慣用句 故事成語

馬革に屍を包む

(ばかくにかばねをつつむ)

戦場で討死すること。また、従軍した以上は生きて帰らないという勇士の覚悟。


11文字の言葉 / 「は・ば・ぱ」から始まる言葉
馬革に屍を包む ことば
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意味

「馬革に屍を包む(ばかくにかばねをつつむ)」とは、戦場で討ち死にし、その遺体が馬の皮に包まれて送り返されることを指します。
転じて、兵士が戦場で死ぬこと、また、従軍した以上は生きて帰らないという勇士の覚悟を表す言葉です。

  • 馬革(ばかく):馬の皮。
  • 屍(しかばね):死体、遺体。

語源・由来

「馬革に屍を包む」の由来は、中国の歴史書『後漢書』に記された、後漢時代の名将である馬援のエピソードです。

馬援が遠征から帰還した際、周囲の者たちが彼の功績を称えました。
しかし彼は、真の男児たる者、辺境の戦場で死に、馬の皮で遺体を包まれて葬られるのが本望であると語りました。
畳の上で家族に見守られながら安らかに死ぬことなどできようか、という彼の言葉通り、馬援は60歳を過ぎても最前線に立ち続け、軍中でその生涯を閉じました。

使い方・例文

「馬革に屍を包む」は、戦地に赴く人が生きて帰らない覚悟を示す場面や、戦場で命を落としたことを言う場面で使われます。

  • 出征の朝、祖父は馬革に屍を包む覚悟だと家族に告げたという。
  • 老いてなお前線に立ち続けた将軍は、馬革に屍を包むことを本望としていた。
  • その武将は馬革に屍を包む最期を遂げ、遺骸は故郷に送り返された。
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類義語・関連語

「馬革に屍を包む」と似た意味や背景を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 背水の陣(はいすいのじん):
    一歩も退けない状況に身を置き、決死の覚悟で物事に当たること。
  • 粉骨砕身(ふんこつさいしん):
    骨を粉にし身を砕くほど、力の限り努力し苦労すること。
  • 老当益壮(ろうとうえきそう):
    歳をとるほど、ますます意気盛んでなければならないという意味。馬援の言葉として知られています。

対義語

「馬革に屍を包む」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下のようになります。

  • 明哲保身(めいてつほしん):
    賢明に物事の道理を見極め、危険を避けて自分の身の安全を図ること。
  • 安閑恬静(あんかんてんせい):
    安らかで静かに、のんびりと過ごすこと。

英語表現

「馬革に屍を包む」を英語で表現する場合、以下のようなフレーズが使われます。

die with one’s boots on

意味:任務の最中に死ぬ、現役のまま死ぬ
引退して安楽な生活を送るのではなく、最期まで活動し続けるというニュアンスを持ちます。

He wants to die with his boots on.
(彼は現役のまま死ぬことを望んでいる。)

この言葉を聞いたのは孟冀という人物

『後漢書』馬援伝のこの場面には、相手がいます。

遠征から戻った馬援を、平陵へいりょうの人・孟冀もうきが祝いに訪れました。
馬援は、自分に与えられる恩賞が厚すぎることへの危うさを述べ、北辺の匈奴・烏桓を討ちに行きたいと言ったうえで、次のように続けます。

男兒要當死於邊野,以馬革裹屍還葬耳,何能臥床上在兒女子手中邪!
(男子たるもの、辺境の野で死に、馬の革で屍を包まれて帰り葬られるべきだ。どうして寝床に横たわり、女子どもの手の中で死ねようか。)

祝われている最中に、畳の上では死なないと言い切った形です。
馬援は62歳で五溪蛮ごけいばんの討伐に出て、翌年、壺頭ことうの陣中で病没しました。

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