意味
「煮え切らない(にえきらない)」とは、考えや態度をなかなか決めず、どっちつかずのままでいるという意味です。
語源・由来
この言葉は、「煮え切る」に打ち消しの「ない」が付いた形です。
「煮え切る」は、すっかり煮える、十分に煮えるという意味の言葉です。
使い方・例文
- 何度聞いても、兄は行くのか行かないのか煮え切らない返事ばかりだ。
- 部長の煮え切らない態度が続き、計画は一歩も前に進まなかった。
- 好きならはっきり言えばいいのに、彼の煮え切らない様子がもどかしい。
『吾輩は猫である』の客間の場面
『吾輩は猫である』(夏目漱石)で、実業家の金田夫婦の客間に来た客が、苦沙弥先生を評する場面です。
客は先生と昔いっしょに下宿していた人物で、先生の家を訪ねて冷たくあしらわれた金田夫人に調子を合わせながら、次のように話します。
あの男は私がいっしょに下宿をしている時分から実に煮え切らない
類義語
いずれも、態度や行動をはっきり決めない様子を表す言葉です。
- 優柔不断(ゆうじゅうふだん):
気が弱く、ぐずぐずして物事を決められないこと。 - どっちつかず:
どちらとも決まらず、はっきりしない状態。 - 言葉を濁す(ことばをにごす):
はっきり言わずに、あいまいにしておくこと。 - 洞ヶ峠(ほらがとうげ):
形勢をうかがい、有利な側につこうとして態度を決めないこと。 - 二の足を踏む(にのあしをふむ):
思い切れずに、ためらうこと。
英語表現
wishy-washy
考えや態度が揺れていて、はっきりしない様子。
He gave me a wishy-washy answer about the trip.
(彼は旅行について煮え切らない返事をした。)
hem and haw
迷ったり言葉を濁したりして、なかなか心を決めないこと。
主にアメリカの言い方。
She hemmed and hawed when I asked her to join the team.
(チームに入らないかと聞くと、彼女は煮え切らない態度を見せた。)
「決断する」の煮え切るは打ち消しから
「煮え切る」には、すっかり煮えるという意味のほかに、はっきりする、決断するという意味もあります。
この2つ目の意味の「煮え切る」は、「煮え切らない」という打ち消しの形に対してできた言葉です。
ふつうは打ち消しの形がもとの語から作られますが、この意味では順序が逆になっています。

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