意味
「空前絶後」とは、過去に例がなく、将来にも起こり得ないと思われるほど極めて珍しいことを指す言葉です。
「空前」はそれより前に例がないこと、「絶後」はそれより後にも起こらないことを意味し、その事柄の唯一無二な価値や、桁外れなスケールを強調する際に使われます。
- 空前(くうぜん):
「空」は空っぽ、すなわち無いこと。以前には一度もなかったという意。 - 絶後(ぜつご):
「絶」は途絶えること。以後、二度と現れないだろうという意。
語源・由来
「空前絶後」の語源は、中国の宋代の絵画の記録に見られます。
北宋の『宣和画譜』が唐の画家・呉道子を評した文で、それ以前に並ぶ者のない画家と、それ以後に並ぶ者のない画家を挙げ、呉道子はその両方を兼ねていると述べたものです。
ここから、過去から未来に至る長い時間軸の中で、これ以上のものは存在しないという最大級の賛辞として定着しました。
もともとは芸術作品の評価に使われていた言葉ですが、現代では個人の才能や歴史的な大事件など、幅広い事柄に用いられています。
使い方・例文
「空前絶後」は、単に「珍しい」というレベルを超え、二度と再現できないような奇跡的な出来事や、圧倒的な記録を表現する際に使われます。
- 昨日の運動会で見せた彼の活躍は、まさに空前絶後と言えるものだった。
- この小さな町で、空前絶後の大規模な祭りが開催された。
- 彼は空前絶後の才能を持つ不世出の天才として、今も語り継がれている。
- 創業以来、空前絶後の大ヒット商品が誕生し、社内は歓喜に包まれた。
類義語・関連語
「空前絶後」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 前代未聞(ぜんだいみもん):
これまでに一度も聞いたことがないほど珍しいこと。 - 未曾有(みぞう):
未だかつて一度も起こったことがないこと。 - 曠古(こうこ):
歴史上、例を見ないほど珍しいこと。 - 唯一無二(ゆいいつむに):
この世に二つとない、かけがえのないこと。
対義語
「空前絶後」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
- 日常茶飯事(にちじょうさはんじ):
毎日の食事のように、ごくありふれていて珍しくないこと。 - 平々凡々(へいへいぼんぼん):
極めて平凡で、これといった特徴や優れた点がないさま。 - 月並み(つきなみ):
新鮮味がなく、どこにでもあるような平凡な様子。
英語表現
「空前絶後」を英語で表現する場合、以下の定型句が適しています。
unprecedented and unrepeatable
「前例がなく、再現不可能である」という意味で、過去と未来の両方を否定するニュアンスを正確に伝えます。
His achievement was unprecedented and unrepeatable.
(彼の功績は、まさに空前絶後のものだった。)
the first and the last
「最初で最後」という意味の慣用句です。二度と現れない唯一の存在であることを強調します。
This legendary concert will be the first and the last of its kind.
(この伝説的なコンサートは、空前絶後のものになるだろう。)
三人の画家をめぐる評から
この言葉のもとになったのは、北宋の徽宗の代に編まれた画家の記録『宣和画譜』(1120年)です。
唐の画家・呉道子を評して「顧は前に冠たり、張は後を絶つ。而して道子は乃ち兼ねて之を有す」と書かれています。
顧は東晋の顧愷之、張は南朝梁の張僧繇のことです。
顧愷之より前に並ぶ者はなく、張僧繇より後に並ぶ者はいない。呉道子はその二人の長所を両方そなえている、という評になります。
「空前」と「絶後」は、もともと別々の画家に向けられた評でした。










コメント