何か新しいことが決まろうとするとき、すべての人が賛成するとは限りません。
賛成の声もあれば、反対の声も上がる。
意見が真っ二つに割れ、議論が白熱する。
そんな状況を「賛否両論」(さんぴりょうろん)と言います。
意味・教訓
「賛否両論」とは、ある物事に対して賛成と反対の二つの意見があり、議論が分かれていることを指します。
どちらか一方の意見に偏ることなく、評価が拮抗している状態を表す言葉です。
「賛否両論」という四字熟語は、以下の要素で構成されています。
- 賛否(さんぴ):賛成することと、反対すること。
- 両論(りょうろん):二つの異なる意見や主張。
つまり、肯定的な意見と否定的な意見の「両方の論」が同時に存在していることを示しています。
語源・由来
「賛否両論」は、「賛成・反対」を意味する「賛否」に、互いに異なる主張があることを示す「両論」という言葉が結びついて成立した言葉です。
特定の故事成語や古典に由来するものではなく、それぞれの言葉が持つ意味を論理的に組み合わせた、比較的新しい熟語と言えます。
この言葉が定着した背景には、近代以降の会議文化やメディアの発展が深く関わっています。
新聞やニュースにおいて、世論が二分されている状況を客観的かつ簡潔に伝えるために、この四字熟語が非常に重宝されるようになりました。
現代社会の価値観の多様化を象徴する、利便性の高い言葉として広く親しまれています。
使い方・例文
「賛否両論」は、世論、批評、会議の結果など、多くの人が関わる場での評価を説明する際に使われます。
「賛否両論がある」「賛否両論を巻き起こす」といった形で用いられるのが一般的です。
例文
- 「その映画の結末については、観客の間で賛否両論が巻き起こった。」
- 「新しい制服のデザイン案は、生徒の間で賛否両論だ。」
- 「SNSでの不用意な発言が、ネット上で賛否両論を呼んでいる。」
- 「市街地の再開発計画は、住民から賛否両論の意見が出された。」
類義語・関連語
「賛否両論」と似た意味を持つ言葉には、議論の激しさや対立の様子を表す表現がいくつかあります。
- 甲論乙駁(こうろんおつばく):
互いに異なる意見を出し合って議論がまとまらないこと。 - 喧々囂々(けんけんごうごう):
大勢の人が口々に意見を言い合い、騒がしく収拾がつかない様子。 - 諸説紛々(しょせつふんぷん):
さまざまな説や噂が入り乱れていて、どれが正しいか定まらないこと。
「賛否両論」は単に意見が二分されている状態を指すのに対し、「甲論乙駁」はより議論が激しく戦わされているプロセスに重点を置くというニュアンスの違いがあります。
対義語
「賛否両論」とは対照的な意味を持つ言葉は、全員の意見が一つにまとまっている状態を指します。
- 満場一致(まんじょういっち):
その場にいる全員の意見が完全に一致すること。 - 異口同音(いくどうおん):
多くの人が口を揃えて、全く同じことを言うこと。 - 一致団結(いっちだんけつ):
多くの人が一つの目的に向かって、心を一つにまとめること。
英語表現
「賛否両論」を英語で表現する場合、評価の分かれ方に応じていくつかの定型表現を使い分けます。
Pros and cons
「賛成と反対」を意味する最も一般的な慣用句です。
名詞として「賛否両論」というニュアンスで広く使われます。
- 例文:
There are pros and cons to the new school rules.
新しい校則には賛否両論がある。
Divided opinion
「意見が分かれている」という事実を客観的に伝える表現です。
- 例文:
Public opinion is divided on the tax increase.
増税について世論は賛否両論だ。
Mixed reviews
特に映画や料理、本などの「評価」が入り混じっている場合によく使われます。
- 例文:
The new movie received mixed reviews from critics.
その新作映画は、批評家から賛否両論の評価を受けた。
評価が分かれることの意味
「賛否両論」と聞くと、物事がうまくまとまっていない印象を受けるかもしれません。
しかし、特に表現や新しい挑戦においては、必ずしも悪いことではないのです。
誰からも反対されない無難なアイデアは、裏を返せば誰の心にも刺さらない平凡なものになりがちです。
一方で、熱烈に支持する人がいる反面、強く拒絶する人もいるような対象は、それだけ強烈な個性や新しい価値を持っている証拠でもあります。
「賛否両論」が起きるということは、それだけ多くの人が関心を持ち、自分の意見を言わずにはいられないほどの熱量があるということです。
まとめ
「賛否両論」は、一つの物事に対して正反対の評価が共存している状態を表す言葉です。
全員が同じ意見を持つ「満場一致」とは対照的に、そこには活発な議論や価値観のぶつかり合いがあります。
意見が割れることを恐れすぎる必要はありません。
異なる視点が存在するからこそ、より深い理解や予想外の発見が生まれることもあります。
「賛否両論」という状態を、単なる対立ではなく、多様性の証として捉え直してみるのも一つの見方ではないでしょうか。







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