意味
「うだつが上がらない(うだつがあがらない)」とは、出世の機会に恵まれず、立場や暮らし向きがいつまでも上向かないという意味です。
運が悪く、よい境遇にめぐり合えないことにも使います。
「うだつ」は家の造りの一部を指す言葉で、漢字では「梲」「卯建」と書きます。
「梲が上がらない」と漢字で書くこともあり、「うだちが上がらない」ともいいます。
語源・由来
この言葉の「うだつ」は、もともと梁の上に立てて棟木(= 屋根のいちばん高い所に渡す木)を支える短い柱のことでした。
室町時代以後は、民家の妻壁(= 屋根の側面の壁)を屋根より一段高く突き出させ、小さな屋根をのせたものも「うだつ」と呼ぶようになりました。
京都や大阪のあたりの町家では、隣の家との境に設けた防火の壁を「卯建」といいました。
なぜ「上がらない」が出世できないことのたとえになったのかについては、次のような説があります。
- 梲や卯建を設けたのは裕福で格式の高い家だったので、うだつは富や家柄の象徴とされ、そこから「うだつが上がらない」が出世できない身の上を表すようになった、という説。
- 大工の仲間うちで「梲を上げる」が家の棟上げ(= 骨組みを組んで棟木を上げること)を意味し、それが転じて志を遂げることを指すようになった、という説。
使い方・例文
- 入社して十年たつが、いまだにうだつが上がらない平社員のままだ。
- 祖父は「若いころはうだつの上がらない役者だった」と笑った。
- 店の場所を何度変えても客が入らず、商売は一向にうだつが上がらない。
類義語・関連語
いずれも、出世できない・世に出られないことを表す言葉です。
- 金槌の川流れ(かなづちのかわながれ):
頭の上がらないこと、また一生出世の見込みがないことのたとえ。
金槌を水に入れると、重い頭の部分が沈むところから。 - 縁の下の筍(えんのしたのたけのこ):
立身出世のできない人のたとえ。
状態ではなく、そういう人そのものを指す言い方。 - 壁に塗られた田螺(かべにぬられたたにし):
壁土と一緒に塗り込められた田螺のように、一生世に出られず栄えないことのたとえ。身動きがとれないことのたとえにも使う言葉。 - 拓落失路(たくらくしつろ):
退けられて出世の道を断たれること。落ちぶれて失意の底にいることもいう。
粗末な小屋も「うだつ家」と呼んだ
うだつは富や格式を示す造りとして町家に広まりました。
二階の軒下に張り出した袖壁の「袖うだつ」も、大正時代には地面から立ち上げて小屋根を二段、三段と重ね、黒い漆喰で塗ったものが各地の町に現れています。
一方で、「うだつ」はきわめて粗末な家を表す言葉でもありました。
「うだつ家」「うだつ小屋」といえば、掘立小屋(= 地面に柱を埋めて建てただけの簡単な小屋)のことです。
江戸時代中ごろ、1733年の諏訪藩(今の長野県)の村の家数の記録には、53軒のうち14軒がうだつ家として書き上げられています。


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