慣用句

勿怪の幸い

(もっけのさいわい)

思いがけない幸運、予想もしなかったラッキーな出来事のこと。

異形:物怪の幸い

8文字の言葉 / 「も」から始まる言葉
勿怪の幸い ことば
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意味

「勿怪の幸い(もっけのさいわい)」とは、思いがけない幸運、予想もしなかった幸運という意味です。
驚きの感情とともに、予測外の出来事がプラスに転じた際に使われます。

  • 勿怪(もっけ):思いがけないこと。不思議なこと。
  • 幸い(さいわい):運が良いこと。

語源・由来

「物の怪(もののけ)」の音が変化した「もっけ」に由来します。

物の怪は本来、人に憑りつく死霊や妖怪を指す言葉ですが、転じて人間の力ではどうにもならない不思議な出来事や予期せぬ現象を「もっけ」と呼ぶようになりました。
この「思いがけないこと」という意味に「幸い」が結びつき、思いがけない幸運を表す言葉になりました。

なお、「勿怪」のほか「物怪」とも書きます。

使い方・例文

「勿怪の幸い」は、予想外の出来事が幸運に転じた場面で使われます。

  • 急な雨宿りで名店に出会えたのは勿怪の幸いだ。
  • 会議の延期は、準備不足の私には勿怪の幸いだった。
  • 迷い込んだ路地で絶景を見つけるとは勿怪の幸いだ。

類義語・関連語

「勿怪の幸い」のように、予想外の幸運を表す類義語には以下のような言葉があります。

  • 怪我の功名(けがのこうみょう):
    過失や失敗が偶然良い結果をもたらすこと。
  • 僥倖(ぎょうこう):
    思いがけない幸運。
  • 棚からぼたもち(たなからぼたもち):
    思いがけない幸運が舞い込んでくること。
  • 渡りに船(わたりにふね):
    困っているときに好都合なことが起こること。

「勿怪の幸い」と「棚からぼたもち」の違い

どちらも予想外の幸運を表しますが、幸運に至るまでの経緯やニュアンスが異なります。

語句前提となる状況ニュアンス
勿怪の幸い予測外の事態やハプニング不思議さや驚き
棚からぼたもち何もしていない状態労せず利益を得る
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対義語

「勿怪の幸い」とは反対に、思いがけない不運や災難を表す言葉として以下のものが挙げられます。

  • 藪蛇(やぶへび):
    余計なことをして、かえって自ら災いを招いてしまう状況を表す。
  • 好事魔多し(こうじまおおし):
    良いことには、とかく邪魔が入りやすいという戒めを伝える。

英語表現

a stroke of luck

意味:思いがけない幸運

It was a stroke of luck that I found it.
(それを見つけたのは、まさに勿怪の幸いだった。)

godsend

意味:天からの恵み

This rain is a godsend.
(この雨は勿怪の幸いだ。)

江戸の黄表紙の「もっけの幸」、金を減らせる好機

古い用例の一つに、唐来参和とうらいさんなの黄表紙きびょうし(=江戸の絵入りの読み物)『莫切自根金生木きるなのねからかねのなるき』(1785年)があります。
主人公は、お金がありすぎるのが苦しく、貧乏になろうとあれこれ手を尽くしても、かえってお金が増えていく大金持ちです。

人夫に土地を掘らせると、また金の詰まった石の箱が出てきて、主人公は驚きのあまり腰を抜かします。
本文はこう続きます。

萬々は腰がぬけてより、もつけの幸、ものを入れて養生せんと思ひのほか、けろけろと治りけれバ

(腰が抜けたのを思いがけない幸いとして、お金をかけて養生しようと思ったが、案に相違してけろりと治ってしまったので)
主人公にとっての「もっけの幸」は、お金を使い減らせる機会のことでした。
思いがけない好都合を喜ぶという意味は今と同じで、喜ぶ中身だけが世間とあべこべになっています。

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