賤も志を変えさせることはできず、威武も屈服させることはできない。これを大丈夫という」と答えました。
権勢を振るう人物ではなく、何があっても揺らがない人こそが大丈夫だ、という切り返しです。
日本では鎌倉時代の『正法眼蔵』に「いはゆる雪峯老漢大丈夫なり」と見え、修行を積んだ僧をたたえる言葉として使われていました。
揺るがない人物を指す言葉から、揺るがない状態そのものを指す「だいじょうぶ」へ移っていったと考えられています。
使い方・例文
「大丈夫」は、危険や心配がないことを相手に伝える場面で使われます。
- 傷は浅いようだ。この程度なら縫わなくても大丈夫だろう。
- 明日の搬入、人手は足りていますか。ええ、そちらは大丈夫です。
- 会議が延期になったので、資料は今日中でなくても大丈夫だ。
使うときの注意点
可否のどちらとも取れる返事
必要か不要か、可か不可かを相手に問う用法が増えています。
「お飲み物は大丈夫ですか」のような問いは、要るのか要らないのかが文だけでは決まりません。
断る側の返事も同じで、頼みごとへの「大丈夫です」は承諾とも辞退とも読めます。
読み方で変わる意味
「だいじょうふ」と読む場合は名詞で、立派な男子を指します。
『孟子』に由来するのはこちらの読みで、安心を表す「だいじょうぶ」とは品詞から違います。
類義語・関連語
「大丈夫」を「だいじょうふ」と読んだときの、立派な人物という意味に近い言葉には以下のようなものがあります。
「大丈夫」と「偉丈夫」の違い
どちらも立派な男子を指しますが、たたえている中身が違います。
「大丈夫」は志が揺らがない点を、「偉丈夫」は体つきを含めた堂々とした様子を評価します。
| 語句 | たたえる中身 | 外見への言及 |
|---|---|---|
| 大丈夫 (だいじょうふ) | 志の強さ | 含まない |
| 偉丈夫 (いじょうふ) | 堂々とした人物 | 含む |
英語表現
be fine
問題がない、無事だと伝える、日常でもっとも普通に使う言い方。
Don’t worry, I am fine.
(心配しないでください、大丈夫です。)
no problem
頼まれごとを引き受けるときや、謝られたときに返す軽い言い回し。
Sorry for the delay. No problem, take your time.
(遅れてすみません。大丈夫です、ゆっくりどうぞ。)
孟子が持ち出した婚礼の作法
孟子は大丈夫を説明する前に、婚礼の場面を持ち出しています。
嫁ぐ娘が門まで見送られ、母から「向こうの家では敬い慎み、夫にそむいてはいけません」と言い聞かされる。
孟子は、相手に従うことを正しさとするこの生き方を「妾婦の道」と呼びました。
公孫衍と張儀は諸侯の意向に合わせて弁舌をふるう立場であり、孟子はそれを従う側の道と見なしています。
大丈夫という言葉は、この対比のなかで持ち出されました。











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