試験の結果発表を待っている間や、応援しているスポーツチームの試合展開にハラハラしている時。
状況が少し変わるたびに、あるいは新しい情報が入ってくるたびに、気持ちが上がったり下がったりして落ち着かない。
そんなふうに、物事の経過に心が振り回されてしまう状態を、
「一喜一憂」(いっきいちゆう)と言います。
意味
「一喜一憂」とは、目の前の状況の変化に伴って、喜んだり心配したりして心が定まらないことです。
これは「一」という言葉が持つ「ある時は〜し、またある時は〜する」というニュアンスから、感情が継続的に揺れ動く様子を表しています。
四字熟語を構成する要素は次の通りです。
- 一喜(いっき):一度喜ぶこと。または、ある時に喜ぶこと。
- 一憂(いちゆう):一度心配すること。または、ある時に心配すること。
目先の状況に気持ちが上下動し、大局を見失いがちな状態を指すことが多く、教訓的な文脈で使われることも少なくありません。
語源・由来
「一喜一憂」は特定の古典や故事に由来する言葉ではありません。
「一〇一〇」の形をとる四字熟語として、対照的な感情である「喜」と「憂」を組み合わせることで、心の不安定な動きを端的に表現した定型句です。
言葉の成立そのものが比喩的な表現であり、「一」が示す「そのつど」または「交互に」という意味合いによって、感情のアップダウンが繰り返される様子が強調されています。
使い方・例文
「一喜一憂」は、物事に心を動かされる様子を表現しますが、多くの場合、目先のことに囚われてしまうことへの戒めや教訓として、「一喜一憂しない」「一喜一憂するべきではない」といった否定形で使われます。
使用例はビジネスだけでなく、個人の感情や日常生活の幅広いシーンで見られます。
例文
- チームの小さなミスや好プレーに「一喜一憂」せず、監督は常に冷静な指示を出し続けた。
- 投資結果の毎日の変動に「一喜一憂」していると疲れてしまうため、長期的な視点を持つようにしている。
- 友人のSNSのちょっとした投稿に「一喜一憂」するのはやめて、自分の生活に集中するべきだ。
- 子どもが初めて自転車に乗れた日は、親として練習中の失敗や成功に「一喜一憂」しながらも見守ることができた。
誤用・注意点
「一喜一憂」自体に大きな誤用は少ないですが、使用する際のニュアンスの違いに注意が必要です。
〇〇ではない、という使い方が基本
この言葉は、「目先の変化に心を乱されるべきではない」という戒めの意図で使われることが多いため、肯定形(「〜に一喜一憂した」)で使うと、少し落ち着きがない、あるいは視野が狭いというニュアンスを含んでしまうことがあります。
そのため、ビジネスなどで「どっしり構える」という態度を表現したい場合は、「私は結果に一喜一憂しないように心がけています」と否定形で使うのが適切です。
類義語・関連語
「一喜一憂」と似た意味を持つ言葉や、関連性の高い言葉を紹介します。
- 悲喜交々(ひきこもごも):
喜びと悲しみが、代わる代わる現れたり、入り混じったりしている状態。
「一喜一憂」が状況に反応して感情が上下動する様子を指すのに対し、
「悲喜交々」は喜びと悲しみが同時に存在したり、交互に現れたりする感情の複雑な状態を指します。 - 右往左往(うおうさおう):
混乱して、あっちへ行ったりこっちへ行ったりすること。
「一喜一憂」が感情の動きであるのに対し、「右往左往」は行動の混乱を表す点に違いがあります。 - 一進一退(いっしんいったい):
状況が良くなったり悪くなったりを繰り返すこと。
主に病状や戦況、交渉の過程といった客観的な状況の推移を指します。
「一喜一憂」が主観的な感情であるのに対し、こちらは事態そのものの様子を表します。
対義語
「一喜一憂」とは対照的な、心に動揺がない状態を表す言葉は次の通りです。
- 泰然自若(たいぜんじじゃく):
落ち着き払っていて、どんなことにも動じない様子。 - 悠々閑々(ゆうゆうかんかん):
ゆったりと落ち着いていて、物事にこだわらない様子。 - 不動心(ふどうしん):
どのような事態に遭遇しても動揺しない、強い精神力。
英語表現
「一喜一憂」を英語で表現する場合、感情が揺れ動く様子を具体的に表します。
alternate between hope and fear
- 意味:「希望と不安の間で交互に入れ替わる」
- 解説:ビジネスの場面や、受験の結果待ちなど、結果を待つ間に心が上下動する様子を最も的確に表す表現です。
- 例文:
We shouldn’t alternate between hope and fear based on daily news.
(毎日のニュースに一喜一憂するべきではない。)
ride the emotional rollercoaster
- 意味:「感情のジェットコースターに乗る」
- 解説:感情が激しく上がり下がりする様子を、非常に口語的かつダイナミックに表現します。
- 例文:
Fans rode the emotional rollercoaster as their team nearly lost the game.
(ファンたちはチームが負けそうになるたびに、感情のジェットコースターに乗って一喜一憂した。)
まとめ
「一喜一憂」は、物事の状況変化にともなって、心が浮き沈みする状態を指す四字熟語です。
この言葉が表すように、人の心は環境に左右されやすいものです。しかし、「一喜一憂しないこと」という教訓もまた、広く共有されています。
感情の波を認識しつつ、大切な局面では大局を見据えるための心の平穏を保つために、この言葉の持つ意味合いを理解しておくことは有用だと言えるでしょう。





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